OWメモ『参院選について思うこと(1)』(No.167)では、7月12日の参院選で投票することの重要性、『参院選について思うこと(2)』(No.168)では、社会全体そして個人にとって最も重要な政策を見極め、各政党が各政策課題についてどのような立場をとっているかを知った上で、勝たせる政党、敗北させる政党を判別することの重要性について説明しました。また前回は私が重要と考える8つの経済政策について概要を述べましたが、今回は同様に重要な日本の主権と安全保障の問題に関する私の意見を述べたいと思います。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
参院選について思うこと(3)
1. 日米安全保障条約は米国による保護を約束するものではない
日本人は日米安全保障条約があるので、米国が軍事的攻撃や侵略から日本を守ってくれるものと信じ込んでいる。しかし、この条約にはそのようなことは全く書かれていない。むしろこの条約は米国による日本占領の継続を容認するものであると私は考える。日本人が米国のコミットメントを信じて疑わないのは、プロパガンダにより騙されているのと同時に、この短い条約そのものを読んでいないからである。
2. 日米防衛協力のための新たな指針は日米安全保障条約の片務性をさらに強化するものである
いわゆる新ガイドラインは、米国の日本防衛義務については全く言及していない一方で、米国の世界的な軍事行動に対する日本の支援については詳細に定義している。政治家や官僚が、日本は米国の軍事力に頼っているという発言を繰り返していることを考え合わせれば、日本は事実上、無防備ということになりはしないだろうか。
3. 米国は今日は味方かもしれないが、明日は敵になり得る
日本の政治家や官僚は、卑屈に従属さえしていれば米国が日本を助けてくれるものと信じているようである。しかし、パナマのノリエガ、イラクのフセイン、インドネシアのスハルトもまた、米国が態度を一変させる直前まで、そう信じていたことを忘れてはならない。
4. 日本の防衛ただ乗り論は全くの嘘である
防衛を米国に依存することによって、日本は経済的に得をしていると言われてきたが、これは全くの嘘である。米国が日本を守ると約束したことは一度もなく、ガイドラインを一読すれば日本は自国で防衛しなければならないことは明白である。さらに日本の防衛費は世界第3位で、1997年度は約4兆9千億円であった。
5. 食料およびエネルギー自給率を下げたことで、日本の自衛力は格段に下がった
過去20年間の政府の方針によって、日本の食料およびエネルギー自給率は北朝鮮と同レベルまで低下した。違いは、米国に従属せず自国で防衛している北朝鮮では国民が寒さと飢えに苦しみ、米国にへつらっている日本では国民が寒さにふるえることなく飽食の生活を送っている点である。
6. 憲法をないがしろにする国は信用されない
日本は憲法をずっとないがしろにして米軍に基地を提供し、国際紛争のために利用させてきた。新たなガイドラインでも、憲法を無視して日本人の税金や命を日本の防衛に関係のない米軍の活動に提供しようとしている。こうした国は世界で物笑いの種にされるだけでなく、信用もされないであろう。
現在日本を統治している政治家たちは、日本を主権国家としてではなく、米国の植民地として管理することで政権を維持しようと必死のようである。また、植民地の住人は選挙で投票することすらしないのであるから、このような現状が変わらないのも当然かもしれない。もし現状のままで良いと考えるのであれば、選挙は棄権するか、あるいは現職に投票すればいい。しかし、現状を変えたいと考えるのであれば、現職議員を落選させるよう票を投じるしかないのである。