終戦記念日の夜の『ザ・スクープ』出演にあたり、テレビ局からの質問に対して事前に私が用意した回答を、昨日に引き続きお送りします。
愛国心に関する4つの質問とそれに対する回答(2)
質問2:日本人が戦後長らく「愛国心」という言葉が語れなかったということが、日本人の今日に影響を与えている点はあるでしょうか。
回答:もちろんあると思う。愛国心とは自国を愛する心である。国家でも、家族や会社でも、その構成員が自らの所属する団体や組織に対して、愛や熱狂的な傾倒を感じていなければうまく機能しない。日本人に愛国心がないために、日本は独立した主権国家というよりも、米国の従順な植民地あるいは家来として振る舞っているのではないであろうか。
日本人は「愛国心」を過去の失敗ゆえに嫌悪するのではなく、将来の成功のために必要なものと考えるべきである。また我々人間は個人としては弱いが、良い国の一員であることで強さが得られる。そして、その強さには祖国を愛する心が必要であるということを再認識する必要がある。
しかし、愛国心は自発的なものではない。家族や学校、会社、国家に対する愛は、教えられ、育まれるものである。ところが今の日本ではそれが行われていないと私は思う。そこで問題になるのは、誰が愛国心を国民に教えるかである。それを効果的に教えるのは、国民に尊敬され、信頼される教師でなければならない。日本の指導者はそうした教師になれるであろうか。
残念ながら、少なくとも今の日本の指導者にそれを望むことはできないであろう。なぜなら彼らが尊敬され信頼されていないからである。その理由の1つは、戦後日本の指導者が(諸外国に対してではなく)国民に対してその過ちを認めず、また謝罪もしていないからである。もう1つの理由は、今の政治家や官僚たちが私利私欲のためにのみ行動している点にある。日本人は、日本の指導者達を公僕だと思っているであろうか、それとも私利私欲のために権力や立場を利用する寄生虫だと思っているであろうか。指導者に愛国心がないと国民が感じているのに、その指導者が国民に愛国心を教えられるわけがない。
国家には、愛国心を持つ指導者と国民が必要である。献身的で愛国心を持った指導者が現れるのを期待し、ただ待っていることもできる。しかし、その前に次のような事実を認識して欲しい。
(1) 日本は民主主義社会である。
(2) つまり献身的で愛国心を持ち、また尊敬、信頼できる指導者を選ぶのは国民の義務である。
(3) それを達成するためにはすべての選挙で、利己的で寄生虫のような政治家を落選させ続け、彼らが献身的で愛国心を持つ政治家になるように仕向けなければならない。
つまり、まず始めに日本が民主主義国家であることをきちんと理解する必要がある。それには国民がその国のリーダーであることを認識しなければならない。国民が望んでいる国家にするためには、民主主義における自分達の義務を果たす必要がある。そうすれば、自尊心も得られるであろうし、国民が信頼できる政治家や官僚も生まれるであろう。そして、日本に愛国心を取り戻すこともできるはずである。