No.131 「日米防衛協力のための指針」発表前の米国防省の記者会見

9月23日の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の発表に先立った9月19日、カート・キャンベル米国防副次官補が国防総省で記者会見を行いました。以下はその抄訳です。キャンベルの答弁から、米国政府が指針をどう位置づけているかがよくおわかりになるはずです。

「日米防衛協力のための指針」発表前の米国防省の記者会見

キャンベル米国防副次官補(A): 指針は、日米安全保障および政略上の取決めのためのソフトウェアのようなものである。この指針は、日本および周辺事態を脅かす危機への対応に関して、日米の政府首脳および軍事計画者がどのような役割と使命を持つか示す手引きである。

コメント: 日本だけでなく、周辺事態が強調されている点に注目して欲しい。

A: 日米安全保障関係が基本的なある種の試金石であると私は考える。そういう意味でこの指針は米国の前方展開配備の枠組みを提供し、それによってアジア太平洋地域の平和と安定の維持能力を試すものである。そして、今回の指針は多くの点から、NATO拡大のアジア版であるといえる。アジアにおいて極めて重要な戦略上の新基軸であり、これにより日米安全保障および政治のパートナーシップは21世紀のために意味のあるものになると信じている。

コメント:日本の政府やマスコミは、この新たな指針がNATO拡大のアジア版であると日本の国民に伝えたであろうか。

記者会見での質問(Q): 9月23日にこの合意書の調印が行われるのか。

A: そうだ、合意書が発表される。

コメント: この新たな指針に関する審議や承認は、日本国民や日本の国会では行われていないにもかかわらず、米国政府はそれがすべて完了した合意書であると捉えている。

Q: 合意が得られたとすると、具体的に4つほど、内容を説明してほしい。

A: 指針は日米が平素および有事に協力するための枠組みである。その9割は、対米後方支援として、緊急時に日本が行うことを日本から米国に明示したものである。

コメント: 日本の政府およびマスコミは、「指針の9割が対米後方支援として、緊急時に日本が行うことを日本から米国に明確に提示したものである」と日本国民に伝えたであろうか。

A: 湾岸戦争中、そして朝鮮半島における核危機の折に、アジア太平洋の安全保障の危機に際して米国が日本に何を期待できるか、さらには日本が自国から何を期待できるかということに大きな疑問が生じた。そのために今回の指針の9割は、後方支援に関して何が期待できるかを、日米両政府に対して明確化させた。つまり、後方地域の飛行場、港湾、防衛部門をいかに利用できるかを示したのである。

コメント: 湾岸戦争がアジア太平洋の安全保障とどのような関係があるのか。日米政府が「透明性」を装いながら、「周辺事態」などという不明瞭な表現を使っている理由がこれでわかるだろう。日本の政府やマスコミはこのような指針の解釈を日本国民に伝えたのであろうか。

A: 同時に、この指針の見直し作業を開始した時点で、両国の間に、日本が平和憲法を保持し続け、武力行使を慎むことがこの地域の平和と安定の鍵であるという了解があった。したがって、日本はこれからも平和憲法の基本を保持し続けることに変わりはない。

コメント: 仲間が少女を暴行できるように少女を抑えてやることは罪ではないというのか。米軍が国際紛争解決のために交戦、威嚇、武力行使を行い、日本がその後方支援として米軍に空港や港湾、その他のサービスを提供すれば、それは違憲ではないのか。

A: 2つ目は地域の危機への対処である。例えば、日本本土あるいは周辺に機雷が置かれた場合、日本の掃海艇が航海の自由を守り、シーレーンを確保するために、公海で作業することが可能になる。これまで日本では憲法上それを行うことができなかった。この指針により、日本の海上自衛隊がそうした役割を果たす際の枠組みが提供されることを期待している。

コメント: 泥棒のために防犯装置を解除してやることが犯罪なら、米軍が威嚇や武力行使により国際紛争を解決するのを助けるために機雷を除去すれば憲法違反になるのではないか。

