No.158 読売の7つの提言に対する反論(1):信頼回復へ大胆政策を

 日本で最大の発行部数を誇る読売新聞が、4月21日より「経済危機7つの提言」と題して8回の連載記事を掲載しています。これまで読売新聞は、米国主導の新経済秩序の立役者達を喜ばせるために、自民党や日本政府がとったその場しのぎの政策をすべて非難していました。その読売新聞が突然手のひらを返したかのように、英米両国が日本に要求する所得税や法人税の減税を全く同じように提言し始めたのです。そこで私はこの読売新聞の提言が日本にいかに有害であり、危険であるかを、ニューヨーク在住のエコノミスト、マイケル・ハドソンに詳しく分析してもらい、今週は休刊する予定を急遽変更して、読者の皆さんにお送りすることにしました。是非お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

あすでは遅すぎる・経済危機7つの提言(1)
信頼回復へ大胆政策を(連載)
98.04.21 読売新聞
経済危機取材班 経済部長・早川準一

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<戦後最大級の難局>

読売:「日本経済はタイタニック号か」――アカデミー賞を独り占めにした人気映画になぞらえて、不況の行く末が不安気に語られている。

ハドソン:最初に、読売が使ったこの比喩をよく覚えておこう。タイタニック号の惨事では、富裕者は救助され、貧乏人は自分でなんとかするようその場にとり残されたのである(そして、多くの人々が命を失った。特に最初に切り捨てられたのはタイタニック号の船底で石炭をくべていた労働者だった)。読売新聞が提案する新たな処方箋はまさにこれと同じである。富裕者を救済し、一般的なサラリーマンは自分で自分の身を守れ、ということなのである。

読売:順風満帆だった日本経済は今、やみ夜に海図なき航海を続けている。

ハドソン:航海は13年前、1985年のプラザ合意に始まった。日本は自国の政策を米国人の手に委ねたのである。その結果バブルが起きた。13年前に始まったこの政策が、今日本を海底に沈めようとしている。この航海は綿密に計画されたものであった。IMFが南米、最近では韓国やロシアでとった政策によって、それらの国々を崩壊に導いたことを見れば明らかである。これらの諸国は自国の最高の資産を欧米の投資家に売却することを余儀なくされた。(日本ではここ1、2ヵ月の間に、明治生命がドイツのドレスナー銀行と業務提携し、資産運用事業を行うことになった。また日本企業11社がジャーディン・フレミングと合弁事業を設立した。)外国人への売却をIMFそして読売新聞は「構造調整」と呼んでいる。つまり、新世界経済戦争に敗れた経済は、調整を行わなければならないということである。この経済戦争を読売新聞は日本の「航海」と呼ぶ。しかしこの航海/経済戦争における日本の敵は氷山ではない。日本を水雷で撃沈させるために水中で活発に動き回る潜水艦なのである。

読売:戦後最大の危機克服に奔走するはずの官僚たちは不祥事の連続で沈黙し、リーダーシップを発揮すべき政治家はその場しのぎの対応しかできないでいる。行き過ぎた悲観論に陥ってはならないが、このままでは日本はアジア経済危機の防波堤どころか、自ら世界経済の混乱の火種になりかねない。いわゆる日本発の「恐慌」の懸念である。日本経済がよみがえるために何が求められているのか。七つの緊急対策を提言する。

<失望売りの市場>

読売:およそ主権国家に対するものとは思えないほど厳しい批判が日本に浴びせられている。「アジアの経済危機の元凶を突き止めた。それは投機家でも資本家でもない。まひした日本政府だ」(米ニューヨーク・タイムズ紙)。

ハドソン:なぜ日本たたき屋(ジャパン・バッシャー)の言い分を素直に聞かなければならないのか。ニューヨーク・タイムズ紙はエリツィンの政治を褒め称え、米国が世界銀行やIMFを通して行った政策の失敗については、全く記事にしないような新聞である。そのような新聞に日本の経済政策の調停を任せるのは狂気の沙汰だ。このような日本批判は、日本の富を安く買いたたこうとする裕福な外国人銀行家によるプロパガンダである。読売新聞が紹介する“世界の見解”は、企業の乗っ取り屋の見解なのである(最近では国家乗っ取り屋の感もある)。この新世界経済戦争の戦略は、まず各国に負債を積み上げさせ、次にその国の企業を乗っ取り、コスト削減のためにダウンサイジングを行う。その後で資産を売却し、資産利得を手にするというものである。これは資産剥奪であり、ビジネス・スクールが学生に教えているやり方である。しかし、国家がこうした行動を後押しするのは言語道断である。経済、少なくとも日本のための経済は、もはや経済学者や大蔵省、ましてや読売新聞が日本の政策の将来設計を委ねたいとする世界の金融業者に任せて おくには、あまりにも重要すぎる。

