9月23日に発表された新たな「日米防衛協力のための指針」は、1978年の指針を大幅に拡大するものであり、明らかに憲法違反であると考えます。これにより、国民の税負担は増大し、命まで危険にさらされることになるでしょう。この数週間、日本国民は佐藤孝行氏の問題にかかりきりでした。佐藤氏が辞任した今、次はこの指針を吟味する時であると考えます。以下に「日米防衛協力のための指針」の全文と私の分析(コメント:)を紹介します。
共同声明
日米安全保障協議委員会
於:ニューヨーク
1997年9月23日
1. 小渕恵三外務大臣、久間章生防衛庁長官、マデレーン・オルブライト国務長官及びウィリアム・コーエン国防長官は、1997年9月23日、ニューヨークにおいて、日米安全保障協議委員会(SCC)を開催し、日米防衛協力のための指針(「指針」)の見直し、沖縄に関する問題及び地球安全保障に関する問題を含む両国が関心を有している様々な重要事項について、協議を行った。
2. 今回の会合は、指針の見直しの終了という極めて重要な節目に行われた。指針は、アジア太平洋地域における平和、繁栄及び安全の維持に寄与してきた1960年の日米安全保障条約に基づく歴史的な日米同盟関係の充実に、1978年以降貢献してきた。
3. 日米両国は、1996年4月17日の日米安全保障共同宣言において、冷戦後の新たな安全保障上の課題に対応するため、同盟関係を更に充実させることで意見が一致した。新たな指針の目的は、1978年の指針の目的と同様、平素からの及び緊急事態における日米防衛協力の一般的な大枠及び方向性を示すことにある。
4. 日米安全保障協議委員会は、新たな指針の下での共同作業を直ちに開始することで意見が一致するとともに、以下の結論に達した。
計画についての検討のための包括的なメカニズムの構築は、決定的に重要である。
防衛協力小委員会(SDC)は、共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討の基礎的作業を速やかに終了する必要がある。
日本の防衛庁の運用局長を、防衛協力小委員会の構成員とする。
日米両国は、新たな指針の下での協力を行うに当たって、情報交換及び政策協議を強化すべきである。
コメント:この共同発表の出だしはきわめて危険である。この新たな指針が日本国民および日本政府からすでに承認されたものであるかのごとく、日米安全保障協議委員会(SCC)は取り扱っているが、実際には、大部分の日本国民や議員は、この指針を吟味するどころか、読んでもいない。もし熟読していればこれを受け入れるはずがない。この新たな指針は、1978年の日米防衛協力のための指針を大幅に拡大したものであり、日本国憲法に明らかに違反している。またこれによって米軍の日本駐留が拡張され、日本国民の税負担は増大する。そして日本国民の命は恐ろしく危険にさらされるようになる。この数週間、日本国民はロッキードで有罪判決を受けた佐藤孝行氏の総務庁長官抜擢の事件にかかりきりであった。佐藤氏が辞任し、次はこの指針を吟味する時である。橋本首相が米軍の日本占領を拡大させ、日本を米国の属国にさせるのを阻止するためには、日本国民一人ひとりがその責務を果たし、政府の政策を検討しなければならない。以下に、1997年9月23日に発表された「日米防衛協力のための指針」の全文と私の分析を紹介する。
5. 日米両国は、日米同盟関係に関し、指針見直しの過程においても、また、一般的な原則としても、透明性の維持に努めてきた。透明性に対するコミットメントは、堅固なものであり、今後とも継続するものである。
コメント:民主主義国家の国民に対して、財布の中味や暮らし向き、命の安全に関わるような政策の変更を伝えることがここで言う「透明性」であるとすれば、この項目は真っ赤な嘘でしかない。
6. 日米双方は、更に、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の最終報告の実施について協議を行った。最終報告は、米軍駐留に伴う沖縄の人々の負担を軽減するために、沖縄における米軍施設・区域を整理、統合、縮小し、また、沖縄における米軍の活動に係る手続きを調整することを目的とする計画及び措置を含むものである。沖縄に関する特別行動委員会に関する作業の過程における重要な要素の1つは、普天間飛行場の移設である。日米安全保障協議委員会は、この移設に関する問題について協議を行った。日米双方は、最終報告の着実な実施を確保することに引き続きコミットしている。
7. 日米双方は、弾道ミサイル防衛(BMD)の重要性について協議を行い、日米間の研究を継続することを確認するとともに、日米関係の重要な要素の1つである接受国支援について協議を行った。
8. 日米両国は、地球の安全保障情勢について意見交換を行い、朝鮮半島に関する問題について協議を行った。日米両国は、また、地域の安定と繁栄にとり、中国が肯定的かつ建設的な役割を果たすことが極めて重要であることで意見が一致し、この関連で、両国は中国との協力を更に深めていくことに関心を有することを強調した。
9. 日米安全保障協議委員会は、共同で行ってきた作業の成果を基礎として、1997年及びそれ以降において、以下の取組みを行うこと等により、安全保障に関する様々な共通の関心事項に対応していく決意を再確認した。
各々の政府がとる適切な政策及び措置並びに共同作業を通じた新たな指針のフォローアップ
普天間飛行場の移設を含むSACO最終報告の着実な実施の確保のための密接な協議の継続
国際的な安全保障環境に関する共通の関心事項についての密接な協議の継続
10. 最後に、日米両国は、日米同盟関係が引き続き地球の安全を促進するものであることについて意見が一致するとともに、日米安全保障共同宣言において示された通り、新たな世紀における課題に対応するため、この重要な関係を強化することを誓約した。
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日米防衛協力のための指針の見直しの終了
日米安全保障協議委員会
於 ニュー・ヨーク
1997年9月23日
日米同盟関係は、日本の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、アジア太平洋地域における平和と安定を維持するために引き続き重要な役割を果たしている。日米同盟関係は、この地域における米国の肯定的な関与を促進するものである。この同盟関係は、自由、民主主義及び人権の尊重等の共通の価値観を反映するとともに、より安定した国際的な安全保障環境の構築のための努力を始めとする広範な日米間の協力の政治的な基礎となっている。このような努力が成果を挙げることは、この地域のすべての者の利益となる。
コメント:上の2番めの文は注意が必要である。アジア太平洋地域における米国の関与が肯定的か否定的かを誰が判断するのか。日本の安全保障に関係のないアジア太平洋地域における米国の関与を、なぜ日本が支援するのか。他の国と同様、米国も自国の外交政策の費用は自国で負担すべきではないのか。日本の安全保障のために米国が被る費用を日本国民が負担するのと、米国の恣意的、一方的な外交政策を日本が肩代わりするのとでは、話はまったく異なる。3番めの文もおかしい。日米同盟が民主主義の共通の価値観を反映するのであれば、1996年9月10日に行われた沖縄の県民投票で、10対1で圧倒的多数の県民が沖縄からの米軍基地の撤退を望んでいたという事実がなぜ完全に無視されているのであろうか。最後の文についていえば、指針がこの地域のすべての者の利益になるのであれば、なぜ日本の近隣諸国から、あれほどの強い反対を受けるのであろうか。
1978年11月27日の第17回日米安全保障協議委員会(SCC)で了承された「日米防衛協力のための指針」(「指針」)は、防衛の分野における包括的な協力態勢に関する研究・協議の結果として策定された。指針の下で行われたより緊密な防衛協力のための作業の成果には顕著なものがあり、これは、日米安全保障体制の信頼性を増進させた。
コメント:具体的にいって、より緊密な防衛協力のための作業のどんな成果が、日米安全保障体制の信頼性を増進させたのであろうか。