A: さらに日本は公海上の航空機によるシーレーンの哨戒において偉大な能力を有している。したがって緊急時には潜在的に優れた能力を発揮してくれるであろう。さらに、アジアにおいて日米両国民が一緒になる場面が増えるため、非戦闘員の退避において協力が期待できる。こうした分野における協力により、アジア太平洋地域の平和と安定を創造・維持し、かつ他の諸国に脅威を与えないという目標達成を促進すると確信する。
指針の残りの1割は、日本の国連活動の支援に関することである。ここ数年来、日本はその外交政策の一貫として、ザイールやモザンビーク、ゴラン高原、カンボジアなどに自衛隊を派遣してきた。その規模は小規模であったが、国際社会の国連活動を支援する上で、日本が責任のある積極的な役割を果たしたいという意向を持っていることを示している。国連の活動に参加することを日本が決めた場合、米国はそれを支援する。

コメント: 国連の活動といっても、米国が支持する活動に限定される。米国は国連常任理事国として拒否権を持っているが、日本は常任理事国ではなく、拒否権を持たない。日本は国連の平和維持活動を支援する義務はない。国連が日本の助けを望んでいるのであれば、まず日本に国連の意思決定における発言権を与えるべきである。

A: 指針の見直しで最も重要であったのは、官僚や軍事関係者だけではなく、さまざまな分野においてこの見直し作業が解説された点にある。まず第一に日本国内でそれが行われた。
過去2年間、安保問題の見直しが行われてきた。それが開始された2年前には日本の新聞には安保に関する記事が皆無であり、安保問題を取り上げるのは御法度であった。しかし今回の見直し作業の結果、日本のマスコミの読者、視聴者の間で、安全保障が広く議論され検討されるようになった。これは大きなプラスである。日本が極めて複雑な問題に取組んだ結果、今では日米が同じ土俵で次のステップとして何が正当かを考えられるようになった。

コメント: 果たして本当に、安全保障が日本で広く議論され、検討されているのであろうか。そして、キャンベルが言うように、日米が本当に同じ土表で物を考えられるようになったのであろうか。

A: また、日本は米国とともに、また独自に、この見直しについて地域に説明を行っている。アジア太平洋地域では依然として日本の軍事化に懸念を抱いている。日本は韓国、中国、他の東南アジア諸国に対してこの作業を完全に透明なものにすべく真剣に取組んできた。

コメント: どのように取組んだというのか。そして近隣諸国は納得したというのだろうか。

Q: 指針は日本が実際に機雷を除去し、非戦闘員の退避を行うと言っているのか。指針には日本にそれを行うようコミットさせると具体的に書かれているのか、それともこういったことを行う可能性が生まれただけのことなのか。

A: 特定の使命を遂行するための計画が立てられるということである。それを可能にするのが指針である。そしてさまざまな使命の達成で日米が協力できる。しかし、両国とも特定の状況にどのように対応するかを決めてはいない。この指針は日米の政府に特定の状況への対処手段として選択肢を与えるものである。過去にはそうした選択肢はなかった。これは日本の行動を強制するプログラムではないが、この指針によって米国政府には選択肢を選ぶか選ばないかの決断が可能になる。自動的に実行されるものではないが、政治的決断があれば状況に対応できる能力が与えられる。

コメント: この文章が理解できるだろうか。要するに、米国の植民地である日本の総督、橋本や他の役人が、米国が望み通りのことを日本に行わせたいがために、日本にそれを無理強いさせる時に使える武器(証明)がこの指針なのである。これさえあれば、日本の民間空港や港湾の使用、機雷除去の支援など、日本は米国にすでに約束しているとして、日本政府は国民にそれを行うことを承諾させることができるのである。「この指針は日米の政府に特定の状況への対処手段として選択肢を与えるものである。過去にはそうした選択肢はなかった」とあるが、私にはこの指針が、過去には行う必要がなかったことまで日本に強要し、義務づけるための体系にしか思えない。オルブライト、コーエン、小渕、久間の4名は自国の政府のために働いているはずである。しかし、上記のキャンベルの発言からすると、この4人が用意した指針は、政府が選択する政策、つまり選択肢を限定し、政府がとる行動を命令するものであると考えられる。