読売:不信の声は国内からもあがっている。政府や与党が経済対策をまとめるたびに、株式市場は失望売りに包まれている。橋本首相が大型減税を表明したその同じ時間に、為替市場では円が急落した。

ハドソン:これまでに、国家の政策目標が「株式市場の投資家を失望させないこと」であるなどという国は、地球上のいかなる国家の歴史においてもない。なぜサラリーマンや産業資本家が株式市場の犠牲にならなければいけないのか。ケインズが求めたのは、不労所得生活者の安楽死であって、彼らを支配者にすることではなかった。

読売:日本経済を不信感が覆っている。企業や個人も将来への自信を失って、委縮する一方だ。イギリスの経済学者ケインズがかつて指摘した「確信(コンフィデンス)の危機」とはこのことだろう。放置すれば、21世紀を前に日本は長期低落の道をたどりかねない。実体経済は一段と悪化している。97年度の経済成長率は石油ショック以来23年ぶりのマイナスとなる。

ハドソン:確かに今、日本は金融危機に陥っている。そしてこの危機は自民党や大蔵省がもたらしたものである。高利貸しや略奪者たちは、危機が起こるたびにそれを好機と捉える。彼らはプロパガンダの宣伝キャンペーンを計画し、その中に事前に用意した解決策を盛り込む。そしてその解決策は、経済全体を助ける解決策ではなく、自分達が国家の富を乗っ取るために用意したものなのである。

読売:経済協力開発機構(OECD)によると、98年もマイナスが続く見通しだ。90年代は「ゼロ成長の十年」となろう。だが、経済のファンダメンタルズ以上に日本経済に対する内外の信頼の失墜が重大だ。一刻も早く思い切った危機克服のシナリオを提示し、失われた信認を取り戻さなければならない。

ハドソン:日本あるいはどの国にとっても、その経済に対する海外からの「信頼」とは、その国が財政的な強奪を受け入れることへの信任を意味する。つまり、外国人に企業を乗っ取らせ、労働者をレイオフし、海外の金融市場を膨らませるために自国の貯蓄を流出させ、最後には大きな空洞だけを残して立ち去ることを許すことである。

読売:これ以上の金融システムの動揺も断固として防ぐ必要がある。株式・為替など市場の暴走に立ち向かうには、政府の政策立案機能や政治のリーダーシップを強化し、市場に畏怖(いふ)される強い政府を作らなければならない。

ハドソン:日本の為替市場は貿易黒字と海外収益の流入によって支えられている。今や為替が貿易や製品価格ではなく、資本投資の動きや投機に左右されるようになったことは事実である。しかし、なぜ日本は円安を自然の成り行きに任せ、日本の輸出競争力を高めてはいけないのか。なぜ日本は、米国人の次のような言葉に耳を貸すのか。「我々と競争するな。円の価値を非現実的なレベルまで押し上げ、米国からもっと輸入し、対米輸出を減らせ」
 日本の戦略家は「市場」とは何かを考える必要がある。市場とは、外国人が買収する企業からどれだけ利益を得られると信じているかを示すものである。その国に投資・買収する外国人投資家をその国の政府がどれだけ支援すると外国人投資家が考えているかを示すのが、株式市場である。国内での資産の売却を、自称審判の外国人は称賛する。

読売:もちろん、短期的な対策だけでは危機を克服できない。経済を再び活性化する構造改革を視野に、既成概念を打破する大胆な政策が不可欠である。我々はこうした観点から七つの提言をまとめた。