冷戦の終結にもかかわらず、アジア太平洋地域には潜在的な不安定性と不確実性が依然として存在しており、この地域における平和と安定の維持は、日本の安全のために一層重要になっている。
コメント:これは筋が通らない。アジア太平洋地域の平和と安定の維持が、日本の安全保障のために冷戦時代よりも一層重要だというのであれば、具体的に冷戦時よりも何が潜在的に不安定で不確実になったというのか。冷戦の終結によって、日米防衛協力の必要性が減るのではなく、なぜ増加するのであろうか。
1996年4月に橋本総理大臣とクリントン大統領により発表された「日米安全保障共同宣言」は、日米安全保障関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、21世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した。また、総理大臣と大統領は、日本と米国の間に既に構築されている緊密な協力関係を増進するため、1978年の指針の見直しを開始することで意見が一致した。
コメント:日米首脳が1978年の指針の見直しを開始したのはすばらしい。しかし両国首脳が自由、民主主義及び人権の尊重等の共通の価値観を持っているのであれば、またその見直しから生まれた「新たな指針」が日米両国民の自由、民主主義、人権に実質的な影響を与えるのであれば、この指針を発効させる前に国民にこれを理解・判断させる機会を与えるべきである。米大統領も日本の総理も、今だにこれを怠っている。
1996年6月、日米両国政府は、1995年11月の日本の「防衛計画の大綱」及び「日米安全保障共同宣言」を踏まえて指針の見直し(「見直し」)を行うため、日米安全保障協議委員会の下にある防衛協力小委員会(SDC)を改組した。防衛協力小委員会は、冷戦後の情勢の変化にかんがみ、指針の下での成果を基礎として、以下の分野について検討を行ってきた。
○ 平素から行う協力
○ 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等
○ 日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(「周辺事態」)の協力
コメント:「周辺地域」という紛らわしい表現に注意しなければならない。憲法第9条第1項は、「国際紛争の解決手段としての戦争放棄」をうたっている。この戦争放棄は周辺地域をも含む日本国外すべてが対象である。この重要な新しい表現、「周辺地域」がどこなのか、文中どこにも定義されていない。ただし、ベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争、さらにはグレナダやパナマへの侵攻から明らかなように、米国にとってはその冒険的な軍事活動を正当化するために世界中が「周辺地域」になることは明らかである。事実、この新たな指針は日本の憲法をないがしろにし、米国が日本の税収、土地、空港、港湾、自衛隊を、日本とは関係のない日本国外の米国の冒険のために利用できるようにするための工作である。これが異常であることは、この「周辺地域」が今回の「新たな指針」では何度も言及されているのに対し、1978年の指針では日本以外の地域について述べられているのはわずか1箇所である。以下、1978年の指針からの引用である。
III 日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力
日米両政府は、情勢の変化に応じ随時協議する。
日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方は、日米安保条約、その関連取極、その他の日米間の関係取極及び日本の関係法令によって規律される。日米両政府は、日本が上記の法的枠組みの範囲内において米軍に対し行う便宜供与のあり方について、あらかじめ相互に研究を行う。このような研究には、米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる。
これらの検討は、平素からの及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方について、一般的な大枠及び方向性を示すことを目的としたものである。見直しは、特定の地域における事態を議論して行ったものではない。
コメント:なぜ特定の地域における事態を議論しなかったのか。憲法第9条は「国際紛争の解決手段としての戦争放棄」とあり、日本以外のいかなる地域における戦争も放棄、と明確である。「周辺地域」の定義を避けているのは、憲法第9条をくつがえし、両国政府が必要に応じてそれを定義できるようにする策略としか考えられない。
防衛協力小委員会は、1996年9月の日米安全保障協議委員会による指示を受け、1997年秋に終了することを目途に、より効果的な日米協力に資するような考え方及び具体的な項目を洗い出すことを目標として見直しを行った。見直しの過程で防衛協力小委員会において行われた議論は、1996年9月の「日米防衛協力のための指針の見直しの進捗状況報告」及び1997年6月の「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間とりまとめ」に整理されている。
防衛協力小委員会は、新たな「日米防衛協力のための指針」を作成し、これを日米安全保障協議委員会に報告した。日米安全保障協議委員会は、以下に示す指針を了承し、公表した。この指針は、1978年の指針に代わるものである。
コメント:今こそ日米両国の民主的な過程に基づいて、両国国民および議員にこの新たな指針をじっくり吟味していただきたい。
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日米防衛協力のための指針
I. 指針の目的
この指針の目的は、平素から並びに日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際してより効果的かつ信頼性のある日米協力を行うための、堅固な基礎を構築することである。また、指針は、平素からの及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方について、一般的な大枠及び方向性を示すものである。
コメント:最初の文は、「日本に対する武力攻撃」と「周辺事態」があたかも同じであるかのように巧妙に書かれている。この2つはまったくの別物である。1978年の指針が規定していたのは「日本に対する武力攻撃」のみに対する対応であった。新しい指針は日本の防衛とは関係のない米国の軍事活動を日本が従順に支援するよう、日本人を騙すための策略なのである。上の2番めの文は、日本が米国の軍事活動を支援するよう米国が要求するためにこの新たな指針を策定し、それをもって日本から米国に対する契約的なコミットメントとするということである。冷戦の終結にもかかわらず、なぜ「より効果的で信頼性のある日米防衛協力」が必要になるのか。冷戦の終結は、米軍の日本駐留、さらに在日米軍のために日本政府が負担している6,794億円の思いやり予算が正当化できなくなったことを意味する。だからこそ、米国政府には、日本占領を継続し、日本からの資金的援助を継続・拡大するための別の口実が必要なのである。
II. 基本的な前提及び考え方
指針及びその下で行われる取組みは、以下の基本的な前提及び考え方に従う。
1 日米安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。
コメント:これは事実ではない。新たな指針は日米安全保障条約およびその関連取極を解釈し直し、米国の権利と日本の義務を増加させることを狙っている。
2 日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる。
コメント:真実ではない。この指針は憲法第9条に違反している。以下が憲法第9条である。
< 憲法第9条 >
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
以下の数多くの項目が、明らかに憲法に違反している。