Q: これは条約ではないのか。

A: 取決めである。

コメント: これもわけのわからない問答である。条約と取決めの違いは何なのか。辞書によれば、条約は2国間の正式な取決めであり、正式な取決めには議会の承認が必要とある。この指針は、小渕恵三外務大臣、久間章生防衛庁長官、マデレーン・オルブライト国務長官およびウィリアム・コーエン国防長官の間で交わされた個人的な取決めだというのか。それとも、日米両政府の間で合法的に承認された正式な取決めなのか。4人の個人的な取決めであれば、小渕外務大臣と久間防衛庁長官の旅費は個人持ちか、それとも税金で支払われたのか。

Q: この取決めにより、韓国の防衛で日米が協力する選択肢も与えられたのか。また台湾の防衛に関してはどうか。

コメント: この質問では、独立国、韓国と中国の一部である台湾が同等に扱われている点に注目して欲しい。中国が鹿児島を日本から防衛する、あるいはニューヨークを米国から防衛するなどといった話をすることがあり得るだろうか。なぜ国防省の役人は台湾は中国の一部であり、台湾の防衛は中国の内政で米国が干渉すべきことではないと、はっきり言わないのか。また日本政府もなぜそれを明言しないのか。

A: 日米関係の基本は、1960年の日米安保である。指針の見直しは地理的なものではなく、事実、これは日米政府首脳に対して役割および使命を特定し、かつ明確にする取決めであり、この取決めにより様々な状況において両国の軍隊が何をどのように行うかが以前よりも明確に理解される。これには紛争だけではなく、難民の増加といった状況まで含まれる。

コメント: この「役割および使命を特定し、かつ明確にする」という言葉に注目してほしい。それはこの指針が日本の政府首脳に対して、日本政府と日本の役割、使命の遂行を命令しているということではないか。そうでないとすれば、どういう意味なのか。私の解釈が正しければ、指針の策定者4人は、日本政府が何を行うべきか命令を下していることになる。

A: 中国からの懸念については、中国に対して指針の見直しが何であるのか、それが中国を対象としていないことを説明するために特別な努力を払ってきた。これは中国封じ込めのためのメカニズムではない。平和と安定の基盤、それに付随した比類のない中国の繁栄を提供する体制を確実にするためのメカニズムであり、そうした関係が継続することを可能にするものである。

コメント: この説明が理解できるであろうか。

A: 中国に対して、米国と日本ほど中国に対する前向きな関与に関心を持っている国はない点を明確にしてきた。また、台湾問題が平和裏に解決されることに日米ほど関心を持っている国はない。そのためのプロセスが平和裏に実施されることを期待する。それが米国の目標である。最近の橋本首相と江沢民主席の首脳会談は、日中の両国民の間の信頼と透明性を大きく押し上げることになったと確信している。

コメント: 日米が中国の主権を理解し、台湾を中国の一部であると認めるのであれば、中国政府が台湾の問題をどのように扱おうが、それは米国政府がニューヨークをどう扱うか、あるいは日本政府が鹿児島をどう扱うかと同じ次元の話であり、日米両国には関係のない問題である。

Q: 台湾海峡で危機が発生すれば、駐日米軍と日本の軍隊はともに出兵するのか。

A: 仮定の話には答えられない。米国は、台湾関係法を遵守する。我々の目標と期待は、中国と台湾の対話が平和裏に行われるため、両国に挑発的な外交または軍事行動、さらには互いの信頼を損なう演習や外交活動は慎むよう呼びかけている。また我々の考えでは、最も賢明で前向きな方向性は、中国と台湾の直接のコミュニケーションであり、対話の再開であると確信する。

コメント: 以下は、台湾関係法に関する私の分析である。

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米国は1979年、台湾との国交を断って中国との国交を正常化した。その際、台湾関係法という国内法を制定した。これは、台湾との関係を維持すること、台湾に対する武力行使や圧力があった場合にはアメリカはこれを排除すること、また台湾住民の人権を擁護することなどを約束したものである。96年の台湾総統選のときに軍事威嚇を行った中国に対して米国が即座に軍を派遣したのはこのような背景からである。

コメント: ある国家が、別の主権国家の一部の領域と通商、文化その他の諸関係に関する法律を片務的に制定すること自体、おかしいのではないだろうか。中国が、例えばカリフォルニアの住民に対して「通商、文化その他の諸関係」について同じような法律を制定したら、米国はどう反応するであろうか。