<優先順位の変更>

読売:まず、政策の優先順位を変え、財政再建より景気への配慮を優先させなければならない。今の日本経済は、登山(財政再建)の途中にガケ(不況)に滑り落ちたようなものだ。まずガケからはい上がることが先である。橋本首相は、大型減税を実施するため、財政構造改革法を改正する方針を示した。当然だろう。政策転換をためらい、財政構造改革だけに固執すれば、危機を深め、税収の極端な落ち込みを招いて財政再建そのものを危うくする。当面、柔軟な財政出動が可能になるよう、財政構造改革法に弾力条項を導入し、年度ごとの赤字国債の削減規定を停止することが必要だ。2003年度に設定している財政赤字の削減目標の繰り延べも避けるべきではない。

ハドソン:読売新聞の提案は何を減税し、何を増税すべきかを明らかにしていない。財政赤字の必然性は全くなかった。財政赤字は政府の「タイタニック」政策、つまり主に富裕者のために減税をしたことで意図的に作られたのである。富裕階級や機関投資家が、自分たちの貯蓄を真の成長である直接投資や社会支出に使わなかったために、バブルが起きたのである。

読売:しかし、それは財政構造改革路線の放棄につながるものであってはならない。改革の放棄はむしろ将来への不安を高める。市場はそれを狙い撃ちにするだろう。少子・高齢社会の到来で、すでに公的年金の将来には危険信号がともっている。この機会に、今後の社会保障制度の在り方を含め財政全体のグランドデザインを提示するよう政府に求めたい。

ハドソン:この提案は日本の社会保障の安全性を奪い、株価や不動産価格を押し上げるためにその予算を使うという危険な提案のように思える。日本がこれを実行に移せば、外国人投資家が株価や不動産価格の急騰に乗じて、日本の株や不動産を購入し「ただ乗り」を享受し、それを売却して資産利得をせしめるという行動に出るであろう。最終的には株価が下落し、日本人の年金基金は消滅してしまう。その間にも、ビッグバンによって参入した海外の資金運用者は日本人サラリーマンから手数料やコンサルティング・サービスその他を荒稼ぎし、上がった収益のほとんどすべてを吸い取ってしまうであろう。

活性化へ恒久減税急げ
過酷すぎる所得・住民税 特別減税は一時しのぎ

読売:減税にも同様な中長期的な視点が求められる。政府の特別減税は所詮は一時的なばらまき減税だ。

<高い最高税率>

読売:日本の所得税・住民税は、最高税率(65%)が先進国で最も高い反面、課税最低限も高い。わずか二割足らずの年収七百万円超の所得者が、サラリーマン全体の納税額の六割以上を負担しており、中堅以上の所得者に過酷な構造となっている。

ハドソン:ケインズを読んだ人なら、最高税率を下げても消費や支出の増加にはつながらないことはわかっている。この問題を生み出したのは、そもそもこの高額所得者階層なのである。高額所得者層がその貯畜をバブルを悪化させる間違った方向へ投資したからである。消費の刺激による内需拡大が真の目的であるならば、最高税率は今のまま維持し、中間所得者層および低所得者層の税率を下げるべきである。お金を必要としているのはこの層の人々であり、今日の日本の住宅価格を考えれば特にこうした階級の減税の方が重要なはずである。

読売:税を逃れるための人材の海外流出や所得移転を防ぎ、経済を活性化するためにも、こうした構造の見直しが急務だ。

ハドソン:この提案を読むと読売新聞が不正を大目に見ていることがわかる。真の政府であれば脱税を罰し、それ相当の刑罰を課すはずである。罰として財産を没収することもある。富裕者(最も悪名高いのがメキシコの大統領一族)の資金洗浄を助けたかどで訴えられている銀行もある(全米最大の金融機関になろうとしているシティバンクがそうである)。このように政府の政策に逆らって意図的に脱税を助けるような銀行には、日本での営業を禁じるべきである。

読売:減税は、最高税率を50%に引き下げるなど税率構造の見直しを、課税ベースの拡大とともに行ういわゆる恒久減税が王道である。早急な決定と実施を求めたい。同じ観点から、国際的になお高い法人税の実効税率(約46%)を40%程度に引き下げ、企業の活力回復を急ぐべきだ。

ハドソン:見直すべきなのは税率ではなく、課税対象である。生産的な手段で所得を稼ぐことを奨励し、非生産的な所得や利益を生まない資本の移転を抑制することが重要なのである。また、法人税引き下げが企業の活力回復を助ける証拠はどこにもない。