3 日米両国のすべての行為は、紛争の平和的解決及び主権平等を含む国際法の基本原則並びに国際連合憲章を始めとする関連する国際約束に合致するものである。
コメント:この新たな指針によって、日本は米国政府独自の国際法の解釈に基づいた米国のきまぐれな行動を支援し、それに参加しなければならない可能性が高くなる。米国はこれまでにも、米国流の国際法の解釈に基づいて他の国家の主権を侵害したり、紛争を紛争で解決することを正当化してきた。
4 指針及びその下で行われる取組みは、いずれの政府にも、立法上、予算上又は行政上の措置をとることを義務づけるものではない。しかしながら、日米協力のための効果的な態勢の構築が指針及びその下で行われる取組みの目標であることから、日米両国政府が、各々の判断に従い、このような努力の結果を各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される。日本のすべての行為は、その時々において適用のある国内法令に従う。
コメント:米国および日本の政府高官は、すでに、この指針に盛り込まれた措置を施行するために法律の改正や新しい法律の可決が必要であると主張している。
III. 平素から行う協力
日米両国政府は、現在の日米安全保障体制を堅持し、また、各々所要の防衛態勢の維持に努める。日本は、「防衛計画の大綱」にのっとり、自衛のために必要な範囲内で防衛力を保持する。米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持するとともに、アジア太平洋地域における前方展開兵力を維持し、かつ、来援し得るその他の兵力を保持する。
日米両国政府は、各々の政策を基礎としつつ、日本の防衛及びより安定した国際的な安全保障環境の構築のため、平素から密接な協力を維持する。
コメント:これも策略である。日米安保と1978年の指針は、日本の防衛のための日米協力をうたっていた。しかし、上の文章は、米国政府が勝手に解釈する「より安定した国際的な安全保障環境」を構築するために、一方的に米国政府が必要とみなしたことすべてを「日米協力」に含めようとしている。
日米両国政府は、平素から様々な分野での協力を充実する。この協力には、日米物品役務相互提供協定及び日米相互防衛援助協定並びにこれらの関連取決めに基づく相互支援活動が含まれる。
1 情報交換及び政策協議
日米両国政府は、正確な情報及び的確な分析が安全保障の基礎であると認識し、アジア太平洋地域の情勢を中心として、双方が関心を有する国際情勢についての情報及び意見の交換を強化するとともに、防衛政策及び軍事態勢についての緊密な協議を継続する。
このような情報交換及び政策協議は、日米安全保障協議委員会及び日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)を含むあらゆる機会をとらえ、できる限り広範なレベル及び分野において行われる。
2 安全保障面での種々の協力
安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力は、より安定した国際的な安全保障環境の構築に寄与する。
コメント:この項目は1978年の指針の範囲を大幅に上回る。1978年の指針では、日本の防衛と安全保障のみを取り上げていた。しかし新たな指針では、米国が「より安定した国際的な安全保障環境」に貢献すると主張すれば、どんな地域的および地球的規模の活動も対象となりうる。つまり、世界の警察を自認する米国は、日本にそれを支援させたいのであり、そのために日本の国土、資金、施設を利用したいのである。
日米両国政府は、この地域における安全保障対話・防衛交流及び国際的な軍備管理・軍縮の意義と重要性を認識し、これらの活動を促進するとともに、必要に応じて協力する。
コメント:1978年の指針は日本の防衛のみを取り上げていたが、この新たな指針は地域(アジア)および国際(全世界)を対象としている。軍縮に関しては、米国防省の予算は全世界の軍事費の3分の1を占め、軍事費世界第2位の国を5倍以上引き離している。また米国の武器輸出額では第2位を4~5倍上回る。その国が、どうやって「国際的な軍備管理・軍縮」を推進できるというのか。
日米いずれかの政府又は両国政府が国際連合平和維持活動又は人道的な国際救援活動に参加する場合には、日米両国政府は、必要に応じて、相互支援のために密接に協力する。日米両国政府は、輸送、衛生、情報交換、教育訓練等の分野における協力の要領を準備する。
コメント:この文章は日本とその国民をばかにしている。米国は国連の常任理事国であり、米国の国益に合致しない国連の行動についてはすべて拒否権を発動してきた。新たな指針は、常任理事国でもなければ拒否権も持たない日本に対して、米国が勝手に行う国連平和維持活動および人道的な国際救援活動に、密接な協力を要求しているのである。
大規模災害の発生を受け、日米いずれかの政府又は両国政府が関係政府又は国際機関の要請に応じて緊急援助活動を行う場合には、日米両国政府は、必要に応じて密接に協力する。
コメント:この項も1978年の指針を大きく上回る。米国が緊急援助活動を行うと勝手に決めれば、日本は米国の必要に応じて密接に協力しなければならないと述べられている。例えば、日本国民を拉致したり、日本に麻薬を密輸したり、日本国民の日本への一時帰国を禁止したりしている国家を援助すると米国が一方的に決めたとしても、日本は密接な協力を提供することにコミットすることになるのである。あるいはその協力は第二次世界大戦以来、日本国土を不法に占領している国に対する援助になるかもしれない。このような指針に合意した日本は、本当に独立国といえるのだろうか。
3 日米共同の取組み
日米両国政府は、日本に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画についての検討及び周辺事態に際しての相互協力計画についての検討を含む共同作業を行う。このような努力は、双方の関係機関の関与を得た包括的なメカニズムにおいて行われ、日米協力の基礎を構築する。
コメント:ここでも安保の枠を越え、武力攻撃だけでなく、未定義の(つまり無制限の)周辺事態にまで及んでいる。これは明らかに違憲である。日本の憲法は、日本国外でのいかなる地域においても、米国の軍事活動に日本が参加することを禁じている。
日米両国政府は、このような共同作業を検証するとともに、自衛隊及び米軍を始めとする日米両国の公的機関及び民間の機関による円滑かつ効果的な対応を可能とするため、共同演習・訓練を強化する。また、日米両国政府は、緊急事態において関係機関の関与を得て運用される日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく。
コメント:上記の「公的機関及び民間の機関による」に注目してほしい。ここには、この指針に基づき日本の義務を増やそうという狙いが表れている。1978年の指針には、自衛隊以外、日本の「公的機関」や「民間機関」を米軍に利用させるという表現はまったくなかった。以下にもあるが、新たな指針は日本の公的機関・民間機関を米軍に広く開放することを義務づけているのである。
IV.日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等
日本に対する武力攻撃に際しての共同対処行動等は、引き続き日米防衛協力の中核的要素である。
コメント:「引き続き」という表現からも、新たな指針が、米国に対する日本の義務、コミットメント、服従を拡大することを狙っていることが明らかである。1978年の指針では、武力攻撃に対する日本の防衛のみが対象であったが、今回の新たな指針では日本の防衛は全体の一部でしかない。
日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するための措置をとるとともに、日本の防衛のために必要な準備を行う。日本に対する武力攻撃がなされた場合には、日米両国政府は、適切に共同して対処し、極力早期にこれを排除する。
コメント:この項には実質的な内容が何も含まれていない。日本への武力攻撃が差し迫っているかどうかは誰が決めるのか。どのような措置をとるのか。どういった準備が必要かは誰が決めるのか。どんな対処が適切かは誰が定義するのか。両国政府が、これらの点で同意できない場合はどうなるのか。
