No. 1132 米国の銃乱射事件

ここ数年、アメリカでは銃乱射事件が後を絶たない。今年になってからも数十件の事件が起きており、10月にはオレゴン州の大学キャンパスで少なくとも10人が乱射により死亡した。

テレビリポーターとカメラマンが8月に殺され、7月にはテネシー州の米軍施設で、6月にはサウスカロライナ州の教会と、毎月のように乱射事件が起きている。10月の事件を受けて、オバマ大統領は記者会見で、アメリカは先進国で唯一こうした事件が起きる国であり、銃乱射事件にまひしていると述べたという。

銃乱射だけではなく、アメリカでは警察官による殺人や暴力事件も先進国の中で圧倒的に多い。昨年には、武器を持たない黒人少年が白人警察官に射殺される事件を発端として、人種差別的な暴力行為に対して警察官と抗議者との間で大きな衝突があったが、それ以後も警察官による治安維持行動の中で、黒人が事実上殺害されるという事件が続いている。

近年は目撃者が撮影したビデオが公開されるなど、事件が明らかになることが多く、犯人の警察官が殺人で起訴されることもあるが、解明のされない事件が数多く起きている。

なぜアメリカでここまで銃乱射事件が多いのかといえば、自動小銃などに関する販売、所持の規制がほとんどなく、業者や個人が一度に購入できる銃器の数量も規制がなく、誰でも銃を手にすることができるからに他ならない。最近になって犯罪履歴をチェックする法律が施行されたが、全ての州がこの法律を施行しているわけではなく、過去に罪を犯していても簡単に銃を手に入れられる国なのだ。

いわゆる先進国とされる国で、アメリカよりも銃の所有に関する規制が弱い国はもちろんない。だからアメリカの犯罪率は群を抜いており、銃を規制しないことで、犯罪を増やすことはあっても、犯罪の抑止になっていないことは明らかである。

この事実にもかかわらず銃が規制されないのは、一部の富裕層がマスメディアと政治の意思決定をコントロールしているためだ。銃規制を反対するのは全米ライフル協会で、巨額の資金を使い銃規制に反対するプロパガンダを展開し、銃規制をしようとする政治家を選挙で落選させるようにしている。そして代案として、学校や人々の集まる場所に武装した警備員の配置を提案し、「銃の乱用を防止する解決策は銃で武装することだ」と主張するのだ。

10月、アフガニスタンでNGOの「国境なき医師団」が運営する病院が米軍の空爆を受け、患者など16人が死亡した。米軍が武装勢力に対して空爆した際の、「副次的な被害」、つまり誤爆であったと、後日オバマ大統領は謝罪した。もはやアメリカは国内でも海外でもこうした大量虐殺は日常茶飯事となり、それにより世界におけるアメリカの威信は低下している。そしてその好戦的で危険なアメリカに追随しているのが日本の政府なのである。