今回は、野田前郵政大臣宛に送ったNTTの接続料算定問題に関する私の感想をお送りします。
「引き下げ幅拡大提案:郵政省研究会、NTTの接続料算定」に関する記事を読んで
野田郵政大臣殿
本日は、9月21日付けの『読売新聞』および『デイリーヨミウリ』紙に掲載されました「引き下げ幅拡大提案:郵政省研究会、NTTの接続料算定」に関する記事に対して、私の感想を以下のようにまとめましたので送らせていただきます。ご多忙中とは存じますが、是非、ご一読いただければ幸いです。
まず以下に、『読売新聞』(9月21日付け)の記事を抜粋します。
“長距離国際電話会社などがNTTの通信回線に接続する際に支払う接続料の算定方式を検討している郵政省の「長期増分費用モデル研究会」(座長、岡野行秀東大名誉教授)は20日、7月末に示したモデル案よりも引き下げ幅を大きくした2種類の算定方式を提示した。これを受けて、郵政省の電気通信審議会(郵政省の諮問機関)は21日から具体的な接続料算定作業に入る。
同研究会は7月末、市区単位の市内交換機に接続する場合は、接続料を現行より3分間当たり6%引き下げ、都道府県規模の市外交換機では同じく51%引き下げるモデル案を提示した。しかし、より大幅な引き下げを求める声が強かったため、技術的な再検討を行い、それぞれ16.7%、57.3%に引き下げ幅を拡大した。また、別の計算では、加入者の基本料金を300円程度引き上げれば、それぞれ41.1%、69.2%に引き下げ幅を拡大させることも可能になろうとしている”
さらに、『デイリーヨミウリ』紙には、次のような記述がありました。
“この長期増分費用モデルは、昨年の米国との規制緩和協議で日本側が2000年度に導入することを合意した方式に基づくものであり、さらに、NTTの接続料が米国の8倍であることからも、この引き下げ幅で大幅な引き下げを日本に要求する米通商部代表を満足させられるかどうかは定かではない”
この記事に対する私の率直な感想を以下に述べさせていただきます。どうか、野田郵政大臣を心から支援する友人からの言葉としてお読みいただければ幸いです。
なぜ郵政省はこれほど臆病なのでしょうか。NTTの接続料算定という日本国内の問題を、なぜ米国政府と話し合わねばならないのでしょう。言語道断な米国からの要求を従順に受け入れ、さらにそれが米国側をなだめるのに十分かどうかをなぜ気にしなければならないのでしょうか。郵政省は自らを、米国政府の助言や同意なしには日本国内の通信回線の接続料を設定できないほど、無能だと考えているのでしょうか。米国以外の国とも、このような日本の国内問題を交渉しているのですか。このNTTの接続料算定問題で郵政省が行ったように、あるいは他の日本の省庁がしばしば多くの国内問題についてそうであるように、国家の主権をおとなしく放棄している独立国が他にあるでしょうか。他の国の利益ではなく、日本国民の利益を守ろうと、なぜ考えていただけないのでしょう。この記事を読んで非常に残念に思いました。
『デイリーヨミウリ』紙の記事に、NTTの接続料は米国の8倍であると書かれています。しかしそれが何だというのでしょう。すべて米国と同じでなければならないのでしょうか。米国ではレイプ、殺人、囚人、貧困、飢え、麻薬中毒、ホームレスなどの社会問題もすべて日本の8倍だからといって、郵政省や他の省庁の大臣はこれらもすべて米国と同レベルになるよう努力するのでしょうか。日本国民はそのようなことを求めているのでしょうか。NTT労働組合の津田淳二委員長は、9月22日、接続料算定方式に対し慎重な取扱いを求める要望書を郵政省に提出し、接続料金算定にこの長期増分費用モデルがそのまま適用された場合、「東西地域会社の財務は破壊的な影響を受け、NTT法に基づく公共的使命に重大な支障をきたすばかりか、雇用に深刻な影響が及ぶ」とし、地域会社への配慮を求めています。日本の郵政省は、日本の労働者の声に耳を傾けるべきか、米国からの要求を聞くべきか、よく考えていただきたいと思います。
あまりにも遠慮のない私の言葉遣いをどうかご容赦下さい。しかし、友人であり、支援者である者からの言葉として受け取っていただきたいのです。日本が今必要としているのは、米国や他の国からの無理な要求に立ち向かう自信も勇気もない弱虫ではなく、日本国民の最大の利益を守るために日本を治めようとする自信と誇りを持った指導者です。私は野田郵政大臣がそうした指導者であられることを期待しています。