1 日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合
日米両国政府は、情報交換及び政策協議を強化するとともに、日米間の調整メカニズムの運用を早期に開始する。日米両国政府は、適切に協力しつつ、合意によって選択された準備段階に従い、整合のとれた対応を確保するために必要な準備を行う。日本は、米軍の来援基盤を構築し、維持する。また、日米両国政府は、情勢の変化に応じ、情報収集及び警戒監視を強化するとともに、日本に対する武力攻撃に発展し得る行為に対応するための準備を行う。
コメント:「日米間の調整メカニズム」とは何か。米国はこの指針の中で確固とした、具体的なコミットメントをどこにも示していない。「適切な(appropriate)」、「必要(necessary)」、「かもしれない(may)」などの表現を使って、都合のよい時に義務を逃れられるようにすることで、米国自身のコミットメントを弱めている。米国は「適切に協力する」としているが、その協力が適切かどうかは誰が決めるのか。米国は「必要な準備を行う」としているが、準備が必要かどうかを誰が決めるのか。一方、日本のコミットメントはこの指針全体にわたって、厳密に定義されている。日本は、「米軍の来援基盤を構築し、維持する」といった具合である。日本は、米軍が日本を占領するために必要な土地や施設を日本の税金を使って提供することを約束しているのである。
日米両国政府は、事態の拡大を抑制するため、外交上のものを含むあらゆる努力を払う。
なお、日米両国政府は、周辺事態の推移によっては日本に対する武力攻撃が差し迫ったものとなるような場合もあり得ることを念頭に置きつつ、日本の防衛のための準備と周辺事態への対応又はそのための準備との間の密接な相互関係に留意する。
コメント:これは危険である。これは侵略を防衛と正当化するために帝国主義の侵略者たちが使ってきた常套手段である。米国は、ベトナム、ラオス、韓国、イラクなどへの介入や投爆を「米国周辺事態への対応」として正当化した。日本国民は、「日本に対する武力攻撃」に発展するかもしれない「日本周辺事態」に際し、米国の要求に応じて支援し、領海や領土以外の地域における米国の軍事行為に加担してもよいと思っているのであろうか。
2 日本に対する武力攻撃がなされた場合
(1)整合のとれた共同対処行動のための基本的な考え方
(イ) 日本は、日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する。その際、米国は、日本に対して適切に協力する。このような日米協力の在り方は、武力攻撃の規模、態様、事態の推移その他の要素により異なるが、これには、整合のとれた共同の作戦の実施及びそのための準備、事態の拡大を抑制するための措置、警戒監視並びに情報交換についての協力が含まれ得る。
コメント:この項目から、日本はこの指針で多くの負担を強いられているにもかかわらず、その見返りに受け取るものは何もないことが明らかである。米国は、米国が適切だと考える支援を日本に提供するだけであり、それ以上のことは何もコミットしていないのである。
(ロ) 自衛隊及び米軍が作戦を共同して実施する場合には、双方は、整合性を確保しつつ、適時かつ適切な形で、各々の防衛力を運用する。その際、双方は、各々の陸・海・空部隊の効果的な統合運用を行う。自衛隊は、主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は、自衛隊の行う作戦を支援する。米軍は、また、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。
コメント:ここでも米国は具体的なコミットメントを何も示していない。誰が「整合性を確保しつつ、適時かつ適切な形」であるかを決めるのか。米軍が提供する支援および運用は何なのか。
(ハ) 米国は、兵力を適時に来援させ、日本は、これを促進するための基盤を構築し、維持する。
コメント:換言すれば、日本に対する武力攻撃の場合、米国が勝手に判断した「適時に」、米国は兵力を来援させるのであり、それが具体的に何なのかは攻撃が起こるまではわからないのである。しかし、日本は米軍の兵力を促進するために(なぜならば事前準備が必要であるため)、「基盤を構築し、維持」しなければならないのである。万が一武力攻撃が起こった場合、米国は何らかの支援を日本に提供するかもしれないという曖昧な表現の見返りに、米国側は、日本の土地、空港、港湾、施設、資金、労働力、その他の特権をあたり前のように利用し、日本の法律を犯したり、さらには女性や子供を犠牲にしても罰されることはないのである。
(2)作戦構想
(イ) 日本に対する航空侵攻に対処するための作戦
自衛隊及び米軍は、日本に対する航空侵攻に対処するための作戦を共同して実施する。
自衛隊は、防空のための作戦を主体的に実施する。
米軍は、自衛隊の行う作戦を支援するとともに、打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。
コメント:ここで自衛隊については「防空のための作戦を主体的に実施する」と具体的に書かれてあるが、米軍が実際に何をするのかは明確ではない。
(ロ) 日本周辺海域の防衛及び海上交通の保護のための作戦
自衛隊及び米軍は、日本周辺海域の防衛のための作戦及び海上交通の保護のための作戦を共同して実施する。
自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備、日本周辺海域における船舶の保護並びにその他の作戦を主体的に実施する。
米軍は、自衛隊の行う作戦を支援するとともに、機動打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。
コメント:ここでも日本の自衛隊の役割は明瞭であるが、米軍の役割ははっきりしない。
(ハ) 日本に対する着上陸侵攻に対処するための作戦
自衛隊及び米軍は、日本に対する着上陸侵攻に対処するための作戦を共同して実施する。
自衛隊は、日本に対する着上陸侵攻を阻止し排除するための作戦を主体的に実施する。
米軍は、主として自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。その際、米国は、侵攻の規模、態様その他の要素に応じ、極力早期に兵力を来援させ、自衛隊の行う作戦を支援する。
コメント:ここでも日本の義務および責任は明確であるのに対し、米軍に関する表現は義務を回避するような表現になっている。
(ニ) その他の脅威への対応
(i) 自衛隊は、ゲリラ・コマンドウ攻撃等日本領域に軍事力を潜入させて行う不正規型の攻撃を極力早期に阻止し排除するための作戦を主体的に実施する。その際、関係機関と密接に協力し調整するとともに、事態に応じて米軍の適切な支援を得る。
コメント:米軍の支援が「適切」かどうかを誰が判断するかは明らかである。
(ii) 自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル攻撃に対応するために密接に協力し調整する。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する。
コメント:誰が「必要な」情報か、あるいは「必要に応じ」という状況を判断するかは明らかである。
(3)作戦に係る諸活動及びそれに必要な事項
(イ) 指揮及び調整
自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下、各々の指揮系統に従って行動する。自衛隊及び米軍は、効果的な作戦を共同して実施するため、役割分担の決定、作戦行動の整合性の確保等についての手続をあらかじめ定めておく。
コメント:日本が攻撃された場合に米国が何を行うかは、常に曖昧な言葉で書かれているのに対し、自国の防衛のために日本が米軍と整合性をとらなければならない(従属しなければならない)という日本に対する要求は明確で具体的である。
(ロ) 日米間の調整メカニズム