読売:景気対策としては減税以上に効果があるはずの公共投資が、既得権益にしがみつく族議員などの圧力で事業別・省庁別のシェアの壁を打ち破れず、結果として必要性の薄い無駄な投資に浪費されている。貴重な財源を使った公共投資は、真に景気を浮揚させる効果があり、しかも将来の経済発展の土台を築く分野に重点投資するべきだ。情報通信、最先端医療、未来技術の開発などがそれにあたる。例えば、学校への光ファイバー回線の敷設はインターネット人口を急増させ、巨大な通信需要の創出をもたらす可能性がある。

ハドソン:確かに公共支出のプロセスは現在の腐敗した人々の手から取り上げるべきである。日本にはそうした縁故主義や金権政治を防ぐ、抑制と均衡の制度がまだ確立されていない。

読売:政府の総合経済対策を巡っては、利害関係者による予算の争奪戦が激化している。しかし、今回は公共投資政策の転換を明確に打ち出すためにも、上積みする事業を在来型ではない新社会資本整備に集中投入することを提案したい。金融危機という“氷山”の存在が不気味である。30兆円の公的資金を活用し、これ以上の大型金融機関の破たんを防ぐことが絶対に欠かせない。その間に、金融界全体ではなお巨額に上る不良債権の処理を急ぐのだ。政府は、不良債権の担保不動産を小口の証券に変えて処理する新しい仕組みを作ろうとしている。これは80年代後半以降の深刻な金融不況から、アメリカの金融界が立ち直る有力な手がかりになったものだ。必要な法案を一日も早く成立させ、公的な資金も投入して大規模な処理を進めることを求めたい。

ハドソン:この記者は、米国の規制緩和および不動産の不良債権処理における悲惨な経験について無知のようだ。米国政府はこの不良債権処理に金利を含めて約5,000億ドルを使った。しかし後になって、不正を除けば実質的な不良債権の合計は約50億ドルに過ぎなかったことがわかっている。米国政府が不当に安い価格で不動産を処分したために、多くの大富豪が生まれた。また一番大きな抜け穴は、不正行為が罰せられなかったことだ。例えば、海外の隠し資金をそのまま維持することが許されたのである。米国民は、この政府の不良債権処理は大失敗であったと思っている。詐欺師たちはなぜ日本人に、間違った政策をとらせようとしているのか。それは、日本に同じ間違いを犯させたいからである。そうすれば、彼らは日本で再度ひと儲けができるからである。(米国ではこうした詐欺師から政治献金を受け取った「キーティング・ファイブ」と呼ばれる5人の上院議員たちが免職あるいはけん責処分を受けている。なぜ読売新聞はこうした記事を取り上げないのであろう。)

<副作用に配慮>

読売:ビッグバン(金融制度の抜本改革)や規制緩和を万能視する議論にも問題がある。

ハドソン:万能どころか、それが日本経済を悪化させている。

読売:護送船団行政をはじめこれまでの規制社会のルールを見直し、競争を刺激していくのは当然だが、その副作用には十分な配慮が不可欠だ。外国の格付け機関の決定を“死刑宣告”のように受け止めて右往左往し、健全な銀行や企業の存続まで脅かされるようでは危機克服はおぼつかない。市場経済主義は成功も失敗もする。経済危機を克服するためには、政府・与党や、政策の受け手となる民間経済界の決断と行動が重要だ。我が国の政策の立案・決定は、これまではほとんど官僚機構が担ってきた。だが、今や彼らは批判され、たたかれ、ものをいわなくなった。そして、代わりに政策の表舞台に登場した政治家たちは場当たり的な発言を繰り返し、市場の失笑と失望を買っている。三月期末の株価維持に失敗したいわゆるPKO政策などはその典型といえる。

ハドソン:さらに日本は円を支えるために、4月の中旬に2日間で推定40億ドルも使った。円について、日本はどういった政策をとるべきだと読売は言うのだろうか。その問題こそ検討すべきなのに、なされていない。

読売:政治家は安直な市場への口先介入をやめるべきだ。自社さ連立体制が迅速な政策決定を妨げているのなら、この際解消したら良い。

<首相の指導力>

読売:だれよりも橋本首相が強いリーダーシップを発揮するべきなのだ。これまでは肝心なときほど顔が見えず、政策の発動が後手に回っていた。顔の見えない首相はいらない。首相の政策決定を的確に行うため、官邸のスタッフ機構を改革し、強化する必要がある。政策のプロ集団である官僚機構も、裁量行政の是正や情報公開などを前提に、もっと活用されるべきだ。

