No.181 参院選が終わって

参院選が終わって

7月12日(日曜日)、それは私が日本で生活してきた29年間で、もっとも嬉しいと感じた日の1つとなった。私が幸せに、そして誇りをもって暮らす、この社会の人々が、自分自身、日本の政治家、そして世界に対して、国民の務めを真剣に果たしたことを証明したからである。私たちは、物事がうまく行っていない、国が適切に治められていないと感じたとき、国民としての民主主義の任務を果たすことに無関心でも怠惰でもなくなった。
7月12日の参院選では、多くの国民が自民党に事実上の不信任を突きつけた。この惨敗によって、自民党がここ最近の悪行や不品行を反省し、日本が奇跡の経済成長を遂げた1950年代から1970年代のように、国民を再び誠実に、正直に、そして正しく統治し始めることを私は心から期待したい。

私は日本の国籍を持たないため投票することはできなかった。しかしこのすばらしい国で生活をする一構成員として、私の家族、社員、友人、隣人、乗り合わせたタクシーの運転手の人たち、レストランの人等、多くの日本人に選挙へ行くよう説得することによって私の務めを果たしたと信じている。

日曜日の大敗によって、そのやり方を正すよう自民党に訓戒が与えられたことを期待するが、7月13日の読売新聞朝刊の社説を読むと、あまり楽観的にもなっていられない。読売新聞は、民主党の勝利は管代表の人気と自民党への対決姿勢で無党派層の支持を集めたためであって、投票した人のすべてが民主党の政策をそのまま支持したと見るのは難しいというのである。読売新聞は共産党の議席増についても批判し、消費税を3%に戻すことを共産党が主張していたことには触れようともしない。さらに読売新聞は、自民党は選挙前に計画したことをしっかり軌道に乗せなければいけないと主張する。それはすなわち、企業法人税と富裕者層の所得税の減税であり、バブル期に株、通貨、土地への博打によって生まれた銀行の負債に国民の税金を使うことであり、日本の土地を米軍に提供し、世界において米軍が軍事的冒険を行うために日本国民を流血にさらし、沖縄の米軍を強化させる「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」のための関連法などの有事法制を整備することなのである。選挙の翌日に、自民党の最大のプロパガンダ機関紙が、日曜日の票決を無視せよと露骨に報道するのを目にすることは実に不吉なことである。われわれはこれを警告として受け止め、日曜日の勝利を確かなものにするために、これからも用心深くあり続けなければならない。