日米両国の関係機関の間における必要な調整は、日米間の調整メカニズムを通じて行われる。自衛隊及び米軍は、効果的な作戦を共同して実施するため、作戦、情報活動及び後方支援について、日米共同調整所の活用を含め、この調整メカニズムを通じて相互に緊密に調整する。
コメント:日米間の調整メカニズムに関するこの説明が理解できるであろうか。日本の自衛隊が、作戦、情報活動および後方支援について、米国のそれと調整する(つまり米国に従属させる)こと以外に何か説明されているだろうか。
(ハ) 通信電子活動
日米両国政府は、通信電子能力の効果的な活用を確保するため、相互に支援する。
(ニ) 情報活動
日米両国政府は、効果的な作戦を共同して実施するため、情報活動について協力する。これには、情報の要求、収集、処理及び配布についての調整が含まれる。その際、日米両国政府は、共有した情報の保全に関し各々責任を負う。
(ホ) 後方支援活動
自衛隊及び米軍は、日米間の適切な取決めに従い、効率的かつ適切に後方支援活動を実施する。
コメント:1978年の指針では、「日米両国がそれぞれ自国の自衛隊又は軍の後方支援について責任を有する」としている。しかし、新たな指針では米軍の後方支援の負担は日本および日本の納税者に転嫁されている。
日米両国政府は、後方支援の効率性を向上させ、かつ、各々の能力不足を軽減するよう、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用しつつ、相互支援活動を実施する。その際、特に次の事項に配慮する。
コメント:「中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用しつつ」というのは、1978年の指針を大きく上回る。1978年の指針で触れていたのは、以下の(iv)施設の項までであった。
(i) 補給
米国は、米国製の装備品等の補給品の取得を支援し、日本は、日本国内における補給品の取得を支援する。
(ii) 輸送
日米両国政府は、米国から日本への補給品の航空輸送及び海上輸送を含む輸送活動について、緊密に協力する。
(iii) 整備
日本は、日本国内において米軍の装備品の整備を支援し、米国は、米国製の品目の整備であって日本の整備能力が及ばないものについて支援を行う。整備の支援は、必要に応じ、整備要員の技術指導を含む。また、日本は、サルベージ及び回収に関する米軍の需要についても支援を行う。
(iv) 施設
日本は、必要に応じ、日米安全保障条約及びその関連取極に従って新たな施設・区域を提供する。また、作戦を効果的かつ効率的に実施するために必要な場合には、自衛隊及び米軍は、同条約及びその関連取極に従って、自衛隊の施設及び米軍の施設・区域の共同使用を実施する。
(v) 衛生
日米両国政府は、衛生の分野において、傷病者の治療及び後送等の相互支援を行う。
コメント:上記の(i)から(iv)の項目は1978年の指針と同じであり、(v)が新しく加わった。
V.日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力
周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。日米両国政府は、周辺事態が発生することのないよう、外交上のものを含むあらゆる努力を払う。日米両国政府は、個々の事態の状況について共通の認識に到達した場合に、各々の行う活動を効果的に調整する。なお、周辺事態に対応する際にとられる措置は、情勢に応じて異なり得るものである。
コメント:最初の文にあるように、日本では「日本の平和と安全に重要な影響を与える」日本周辺の事態に関して、憲法が完全な指針を提供している。
「憲法第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
コメント:日本政府も米国政府も、どんなことがあっても日本国憲法に違反するようなことは提案しない、という確固とした確約が、新たな指針に必要である。また、「周辺事態の概念は地理的ではなく事態の性質に着目したもの」とあるが、これは私には理解できない。このようにわかりにくいい表現を使うのは、両国政府が、この指針を承認させた後、好きな時に好きなように新たな解釈ができるように、意図的に行ったとしか思えない。両国の国民は政府に、このたわごとの意味を明確にするよう今すぐ要求すべきである。
1 周辺事態が予想される場合
周辺事態が予想される場合には、日米両国政府は、その事態について共通の認識に到達するための努力を含め、情報交換及び政策協議を強化する。
同時に、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するため、外交上のものを含むあらゆる努力を払うとともに、日米共同調整所の活用を含め、日米間の調整メカニズムの運用を早期に開始する。また、日米両国政府は、適切に協力しつつ、合意によって選択された準備段階に従い、整合のとれた対応を確保するために必要な準備を行う。更に、日米両国政府は、情勢の変化に応じ、情報収集及び警戒監視を強化するとともに、情勢に対応するための即応態勢を強化する。
コメント:日米間の調整メカニズムとは何か。私には理解できない。IV.2(3)(ロ)の説明を読んでもわからなかった。ここでは日本の自衛隊が、作戦、情報活動および後方支援について、米国のそれと調整する(つまり米国に従属させる)ことを言っているのだと考える。また、日米共同調整所とは何なのか。
2 周辺事態への対応
周辺事態への対応に際しては、日米両国政府は、事態の拡大の抑制のためのものを含む適切な措置をとる。これらの措置は、上記IIに掲げられた基本的な前提及び考え方に従い、かつ、各々の判断に基づいてとられる。日米両国政府は、適切な取決めに従って、必要に応じて相互支援を行う。
コメント:この項目もナンセンスである。この指針の策定者は、その内容を説明しようとしているのではなく、その実態を隠そうとしているとしか考えられない。両国政府は、どんなことがあろうとも、日本の憲法や法律に違反あるいは抵触するような措置は取らないとはっきり述べるべきである。
協力の対象となる機能及び分野並びに協力項目例は、以下に整理し、別表に示すとおりである。
(1) 日米両国政府が各々主体的に行う活動における協力
日米両国政府は、以下の活動を各々の判断の下に実施することができるが、日米間の協力は、その実効性を高めることとなる。
コメント:この部分は以下のように書き換えるべきである。
「日米両国政府は、以下の活動を各々の判断の下に実施することができ、日米間の協力は、その実効性を高めることができるかもしれないが、両国は共に主権国家であるため、いかなる場合も一方が他方に協力や参加の義務を負わせることはない」
(イ) 救援活動及び避難民への対応のための措置
日米両国政府は、被災地の現地当局の同意と協力を得つつ、救援活動を行う。日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、必要に応じて協力する。
日米両国政府は、避難民の取扱いについて、必要に応じて協力する。避難民が日本の領域に流入してくる場合については、日本がその対応の在り方を決定するとともに、主として日本が責任を持ってこれに対応し、米国は適切な支援を行う。
コメント:これは人を欺くために書かれたのだろうか。これだけのことを、わざわざ文章にする必要があるのだろうか。どういった協力が必要なのか、またそれを誰が決めるのか。日本が主権国家であれば、自国の領域に流入する避難民への対応に対して、全責任を持つはずであり、「主として日本が責任を持つ」のではない。米国からの支援が「適切」かどうかは誰が決めるのか。両国政府は「必要に応じて」協力するとあるが、これは「各主権国家の政府による必要であるかどうかの決定に応じて」に改めるべきである。
(ロ) 捜索・救難
日米両国政府は、捜索・救難活動について協力する。日本は、日本領域及び戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の海域において捜索・救難活動を実施する。米国は、米軍が活動している際には、活動区域内及びその付近での捜索・救難活動を実施する。
