以下のOECDのデータは、自民党の金持ち優遇策を踏襲しようとする、新総裁、小渕恵三氏の提唱する政策がいかに気狂いじみたものであるかを浮き彫りにしている。また自民党の広報機関である日本のマスメディアが、いかに間違った情報を流しているかをも露呈するものである。
小渕氏と自民党は、日本のトップ1%の富裕者の所得税率と法人税率を「国際的なレベル」に引き下げようとしている。読売新聞をはじめとする自民党の広報機関は、すでに何ヵ月間もこの計画について報道してきた。しかし、次の表における、“政府歳入のGDP比”の項目を見ると、日本のその割合がすでに他の先進諸国よりも低いことを示している。日本と他のG7諸国を比べると、歳入のGDPに占める割合は他のG7を100%とすれば日本はそれよりも20%低く、また他のOECD諸国と比べれば30%も低い。OECDの中で日本よりも歳入のGDPに占める割合が低いのは韓国だけである。自民党が日本の税率を「国際レベル」にしたいのであれば、税率を引き下げるのではなく、引き上げなければならない。自民党やその広報機関は「引き下げる」と「引き上げる」の区別もつかないのか、それとも知っていて嘘をついているのであろうか。
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政府 政府の 政府の 政府職員の
(中央・地方) 歳出の 最終消費額の 全雇用者に占める
国名 歳入のGDP比 GDP比 GDP比 割合
(a) (b) (c) (d)
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日本 32.0 28.5 9.9 6.0
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カナダ 42.7 45.8 19.6
フランス 48.2 51.6 19.8 24.9
ドイツ 45.9 46.6 20.0 15.4
イタリア 44.5 49.5 16.3 16.1
イギリス 37.2 42.3 21.3 14.1
米国 32.1 34.3 15.8 13.4
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日本以外のG7諸国平均 41.8 45.0 18.6 17.3
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日本対他のG7 0.8 0.6 0.5 0.3
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オーストラリア 34.9 35.6 17.2 16.0
オーストリア 47.4 48.6 19.0 22.8
ベルギー 49.8 51.7 16.5 19.0
チェコ共和国 43.3 40.5
デンマーク 58.1 59.6 25.2 30.7
フィンランド 52.8 55.9 21.8 25.2
ギリシャ 45.0 52.1 19.8
ハンガリー
アイスランド 36.0 35.1 20.8 19.9
アイルランド 36.3 36.9 13.4
韓国 26.0 15.7 10.3
ルクセンブルク 52.9 45.0 12.0
メキシコ
オランダ 49.3 50.0 15.3 11.9
ニュージーランド 14.6 22.1
ノルウェー 50.9 45.8 21.5 30.8
ポーランド
ポルトガル 39.8 42.5 18.1 15.3
スペイン 37.9 41.2 16.1 15.7
スウェーデン 57.5 63.8 27.2 31.2
スイス 53.8 47.7 14.0
トルコ
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他のOECD諸国平均 44.4 45.1 18.8 19.2
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日本対OECD 0.7 0.6 0.5 0.3
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***上記の政府は、中央政府と地方自治体の両方を含む。
また、左から2列目(b)と4列目(d)は、それぞれ政府の歳出がGDPに占める割合と、政府職員が全雇用者に占める割合を示している。これらの数字は、自民党が日本政府が大き過ぎるため縮小すべきだとする主張を覆すものである。日本政府の歳出はGDPの28.5%に過ぎず、これは他のG7諸国、また韓国を除くOECD諸国のどこよりも低く、G7、OECD諸国に比べて40%も少ない。さらに、日本政府職員の数が全労働人口に占める割合はわずか6%であり、G7の平均17.3%、OECDの平均19.2%よりもずっと低い。小渕氏や自民党、その広報機関は一体どうして日本政府を縮小すべきだなどという結論に至ったのであろうか。他の先進諸国よりも日本政府が小さいという事実を知らないのか、それとも知っていて国民を搾取しようとしているのか。自分たちや支援者を減税することによる減収分を政府の縮小で補おうとしているのであろうか。それとも、大企業が自民党への政治献金やさまざまな支援を行いやすくなるよう、政府を弱体化させようというのが自民党の狙いなのであろうか。
3列目(c)の数字、政府の最終消費額がGDPに占める割合は、日本の経済的苦境の重要な原因を解き明かすものである。自民党は日本の景気が振るわない理由が需要の低迷にあると理解している。しかしそれでいて、自分達の無能さ、あるいは類まれな詐欺能力を誇示しようとでもいうのか、その消費需要を低迷させた元凶の消費税を元の3%に引き下げることもせず、ただ消費需要が上がることを望んでいるように振る舞っている。消費税を3%に戻せば、自民党が消費税増税により低迷させた消費需要を取り戻し、税の不公平さも是正され、消費税を全廃すればその効果はさらに高くなるであろう。しかし、前述の表の政府の最終消費額の数字は、もっと重大で、根本的な問題を露呈している。
大半の日本人はすでに個人消費には満足しており、買いたい消費財やサービスはほとんど手にしている。手にすることができないのは職場に近い快適な住宅と、個人ではどうしようもない社会消費なのである。自民党は、自分達のスポンサーである金融機関を助けるために地価が下がらないよう操作している。金融機関を倒産させないために、つまり政治献金や天下り先がなくならないようにするために、多くの日本人から快適な住居を手にする夢を奪っている。さらに、前述の表の3列目(c)の数字が明らかにしているように、他の先進諸国が享受しているような社会資本やサービスを、自民党は日本国民に提供していないのである。日本政府が社会消費額に費やす金額はGDP比で見ると他のG7やOECD諸国の半分に過ぎない。教育や健康、社会保障、福祉、住宅などに対する消費を他の先進国レベルに引き上げれば、日本国民の生活はより豊かになると同時に、社会消費が他のG7諸国並みにあと9%(45兆円)増えれば、日本経済は活気を取り戻すであろう。しかし、自民党はこの不景気の真っ只中で社会消費を削減するという異常な措置を取り、日本経済をデフレに追い込んだのである。
自民党の新総裁小渕氏は、これからも日本経済をここ半世紀で最低の状態へ追い込んだ自民党の政策を踏襲する計画でいることは明らかである。我々に残されている選択肢は次の3つしかない。
(1) 自民党に服従し、彼らにこの経済不安に乗じて自民党や支援者のために国民を搾取することを許し、経済状態をさらに悪化させる。
(2) 自民党の議員を正気に戻し、これ以上、詐欺行為や貪欲な政策を続けようとすれば、自民党およびその議員の政治生命も終わりになるとはっきりと告げることにより、日本を悪くする政策をやめさせる。
(3) もし自民党がその政策をとることをやめなければ、次の選挙で大敗させ、政党としての自民党を、無責任な自民党議員の政治家としてのキャリアもろとも終わらせるのである。
私は自民党に対してまだ希望を失ってはおらず、自分達の間違いに気付いてくれることを期待している。したがって上記の(2)の選択肢が現実となることを望んでいる。このメモの読者の方々にも、次の選挙で自民党が再び大敗するのを待つのではなく、草の根的な行動をすぐにでもとっていただきたい。そのためには、もしあなたが私の意見と同じであれば、衆参両院のあなたの選挙区の国会議員、そして自民党本部に手紙を書くか、このメモに署名してそれを彼らに送ってもらいたい。