<<台湾関係法(霞山会中国総覧80年版より)>>

第一条 この法律は台湾関係法と略称される。
第二条
(A) 大統領が、1979年1月1日以前に中華民国として合衆国により承認されていた台湾の統治当局と合衆国との政府関係を停止したことに伴い、議会は以下のためにこの法律の実施を必要と考える。
(1) 西太平洋における平和、安全および安定の確保に協力し、
(2) 合衆国人民と台湾人民間の通商、文化その他の諸関係の継続を承認することにより合衆国の外交政策を促進する。
(B) 合衆国の政策は以下の通り。
(1) 合衆国人民と台湾人民との間および中国大陸人民や西太平洋地区の他のあらゆる人民との間の広範かつ緊密で友好的な通商、文化およびその他の諸関係を維持し、促進する。
(2) 同地域の平和と安定は、合衆国の政治、安全保障および経済的利益に合致し、国際的な関心事であることを宣言する。

コメント: 指針における「日本の周辺」を米国がどのように見ているかがこれでわかる。ここで明確に米国は、台湾周辺(地球の上で米国からかけ離れた地域)が米国の安全保障にとって重要だとしている。これは、米国が自国の防衛を理由に、地球上のあらゆる地域に干渉できると思っていることを示している。したがって、米国は新たな指針のもとで、日本の安全保障を守るという名目で、地球のいかなる場所においても、米国の交戦、武力による威嚇、武力行使を日本に支援するよう要求してくるに違いない。

(3) 合衆国の中華人民共和国との外交関係樹立の決定は、台湾の将来が平和的手段によって決定されるとの期待に基づくものであることを明確に表明する。

コメント: 米国がそのように期待するのであれば、米国が中国と外交関係を樹立する前に中国になぜそう頼まなかったのであろうか。また頼んでいたとしたら、中国はそれに対してどう答えたのであろうか。

(4) 平和手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなるものであれ、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、合衆国の重大関心事と考える。

コメント: これこそまさに主権国家である中国に対する露骨な内政干渉に他ならない。

(5) 防御的な性格の兵器を台湾に供給する。

コメント: そしてこれも主権国家である中国に対する内政干渉の、さらにたちの悪いやり方ではないか。もし中国が、例えばミシガン州に武器を売り始めたら、米国はどのような反応をするだろうか。米国か、またはどこかの国が沖縄に武器を売り始めたら日本政府はどう対応するであろうか。

(6) 台湾人民の安全または社会、経済の制度に危害を与えるいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる合衆国の能力を維持する。

コメント: これもまた中国の主権を完全に無視している。このような法律を日本や米国に対して他国が制定したら、日本や米国はどう感じるであろうか。

(C)   本法律に含まれるいかなる条項も、人権、特に約1,800万人の台湾全住民の人権に対する合衆国の利益に反してはならない。台湾のすべての人民の人権の維持と向上が、合衆国の目標であることをここに再び宣言する。

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Q: 指針は地域の空港や港湾、その他の設備を利用できると述べているのか。具体的にどの空港が使用可能かまで言及しているのか。

A: もちろんである。指針によって、両国の軍事関係者や政府が、さまざまな空港や港湾の保証を与えることが可能になる。

コメント: 国民はどうなのか。国民はこの指針が施行される前に指針を承認するかどうかの意見を述べる機会を与えられたのか。それともこの指針は、国民から民主的権利を奪うための策略なのか。

Q: 保証を与えるとはどういうことか。

A: アジア太平洋地域の危機に、米国が空港、港湾、その他の施設を利用することを保証するものである。これが指針の狙いである。

コメント: 国会の承認もなしにこれを行うというのか。

Q: この取決めにはどの空港がどういう状況で使用可能かなどの詳細については含まれず、将来それが盛り込まれた取決めが生まれる可能性があるということのようである。では来週調印される指針そのものには何が書かれているのか。

A: 具体的な施設に関する詳細はさまざまな状況に対する日米の対応を盛り込んだシナリオであり、これは機密事項であって公表できない。しかし、日本がこの分野において米国を支援できることはほぼ間違いないと信じている。