コメント:この部分には注意が必要である。この「捜索・救難」は人道的活動のように聞こえるが、この部分は米国が国際紛争を解決するために日本国外で好戦的な威嚇をしたり、あるいは武力行使に訴える場合について述べているのである。泥棒や殺人犯が現場から逃げるのを「捜索・救難」することが日本の法律の下では共犯になるのと同じように、米国が国際紛争の解決のために威嚇したり、武力行使するのを後押しすることは憲法違反なのではないだろうか。
(ハ) 非戦闘員を退避させるための活動
日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。日本国民又は米国国民以外の非戦闘員について同様の必要が生じる場合には、日米両国が、各々の基準に従って、第三国の国民に対して退避に係る援助を行うことを検討することもある。
コメント:やっと正当な理論に巡り合えた。ここでは、各主権国家は自分の判断に基づき、相互にあるいは独自に適当であると判断した分だけ協力すると述べられている。この指針全文も独立と主権の精神に基づいて、書き換えられるべきである。
(ニ) 国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動
日米両国政府は、国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動に対し、各々の基準に従って寄与する。
また、日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、適切に協力する。そのような協力には、情報交換、及び国際連合安全保障理事会決議に基づく船舶の検査に際しての協力が含まれる。
コメント:「適切に」の部分を、「各国が独自に適切と考えるのならば」に変更すべきである。
(2) 米軍の活動に対する日本の支援
コメント:この項目を読むとき、まったく限定も定義もされていない「日本の周辺地域」における米軍の活動を日本が支援するということについて書かれていることを忘れてはならない。米国は、防衛の名の下に戦争を行うことを決めると、これまで幾度となく全世界を「米国周辺」と捉えてきた。したがって、以下の項目は、地球全土における好戦的な米国の脅威と武力を支援することに対する日本側のコミットメントと解釈され得る。泥棒や殺人犯に施設や後方支援、運用上の協力を提供するという行為はその共犯となりうるのと同様、以下に書かれてあることすべては、潜在的に、日本国憲法第9条に違反する。その潜在的可能性を取り除くためには、この指針が適用される対象を明確かつ具体的に制限するよう書き換えるしかない。
(イ) 施設の使用
日米安全保障条約及びその関連取極に基づき、日本は、必要に応じ、新たな施設・区域の提供を適時かつ適切に行うとともに、米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一時的使用を確保する。
コメント:これは具体的な記述である。米国が日本に対してコミットしていることが具体的に示されている部分は他にはなかった。この項目の意味するところは、米国が必要であると要求すれば、日本はどんな場合でも適時に施設・区域を提供しなければならないということである。私の解釈は極端かもしれないが、以下の質問に対する回答が得られるまでは、それが極端かどうかは判断できないはずである。
1. 上記、「必要に応じ」の必要かどうかは誰が決めるのか。
2. 上記、「適時かつ適切に」は誰が判断するのか。
3. 上記、「一時的」とはどのくらいの期間をさすのか。
また、1978年の指針では米軍が日本の民間空港や港湾を使用する権利についてはまったく触れられていなかった。新しい指針は過去52年間におよぶ米軍の日本占領をエスカレートさせることになる。こういった表現は日本を米国の植民地同然に扱っているものであり、日本を主権国家と見なしてはいない。日本が真に主権国家であれば、米国にするような譲歩を果たして他の国にするであろうか。
(ロ) 後方地域支援
日本は、日米安全保障条約の目的の達成のため活動する米軍に対して、後方地域支援を行う。この後方地域支援は、米軍が施設の使用及び種々の活動を効果的に行うことを可能とすることを主眼とするものである。そのような性質から、後方地域支援は、主として日本の領域において行われるが、戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海及びその上空において行われることもあると考えられる。
コメント:この指針は、日本が爆弾を落としたり、拳銃を発砲しない限り憲法には違反しないと示唆することにより、日本の憲法の間違った解釈、極めて危険な解釈をほのめかしている。米軍の好戦的な威嚇および武力行使を支援することは、その当事者程罪は重くないと、そそのかしているようである。これは真実ではない。この指針が日本に米国の武力行使に加担するようにそそのかすようなやり方で、殺人犯や泥棒を助けるような人間は、どこの裁判所でも有罪になる。さらに、この項目に書かれた米軍の活動に対する日本の支援すべてが、日本を米軍の付属物としている。したがって、米国の攻撃の対象となる国は米国から身を守るために日本を攻撃しなければならなくなる。そしてそれは正当防衛なのである。
後方地域支援を行うに当たって、日本は、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。自衛隊は、日本の防衛及び公共の秩序維持のための任務の遂行と整合を図りつつ、適切にこのような支援を行う。
コメント:この項目により、日本全土が米国の軍事マシンの付属物となりうる。日本は、米軍を後方地域支援するために、中央政府および地方公共団体の権限及び能力、並びに民間が有する能力を、米国が適切と考えるように活用しなければならない。
(3) 運用面における日米協力
周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与えることから、自衛隊は、生命・財産の保護及び航行の安全確保を目的として、情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。米軍は、周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。
自衛隊及び米軍の双方の活動の実効性は、関係機関の関与を得た協力及び調整により、大きく高められる。
コメント:日本の周辺とはどこなのか。米国の平和と安全に重要な影響を与える地域とみなせば、世界中いかなる場所でも米国は周辺地域とみなすのではないだろうか。警戒監視、機雷の除去等の活動にその対象国が抵抗すればどうなるのか。米国の武力行使や威嚇を支援するための警戒監視や機雷の除去は、明らかに憲法違反である。そしてそれは、国際紛争解決のための威嚇、武力行使と同じなのである。
VI.指針の下で行われる効果的な防衛協力のための日米共同の取組み
指針の下での日米防衛協力を効果的に進めるためには、平素、日本に対する武力攻撃及び周辺事態という安全保障上の種々の状況を通じ、日米両国が協議を行うことが必要である。日米防衛協力が確実に成果を挙げていくためには、双方が様々なレベルにおいて十分な情報の提供を受けつつ、調整を行うことが不可欠である。このため、日米両国政府は、日米安全保障協議委員会及び日米安全保障高級事務レベル協議を含むあらゆる機会をとらえて情報交換及び政策協議を充実させていくほか、協議の促進、政策調整及び作戦・活動分野の調整のための以下の2つのメカニズムを構築する。
コメント:この指針には、悪名高い「周辺事態」を日本の防衛に限定するものは何もない。むしろ、日本が、世界中において米国の従属者として米国に仕えることを示唆している。
第一に、日米両国政府は、計画についての検討を行うとともに共通の基準及び実施要領等を確立するため、包括的なメカニズムを構築する。これには、自衛隊及び米軍のみならず、各々の政府のその他の関係機関が関与する。
コメント:これは、「米国が関係すると考える日本政府のすべての機関が、計画について米国と調整を取り、米国と共通する基準及び実施要領等を確立しなければならない」ということではないのだろうか。これには、コミュニケーション言語を英語に統一するということまで含まれているのだろうか。