ハドソン:悪い政策を促進するために悪い官僚機構を「もっと活用する」ことを日本国民は望んではいないだろう。活用していないことが問題なのではなく、彼らが何をやっているかが問題なのである。

読売:大蔵省などに対する行き過ぎたバッシングはもはや無用である。

ハドソン:しかし、大蔵省が間違った理論を採用していれば、それを正すことは重要である。同じやり方をするのであれば、人を替えても意味がない。

読売:一方、企業経営者は官頼みという日本病と縁を切らなければならない。欧米では民間企業が日本のように不況の原因を政府にばかり求めることはない。かつて日本の経営者がその衰退を哀れんだアメリカ経済は力強く再生した。今、日本はそれを学ぶべきだ。

ハドソン:読売の記者は誰の話を聞いてこのようなことを書くのか。米国人の賃金は1970年より下がっている。経済は不平等になり、歪められている。工業都市の人口は工場閉鎖で従業員が解雇され、減少の一途をたどっている。黒人の成年男子では大学よりも刑務所にいる数の方が多い。犯罪も増加している。製造業が縮小し、負債が増加し、企業は日本同様、海外に拠点を移している。ニューヨーク市が破産しないのはウォール街が肥大化しているからである。読売新聞の提言が追いかけているものは神話であって現実ではない。

<七つの提言>

1. 財政赤字削減目標を繰り延べよ 

ハドソン:日本の財政赤字をどうやって削減するか、どうしたら日本は米国の財政赤字の補填をやめるかの提言を、読売新聞はすべきである。米国政府の赤字を補填するために日本経済が赤字に陥る必要はない。しかし、現実にはそれが起きている。日本を永遠に苦しめることになる344兆円の国家債務がいかに深刻かを読売新聞が見落としていることは、問題を正しく定義することがいかに重要かを示している。サッチャー・レーガン主義を真似てビッグバンで経済を開放し、外国人に支配させることは、問題解決の1つの方法かもしれない。しかし、それが唯一の方法ではない。サッチャー主義で苦い経験をしたイギリス国民は、今世紀最大の投票差で保守党政権を失脚させた。米国では、読売新聞が日本に提言したような政策を支持した共和党右派は今気違い呼ばわりされている。今の状況で日本がビッグバンを行えば、日本経済を米国とドイツの多国籍企業に支配させることになる。

2. 税率の恒久的引き下げを

所得・住民税(最高税率)65→50% 
法人税(実効税率)46→40%

ハドソン:税率の引き下げではなく、生産的な投資と雇用を奨励し、バブル的な投資を抑制するような税制度に変えるべきである。それには生産的な産業の売上や賃金よりも、不動産や金融に対する税金に転換すべきである。

3. 情報・通信の社会資本整備を

ハドソン:高利貸しを支援し、富裕者の税金を軽減するのではなく、政府は社会投資を増やすべきである。水と空気の浄化、公園の増設・充実、環境保全、文化的遺産の保護、国民の生命と主権の保護のために投資すべきである。こうした社会投資すべてが、国民の雇用やビジネス・チャンスを増やすことで経済活動を活性化し、国民の安寧、安全、幸福を向上させるのである。

4. 市場主義の限界を知れ

ハドソン:その通りである。詳しいコメントは詳細が発表された後に譲る。

5. 担保不動産の証券化に公的資金を

ハドソン:これでは外国人にほとんど持っていかれることになる。なぜ不良債権を清算し、政府に不動産を所有させ、不良債権を出した銀行をつぶさないのか。

6. 顔の見えない首相はいらない

ハドソン:後任者を誰にするのか。誰がなってもその裏で指示するのはもっと顔の見えない多国籍企業の経営者やIMFの理事など、財界や外圧なのである。

7. 政治家は口先介入をやめよ

ハドソン:国内でどんな政策をとるべきか、政治家が口を出すべきではないというのか。重要なことは、米国の略奪者や、無意識に洗脳されている大蔵省や大手報道機関のスポークスマンにどう反応するかではないだろうか。