コメント: 何がこうした保証を与えるのか。この指針は小渕外務大臣と久間防衛庁長官が個人的に調印した文書に過ぎず、国会での審議も、決議も、承認も行われていないというのに。

A(サコダ中佐が回答): この文書は日米防衛協力の枠組みを提供するものであり、政治的な権限を与えるものである。これは全般的なもので詳細計画の権限は含まれておらず、特定のシナリオや第三国を想定してはいない。ただし、どのような分野について、日米が緊急事態を検討し始めるかが書かれている。シナリオを特定はしていないが緊急事態の計画や検討を開始するための枠組みを提供する。

コメント: 誰が、どのようなプロセスでその権限を与えたのか。これは非常に重要なポイントである。小渕外務大臣と久間防衛庁長官が調印した指針が、国会の審議も、決議も承認もないまま、日本の政治家にこの指針に書かれていることを日本にコミットさせる権限を与えたと米国側は主張している。これは日本の政治権力および法的権利をはなはだしく侵害している。

A: これは軍部と官僚に、考えられうる状況に対する具体的なシナリオを準備する政治的権限を与えるものと考えられる。

A(サコダ): 次に我々はどうやって計画を策定するかを考えなければならない。検討の対象となる緊急事態とは何かなど、作業が続く。しかし、そのためには政治的決断が必要である。それが、我々がこれにコミットすることを示す大きな決断となる。したがって、コミットメントについて言えば、この指針の枠組みを超えた政治的なコミットメントになるということである。

コメント: 上記の答弁が理解できるだろうか。私には理解できない。

Q: 日本政府はこうした緊急事態の計画になぜ政治的権限が必要なのか。

A: 日本では憲法の解釈が非常に重要である。例えば、湾岸戦争でも、1993年の朝鮮半島の核問題においても、日本がそれに対応できる能力を持ちながらも基本的に何もできなかった。それは、憲法およびそれに付随した法的枠組みの解釈による。そこで今回の指針が狙っていることは、まず第一に、危機が発生した際に、日本はどのような分野で米軍を支援するか、第二に、平和と安定を提供するのはどういった分野か、第三に、日本国憲法の精神および内容に違反しないのはどういった分野かを特定することである。したがって、この過程すべてが、合法的で憲法に基づいているだけでなく、軍事的な作戦過程であり、政治的な過程でもある。これではあまりに慎重すぎると思われるかもしれないが、すべての分野と調整を図ることが日本では極めて重要である。日本の地方や政党に対して、指針が日本国憲法に違反しないこと、米国とのパートナーシップの強化につながることを説明することは重要である。

コメント: この回りくどい説明が理解できるであろうか。つまりはオルブライトとコーエン、小渕、久間の4人が日本国憲法を勝手に再定義・再解釈したということではないだろうか。

Q: つまり指針が調印されても、保証を得るための交渉のチャンスが与えられるだけであって、この時点では危機を特定するものでもなく、日本のどの施設を利用できるかを保証するものでもない、それらはすべてこれから決まるということか。

A: その通りである。

コメント: つまり、この指針は、米国が自国の解釈どおりに日本に従わせる時に使う棍棒であり、日本政府が、米国の望みどおりに日本をコミットさせるべく、日本の法律、政治過程、憲法を逸脱する時に利用する言い訳にすぎない。

Q: アジアからの懸念に対して、この指針はどのような影響を与えたのか。

A: 東南アジアと韓国については、日本との同盟関係を活性化し継続させるという目標が評価されており、この枠組みがこの地域における米国のプレゼンスを継続させることになると理解されている。米軍のプレゼンスの継続についてはこの地域のすべての国が少なくともそれを肯定も否定もしない。中にはその継続を強く望んでいる国もある。

コメント: 肯定も否定もしないということは、即座に反対しないということだが、中国は指針に即座に反対し、他のほとんどの国が態度を決めかねている。即座に同意したのはオーストラリアだけではなかったか。

A: 中国は懸念を持ち続けるであろうが、積極的にこの過程を説明し、できるだけ透明性をもたせていく。また、いわゆるアジアの非公式の三ヵ国対話を米国、中国、日本の間で増やしていくことが我々の目標でもある。日米、米中の関係が良くなってもアジアにおける真の平和と安定は達成できない。したがって、中国と日本の間で良い関係、透明性、信頼を高めることが重要である。この指針が中国を意識したものではなく、日米関係を強化し、この地域の米国のプレゼンスおよびパートナーシップを継続させることを狙ったものであることを中国に説明する。