日米両国政府は、この包括的なメカニズムの在り方を必要に応じて改善する。日米安全保障協議委員会は、このメカニズムの行う作業に関する政策的な方向性を示す上で引き続き重要な役割を有する。日米安全保障協議委員会は、方針を提示し、作業の進捗を確認し、必要に応じて指示を発出する責任を有する。防衛協力小委員会は、共同作業において、日米安全保障協議委員会を補佐する。
コメント:これは、日米安全保障協議委員会は、米国が関係機関と考える日本のすべての政府機関に「方針を提示する」ということだろうか。また日米安全保障協議委員会が「作業の進捗を確認し」、すべての政府関連機関に「指示を発出する」のであろうか。そうでないとすれば、この項目は何を意味しているのか。
第二に、日米両国政府は、緊急事態において各々の活動に関する調整を行うため、両国の関係機関を含む日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく。
コメント:誰が関係機関を定め、その機関が活動を米国と調整する(従属させる)必要があると判断するのか。
1.計画についての検討並びに共通の基準及び実施要領等の確立のための共同作業
双方の関係機関の関与を得て構築される包括的なメカニズムにおいては、以下に掲げる共同作業を計画的かつ効率的に進める。これらの作業の進捗及び結果は、節目節目に日米安全保障協議委員会及び防衛協力小委員会に対して報告される。
コメント:この項目で重要なのは、自国に対する武力攻撃だけではなく、世界全体とも解釈し得る、曖昧な日本周辺事態に対して米国を支援することに日本がコミットするという点である。ここでいう「共同」という言葉は、主人と奴隷の関係と同じである。日本が日本周辺地域において軍事活動のイニシアチブを取ることがあり得るだろうか。また、米国が従順に日本の活動を支援することがあり得るだろうか。この項目が意味することは、日本の防衛のために、さらには把握不可能な日本周辺地域において、米国が勝手に取る軍事行動を、それが何であろうと日本が従順に支援する、ということではないだろうか。
(1) 共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討
自衛隊及び米軍は、日本に対する武力攻撃に際して整合のとれた行動を円滑かつ効果的に実施し得るよう、平素から共同作戦計画についての検討を行う。また、日米両国政府は、周辺事態に円滑かつ効果的に対応し得るよう、平素から相互協力計画についての検討を行う。
コメント:初めの文は正当に思える。日本に対する武力攻撃の際に、米軍および自衛隊が日本を防衛するのであれば、共同作戦が必要なのは当然である。しかし、2番めの文は意味がまったく異なる。自衛隊だけでなく、日本政府が、完全に曖昧な「日本周辺」におけるいかなる地域の国際紛争であっても、米国の好戦的な脅威および武力行使を支援するために、米国政府とその作戦を調整、つまり米国政府に従属させなければならない、ということだからである。
共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討は、その結果が日米両国政府の各々の計画に適切に反映されることが期待されるという前提の下で、種々の状況を想定しつつ行われる。日米両国政府は、実際の状況に照らして、日米両国各々の計画を調整する。日米両国政府は、共同作戦計画についての検討と相互協力計画についての検討との間の整合を図るよう留意することにより、周辺事態が日本に対する武力攻撃に波及する可能性のある場合又は両者が同時に生起する場合に適切に対応し得るようにする。
コメント:換言すれば、米国は日本に要求する協力も含め、様々な状況を想定して、一方的に作戦計画を立てる。一方的な米国の計画努力の結果が日本政府の計画に適切に反映されることを期待して、計画を立てるのである。これは、日本に対する武力攻撃の際、米国が日本の防衛を支援するという日米安保条約のもとでのコミットメントを果たすために、米国が世界中(つまり、日本周辺)において国際紛争を解決するため威嚇したり、または武力行使をしたりする場合に、いつでも日本は従順に米国を支援しなければならないということである。
(2) 準備のための共通の基準の確立
日米両国政府は、日本の防衛のための準備に関し、共通の基準を平素から確立する。この基準は、各々の準備段階における情報活動、部隊の活動、移動、後方支援その他の事項を明らかにするものである。日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府の合意により共通の準備段階が選択され、これが、自衛隊、米軍その他の関係機関による日本の防衛のための準備のレベルに反映される。
同様に、日米両国政府は、周辺事態における協力措置の準備に関しても、合意により共通の準備段階を選択し得るよう、共通の基準を確立する。
コメント:つまり、日本は米国が決める基準に準じなければならない、ということである。
(3) 共通の実施要領等の確立
日米両国政府は、自衛隊及び米軍が日本の防衛のための整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に実施できるよう、共通の実施要領等をあらかじめ準備しておく。これには、通信、目標位置の伝達、情報活動及び後方支援並びに相撃防止のための要領とともに、各々の部隊の活動を適切に律するための基準が含まれる。また、自衛隊及び米軍は、通信電子活動等に関する相互運用性の重要性を考慮し、相互に必要な事項をあらかじめ定めておく。
コメント:日本は米国が決める実施要領に準じなければならないのである。
2. 日米間の調整メカニズム
日米両国政府は、日米両国の関係機関の関与を得て、日米間の調整メカニズムを平素から構築し、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際して各々が行う活動の間の調整を行う。
コメント:日米間の調整メカニズムとは何なのであろうか。
調整の要領は、調整すべき事項及び関与する関係機関に応じて異なる。調整の要領には、調整会議の開催、連絡員の相互派遣及び連絡窓口の指定が含まれる。自衛隊及び米軍は、この調整メカニズムの一環として、双方の活動について調整するため、必要なハードウェア及びソフトウェアを備えた日米共同調整所を平素から準備しておく。
コメント:日米共同調整所とは何か。
VII. 指針の適時かつ適切な見直し
日米安全保障関係に関連する諸情勢に変化が生じ、その時の状況に照らして必要と判断される場合には、日米両国政府は、適時かつ適切な形でこの指針を見直す。
コメント:日本の国民が自分達が主権国家の国民であり、米国の属国の構成員ではないと考え、さらに、自国の独立や主権を重んじるのであれば、佐藤孝行氏を辞任させたのと同様に、この指針を強く拒絶すべきである。
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【別表】・・・周辺事態における協力の対象となる機能及び分野並びに協力項目例
コメント:別表のタイトルをよく見て欲しい。この別表に当てはまるのは日本の防衛ではなく、極めて曖昧な「周辺事態」において日本が米国の活動をどのように支援するかということである。ここで書かれていることは、潜在的に、日本国憲法に違反している。なぜならば、米国が武力による威嚇、武力行使で国際紛争を解決しようとする時、日本が米国に提供するいかなる支援も、武力による威嚇、武力行使に日本が参加することを意味するからである。
機能及び分野
日米両国政府が各々主体的に行う活動における協力
コメント:この見出しは、日米両国政府のどちらかが一方的にとった行動であっても、もう一方の政府がそれを支援しなければならないということを示唆しているのではないだろうか。
救援活動及び避難民への対応のための措置
○ 被災地への人員及び補給品の輸送
○ 被災地における衛生、通信及び輸送
○ 避難民の救援及び輸送のための活動並びに避難民に対する応急物資の支給
