No.213 自民党政権の放漫財政

自民党政権の放漫財政

メモ『自民党は敗北から何も学んでいない(3)』(NO.185)で、自民党が1965年以降、いかに日本の長期債務を増やしてきたかを示すために次の表を取り上げた。
名目GDP    国と地方の長期  債務/GDP
年度    (兆円)    債務残高(兆円)    (%)
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1965     33.8       1.6          5%
1970     75.3       7.3         10%
1975    152.4       32.1         21%
1980    245.5      118.2         48%
1985    324.3      204.8         63%
1990    438.9      265.8         61%
1995    487.4      410.1         84%
1997    515.8      475.5         92%
1998    519.7      529.0         102%

この表からわかるように、政府自民党は1965年にはGDPのわずか5%に過ぎなかった長期債務残高を、1997年にはGDPの92%にまで増大させた。この数字は今年は102%になると予測されている。過去30年間で名目GDPが15倍にしか増えていないのに対し、国と地方の長期債務残高は330倍にもなっている(1.6兆円から529兆円)。これは言い換えると、日本は国内総生産を486兆円増やすために、527兆円以上もの借金をしたことになる。これはとても正気とは思えない、狂った財政だ。
読者が、どこの国の財政も似たり寄ったりだろうと考えるとしたらそれは間違っている。次の表を見て欲しい。こうした放漫な財政政策は日本政府の専売特許といえる。この表は、各国の国と地方の長期債務残高の名目GDPに占める割合に関するOECDの推定(97年から99年までは予測)を示している。(表中の**はOECDが推定も予測も発表していないことを示す。)
この表から見ても、日本の長期債務残高は1970年には他のG7諸国のわずか5分の1に過ぎなかったものが、1995年には肩を並べるまでに増大し、1999年にはG7諸国を30%上回るであろうことがわかる。

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名目GDPに占める政府の国と地方の長期債務残高の割合(%)
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OECD推定          予測
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1970 1975 1980 1985 1990 1995 1997 1998 1999
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日本          10.9 20.7 49.6 65.3 62.6 77.8 87.1 96.5 99.5
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カナダ        52.1 42.7 43.3 63.1 71.5 97.6 93.8 89.2 84.2
フランス        **  **  30.9 38.6 40.2 60.1 64.6 65.7 66.4
ドイツ        18.1 23.8 31.1 42.8 45.5 62.2 65.0 64.5 64.2
イタリア       38.1 57.6 58.1 82.3 104.5 124.2 121.7 118.5 116.1
イギリス        77.1 61.6 54.0 58.9 39.3 59.7 60.3 59.1 57.5
米国          41.5 39.9 37.0 49.5 55.5 63.1 61.5 60.3 59.7
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他のG7諸国平均    45.4 45.1 42.4 55.9 59.4 77.8 77.8 76.2 74.7
日本/他のG7諸国平均  24.0 45.9 117.0 116.8 105.4 100.0 112.0 126.6 133.2
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オーストラリア     **  **  **  **  21.2 43.0 38.7 36.5 34.3
オーストリア     18.9 23.4 36.6 49.8 57.9 69.3 65.2 64.8 64.4
ベルギー       63.7 58.4 77.5 120.7 125.7 131.3 122.4 118.4 115.4
チェコ共和国      **  **  **  **  **  **  **  **  **
デンマーク       **  **  43.7 74.9 65.8 73.5 67.3 62.7 58.4
フィンランド     12.0  6.9 11.8 16.5 14.5 58.1 55.8 53.4 54.6
ギリシャ        17.6 18.5 22.9 47.8 90.1 110.0 108.4 108.2 105.6
ハンガリー       **  **  **  **  **  **  **  **  **
アイスランド      **  **  25.2 33.1 36.9 58.8 52.7 50.1 48.3
アイルランド      **  62.4 72.7 104.6 97.2 85.7 68.3 59.6 52.6
韓国          23.5 21.7 16.0 16.3  8.2  2.9  1.0  2.1  4.5
ルクセンブルグ     **  **  **  **  **  **  **  **  **
メキシコ        **  **  **  **  **  **  **  **  **
オランダ       51.5 41.8 46.9 71.5 78.8 78.5 71.4 69.5 68.9
ニュージーランド    **  **  **  **  **  **  **  **  **
ノルウェー      41.8 39.8 47.5 37.4 32.5 43.0 40.6 40.7 39.7
ポーランド       **  **  **  **  **  **  **  **  **
ポルトガル      19.0 23.0 32.8 58.0 66.9 69.1 65.3 63.4 61.9
スペイン        **  **  18.3 50.8 50.4 71.0 73.5 72.7 71.7
スウェーデン      30.5 29.5 44.3 66.7 44.3 79.8 77.1 74.8 71.4
スイス         **  **  **  **  **  **  **  **  **
トルコ         **  **  **  **  **  **  **  **  **
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他のOECD諸国平均    36.1 36.7 39.5 57.0 57.3 72.0 68.7 66.7 65.0
日本/他のOECD諸国平均 30.2 56.4 125.6 114.6 109.2 108.1 126.8 144.7 153.1
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この表の一番下の行に注目して欲しい。これは日本の長期債務残高のGDP比を「他のOECD諸国平均」で割ったものである。この数字の推移を見ると、1970年には日本の長期債務残高のGDP比は、OECD諸国平均の30%でしかなかったのに、1995年には110%、また1999年は50%上回ると予測されている。
我らが浪費家、政府自民党の政策がいかに放漫なものか、また、自民党がさらに債務を増やそうとしているということは、現在の彼らの政策を見れば明らかである。

(1) 法人税の減税を提案している。
(2) 国会議員を含む、国民のわずか1%に過ぎない年収3,000万円以上の人の所得税を減税しようとしている。
(3) バブル期に株、土地、通貨などの博打で作られた負債を国民の税金で返済しようとしている。
(4) 自民党主導のビッグバンで資本の流出が発生し、それによってもたらされた円安を阻止するために円買いをしている。
(5) 日本の防衛のためではなく、米軍の常軌を逸した行動を支援している。
(6) 阪神大震災の被災者や失業者、その他助けを必要としている国内の人々を見捨てておきながら、米国にいわれるままにロシアやインドネシアなどに援助を提供している。

政府自民党の政策を目にすると、苦言以外は出てこない。では、日本国民は一体どのように対処すればよいのであろうか。このままただじっと苦境に堪えるしかないのであろうか。必ずしもそうとは限らないと私は思う。国民には投票という切り札がある。自民党がとっている政策とそれが及ぼす影響をしっかり見据えて、日本という国の舵取りをこのまま任せてよいかどうかを見極めればよいのである。自民党にここまで権限を委ねてきた国民にも責任はあるのだから。