コメント: ではなぜ米国はこれを3ヵ国の指針としなかったのか。

Q: 駐日米軍について、これまでは危機の際に利用できる空港、港湾などの保証がなかったと述べていたが、この指針ができても大きな変化はないのではないか。

A: 米国はこれまでも日本の施設を利用してきたし、日本からのコミットメントを得てきた。しかし、それは米国が日本にある米軍基地から出兵したり、拠点として利用しただけであった。今回我々が対象としているのは、もっと大きな危機であり、より大規模な人道的救済が必要な状況である。恐らく民間の施設を利用することになるであろう。こうした保証を得ること、危機に対応できる能力を有することは重要である。

コメント: 「透明性」を掲げながら、なぜこうした欺瞞を押し付けることができるのであろうか。殺人犯のアジトや拠点として自分の家を利用されれば殺人の共犯である。米軍に日本の基地から出兵させることは、国際紛争解決のために交戦や威嚇、武力行使を行う米軍を助けることであり、それは憲法違反である。また「人道的」という言葉に騙されてはならない。指針の真の狙いから、注意をそらすための策略である。

A(サコダ): 日本は憲法で戦争放棄をうたっている。この指針見直しの過程で我々はそれを尊重しようとしている。つまり、日本の憲法を尊重して、日本が戦争放棄を誓う憲法を遵守するという決定を尊重し、その中で防衛協力ができる分野を探そうとしている。これこそ、この指針の狙いである。米軍は日本に駐留し、日本はさまざまな面で積極的にそれを支援している。しかし、この指針は日本の防衛にとって、防衛だけでなく、この地域の緊急事態においても米国を支援するという積極的な方法を提供するものである。したがって、日本国憲法や日本国内の制約を範疇に入れて考えなければならない。

コメント: 言い換えれば、「国際紛争を解決するための交戦、威嚇、武力行使を支援し、煽動することは日本国憲法には抵触しない」というばかげた論理を認めさせようという策略がこの新たな指針である。泥棒や殺人犯、レイプの片棒をかつぐのと同様に、これは憲法違反であることを忘れてはならない。

Q: 日本はこの指針によって、その軍事的役割が拡大するということを快諾したというのか?

A(サコダ): その通り。

コメント: 日本の政府やマスコミは日本国民にこのことを知らせたのであろうか。

Q: 日本は政治的にも、軍事的にもすでにその意向であるということか。

A(サコダ): この指針は単に軍事的なものではなく、民間の役割が活発になる。

コメント: またここでも欺瞞が見られる。質問は「意向」と言っているのに、回答では「役割」となっている。意向や意志に反して役割を持たせるのは「奴隷」である。

A: これはその地域に懸念を与えるためのものではない。指針は、危機において日本に責任のある役割および使命を与えるものである。日本の基地を長年にわたって米国は使用してきており、日本は今では世界で最も寛容な支援を米軍に提供している。在日米軍は兵士1人当たり年間10万ドルの支援を日本から受けており、これはかなりの額といえる。そしてこれは今後も続く。

コメント: 日本政府やマスコミは日本が米軍駐留兵士1人当たり10万ドル、約1,200万円を支払っていることを納税者に知らせているのであろうか。

A: そしてこれに加え、さらに深刻な危機において、日本から追加で提供される施設がどこになるのか、いかにしてその施設の安全を提供するのか、それを明確にするために米国とどう協力するのかを、日本が保証してくれることを期待している。

コメント: 1人当たり1,200万円に加えて、利用する施設が増えると日本の負担はさらにどれほど増えるのであろうか。

Q: 地位協定や役割分担の関係に変化が生じるのか。

A: 生じない。これについては非常に満足している。日本の接受国支援は非常に強力であり、それを期待することに変わりない。米国は日本の接受国支援をありがたいと思っている。

コメント: 米国が日本で有する治外法権をあきらめるようなことをするはずがない。大半の帝国主義者は50年以上前にこうした治外法権を失っている。