コメント:この3項目の表記は一見差し障りがないように見える。しかしこれはあまりにも曖昧である。どういった状況で、どの地域を対象としているのか。このような差し障りのない項目を、日本により多くの資金や土地、施設、サービスを要求するために米国に利用される文書になぜ盛り込む必要があるのだろうか。日本の人道的活動の記録が米国より劣ることはない。この分野で必要性が生まれれば、なぜ日本政府の判断にそれを委ねようとしないのか。
捜索・救難
○ 日本領域及び日本の周囲の海域における捜索・救難活動並びにこれに関する情報の交換
コメント:米国が一方的に威嚇や武力行使、その他好戦的な活動で国際紛争を解決しようとした場合、日本はその活動を支援するために捜索・救難活動に参加することが義務づけられる。これは、犯罪者が犯罪を犯すのを手伝うのが法律違反であるのと同様に、明らかに憲法違反である。
非戦闘員を退避させるための活動
コメント:この項目はすべて日本に憲法違反を強要させるものである。米国が威嚇や武力行使により日本国外の国際紛争を解決しようとすれば、日本も戦闘員と非戦闘員の区別なくその活動に加担させられることになる。戦車を標的に誘導する無線オペレーター(非戦闘員)も、交戦時には、戦車から標的目掛けて発砲する戦闘員と同等に重要である。したがって非戦闘員を退避させることは威嚇、武力行使に参加するのと同じことであり、憲法違反である。
○ 情報の交換並びに非戦闘員との連絡及び非戦闘員の集結・輸送
○ 非戦闘員の輸送のための米航空機・船舶による自衛隊施設及び民間空港・湾港の使用
コメント:日本の防衛に直接関係のない活動のために、なぜ米軍が自衛隊施設および民間空港・港湾を使用しなければならないのか。日本または他国の軍隊が、米国の軍施設を利用するだろうか。この施設の利用にかかる費用は誰が支払うのか。日本の納税者は在日米軍に対して、「思いやり予算」としてすでに年間6,476億円も補助している。言い換えれば、日本政府は中小企業補助金の3.5倍、大学補助金の2.1倍、保育所への補助金の2.1倍をこの思いやり予算に費やしている。この指針によって、米軍による自衛隊施設および民間空港・港湾の使用が認められれば、日本の納税者の負担はさらに増えるのではないだろうか。もしそうでなければ、米国が使用する日本のすべての施設に対して米国が適正市場価格を支払うと明記すべきである。
○ 非戦闘員の日本入国時の通関、出入国管理及び検疫
コメント:これが何を意味するのか私にはわからない。
○ 日本国内における一時的な宿泊、輸送及び衛生に係る非戦闘員への援助
コメント:米国がベトナム戦争のような軍事行動を日本の周辺地域でとった場合の米軍の宿泊、輸送、および衛生に係る費用を、日本の納税者が負担するということであろうか。
国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動
○ 経済制裁の実効性を確保するために国際連合安全保障理事会決議に基づいて行われる
○ 船舶の検査及びこのような検査に関連する活動
コメント:すすんで検査を受けようとする船舶を日本の自衛隊が日本国外で検査する必要はない。検査に応じない船舶を日本国外で捜索するためには、威嚇や武力行使といった日本国憲法に違反することを行わなければならない。
○ 情報の交換
コメント:この項目も内容を明確にするか、削除する必要がある。
米軍の活動に対する日本の支援
施設の使用
○ 補給等を目的とする米航空機船舶による自衛隊施設及び民間空港湾港の使用
○ 自衛隊施設及び民間空港・湾港における米国による人員及び物資の積卸しに必要な場所及び保管施設の確保
○ 米航空機船舶による使用のための自衛隊施設及び民間空港・湾港の運用時間の延長
○ 米航空機による自衛隊の飛行場の使用
○ 訓練演習区域の提供
○ 米軍施設区域内における事務所宿泊所等の建設
コメント:これは冗談としか思えない。日本や他の国の軍隊が、米国周辺地域において気まぐれに軍事介入を行った時、米国の施設を同じように使用するであろうか。米国が日本の施設を利用する費用は誰が負担するのか。日本の納税者でないとすれば、なぜそう書かれていないのか。また、これらは米軍が日本を防衛するためではなく、米国政府が一方的かつ気まぐれに日本の周辺地域で行うと決めたことを米軍が実行するためだということも忘れてはならない。
<後方地域支援>
補給
○ 自衛隊施設及び民間空港・湾港における米航空機船舶に対する物資(武器・弾薬を除く。)及び燃料油脂・潤滑油の提供
○ 米軍施設区域に対する物資(武器弾薬を除く。)及び燃料・油脂・潤滑油の提供
コメント:まず第一に、(武器弾薬を除く)という、括弧で囲まれた紛らわしい表現に騙されてはならない。武器・弾薬でないいかなる物資であっても、威嚇や武力行使のために提供すれば、それは軍事活動への参加を意味し、憲法違反である。第二に、米国が使う、日本の燃料、油脂、潤滑油、軍施設、民間の港湾・空港、交通機関、その他の物資について、誰がその費用を負担するのかもまったく明記されていない。
輸送
○ 人員、物資及び燃料油脂潤滑油の日本国内における陸上海上・航空輸送
○ 公海上の米船舶に対する人員、物資及び燃料油脂潤滑油の海上輸送
○ 人員、物資及び燃料油脂潤滑油の輸送のための車両及びクレーンの使用
コメント:犯罪を助けるために輸送を行えば共犯であり、それは法律違反である。国際紛争解決のための威嚇、武力行使の支援のために輸送を行えば、それに参加するのと同じであり、違憲である。さらに、この輸送サービスの費用は誰が負担するというのであろうか。
整備
○ 米航空機船舶車両の修理整備
○ 修理部品の提供
○ 整備用資器材の一時提供
コメント:犯罪で利用する飛行機、船舶、車両の修理整備、あるいは修理部品や整備用資器材の提供は共犯であり、違法である。同様に、国際紛争解決のための威嚇、武力行使で使う飛行機、船舶、車両、武器で同様ものを提供すれば、それに自分が参加したことになり、憲法違反である。また、この整備費用は誰が支払うのか。
衛生
○ 日本国内における傷病者の治療
○ 日本国内における傷病者の輸送
○ 医薬品及び衛生機具の提供
コメント:憲法違反の行為に対して、誰がその費用を負担するのか。
警備
○ 米軍施設区域の警備
○ 米軍施設区域の周囲の海域の警戒監視
○ 日本国内の輸送経路上の警備
○ 情報の交換
コメント:憲法違反の行為に対して、誰がその費用を負担するのか。
通信
○ 日米両国の関係機関の間の通信のための周波数(衛星通信用を含む。)の確保及び器材の提供
コメント:憲法違反の行為に対して、誰がその費用を負担するのか。
その他
○ 米船舶の出入港に対する支援
○ 自衛隊施設及び民間空港湾港における物資の積卸し
○ 米軍施設・区域内における汚水処理、給水、給電等
○ 米軍施設区域従業員の一時増員
コメント:憲法違反の行為に対して、誰がその費用を負担するのか。また、日本の周辺事態において米国の威嚇や武力行使の対象となる国の立場を考えて欲しい。日本が指針通り、米軍の活動を支援すれば、その対象国が米国からの防衛のために日本を攻撃してもそれは正当防衛になる。米国が一方的に、思いつきで、他の国を威嚇し、攻撃すると決めた場合、米国が思いのままに、日本国民を危険にさらすような状況を作り出すことを日本国民は望んでいるのだろうか。
運用面における日米協力
警戒監視
○ 情報の交換
コメント:これだけで理解できるであろうか。
機雷除去
○ 日本領域及び日本の周囲の公海における機雷の除去並びに機雷に関する情報の交換
コメント:泥棒を助けるために防犯装置を切ることと、米軍の好戦的な威嚇と武力行使を助けるために機雷を除去することは同じである。しかし一方は法律違反となり、他方は憲法違反となる。なぜ日本国民はこのようなサービスに税金を費やし、命や財産を危険に晒し、日本の防衛や安全保障を超えた日本周辺地域における米国の一方的で気まぐれな冒険までも支援しなければならないのであろうか。
海空域調整
○ 日本領域及び周囲の海域における交通量の増大に対応した海上運航調整
○ 日本領域及び周囲の空域における航空交通管制及び空域調整
コメント:最後に、この費用を負担するのは誰なのか。日本周辺地域における国際紛争解決のための米軍の威嚇や武力行使を助けるための、このサービスの費用は誰が負担するのか。これは日本国憲法に違反し、かつ日本国民の命と財産を危険にさらすことになる