今回は沖縄米軍のパラシュート降下訓練に関する『琉球新報』からの記事をお送りします。日本は主権国家であるにもかかわらず、自国内における米軍の降下訓練に対して決定権がなく、駐日大使に中止を要請しなければならないという状況に、私はまたもや日本が米国の従属国であると感じました。1972年の沖縄返還前には、こうした降下訓練によって、2人の小学生が死亡するという事件も発生したそうです。自国の問題であるにもかかわらず、日本政府や県民が降下訓練の中止を申し入れたり、反対抗議をしなければならない状況そのものに、日米関係がいかに異常なものであるかが表れていると思います。是非お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
在沖米陸軍、降下訓練を嘉手納飛行場で3月6日に実施
日本政府の中止要請拒否
『琉球新報』 1999年3月1日
在沖米軍嘉手納飛行場で3月6日早朝、トリイ基地所属の陸軍特殊部隊がパラシュート降下訓練を計画していることが2月28日までに分かった。政府は日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法案の国会審議への影響や、稲嶺県政下で普天間飛行場・那覇軍港の移設問題が動き出すさなかに県民の反米感情を刺激するなどとして、米側に中止を申し入れたが、米側は「兵士の技能維持のためには、どうしても必要」としており、訓練実施に強い態度を示している。
昨5月にも同規模の訓練を実施したが、周辺自治体が強く反発し、県議会が抗議決議しただけに、波紋を広げそうだ。
在沖米軍筋、政府筋によると、今回の訓練は6日午前6時から9時ごろまでの約3時間の予定で実施する計画。空軍第353特殊作戦航空団のMC-130特殊作戦機からグリーンベレー隊員延べ約160人が嘉手納飛行場内の目標へ降下する。米軍側は「民間地域の安全には十分に配慮する」としている。
パラシュート降下訓練は日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、読谷補助飛行場から伊江島への移設で合意したが、天候不良が多いなど、訓練環境が整わず、移転が実現していない。陸軍特殊部隊からは「技能が維持できない」として、他の基地での訓練実施を強く求める声が出ていた。28日現在、周辺市町村や県への通告はない。
訓練計画の通告を受けた外務省の柳井俊二事務次官は28日までにフォーリー駐日米大使に中止を申し入れたが、同大使は「訓練は必要」として拒否。高村正彦外務大臣が1日にも再度、中止を申し入れる。米軍は昨年5月に初めて嘉手納飛行場で訓練を実施し、12回に分けて159人が降下した。政府は「訓練実施に異をとなえられない」との立場だったが、県内の反発が高まり、当時の鈴木宗男沖縄開発庁長官(現官房副長官)は「自粛を求めたい」という姿勢を打ち出していた。
辺土名朝一北谷町長は「何の連絡もない。情報収集を急ぎたい。基地機能強化にはこれまでも反対を表明している。事実であれば、三連協などで対応を確認する必要がある」と話した。宮城篤実嘉手納町長は「正式な連絡はまだない。基地渉外課を通じて、情報を収集したい」と話した。