米国の大統領選挙も11月の本選挙に向かい、いよいよ本格化してきました。以下の記事を読んで、民主政治と金権政治の違い、さらには米国が民主主義国家なのか、金権主義国家なのかを是非考えていただきたいと思います。皆様からのご意見をお待ちしております。
【 この記事は、2月16日に報道されたものです。
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大統領選挙資金
AP通信 2000年2月16日
ジョナサン・D・サラント
ジョージ・ブッシュ候補は大統領選共和党指名争いの選挙運動にすでに55億円以上を投じており、これは選挙資金としては過去最高である。一方、共和党の対抗馬、ジョン・マケイン上院議員も、2月の予備選挙に向けて、選挙資金の金額において、ブッシュ候補との差を劇的に縮めつつあった。
2000年1月31日現在、ブッシュ候補の選挙資金は22億円であるが、ニューハンプシャー州でマケインに敗れた後選挙資金が急増する前でさえ、ブッシュ候補は毎週3億3,000万円ずつ選挙資金を使っていた。マケイン候補は2月半ばに、銀行に11億円あると発表したが、選挙資金集めの豪華なパーティに加えインターネット経由で1日に1,650万円から2,000万円ずつ集めている。年初には、ブッシュ候補が銀行に34億5,000万円の選挙資金を用意していたのに対し、マケイン候補は銀行口座にある1億6,500万円にマッチングファンド (大統領予備選挙の際、一定条件の下で連邦政府が候補者に支給する公的活動資金で、候補者自身に寄せられた小口献金の総額と同額)を合わせても4億6,000万円しかなかった。
「1月と2月では雲泥の差だ」というのは、選挙運動と選挙資金に関する研究グループ、「積極的な政治のためのセンター」の理事、ラリー・メイキンソンだ。「マケインがこの資金調達の勢いを維持できれば、資金的にはブッシュに迫ることも可能だ」
ブッシュ候補も資金の補充に努めており、すでに過去最高の77億円以上を資金調達している。また、今年3月には資金集めのイベントを4、5回行う計画だと選挙運動報道担当官のアリ・フレッシャーはいう。
ブッシュ候補がさらに資金を集めなければならないのは、出費も記録的なほど多いためだ。1月に14億3,000万円を使い、これまでに使った選挙資金は総額で55億円になり、1996年の選挙でボブ・ドールが費やした選挙費用、46億2,000万円をすでにはるかに上回っている。
一方のマケインは過去6週間で13億2,000万円を費やしており、これは1999年1年間にマケインが使った総額15億4,000万円に近い。「今こそ資金を使うときだ」とマケインの報道担当官、ハワード・オピンスキーはいう。マケインは政府から選挙活動資金の補助を受けているため、使える金に制限がある。その制限は約44億円で、それ以外には法的および会計費用の支出しか許されていない。マケインはすでに約28億6,000万円を費やしている。
ブッシュ候補は政府からの選挙資金補助を受けていないので、欲しいだけ資金を集め、使うことができる(ちなみに、今回、選挙資金の支出額に制限がない候補者は、ブッシュ候補だけである)。2月19日に予備選挙が行われたサウスカロライナ州で、ブッシュ候補は選挙資金については心配していないと語った。「この大統領選の長丁場を最後まで持ちこたえられるようにと計画を立てている。すべての予備選を戦い抜かねばならないが、今のところ計画通りであり、他の候補よりも支出が上回るチャンスは大いにあると思っている」とブッシュ候補は述べた。ブッシュ候補のアドバイザーである元共和党議員、ビル・パクソンは、選挙は競争相手よりもどれだけ多くの資金を投じるかの戦いであり、予備選だけでなく本選挙までそれにかかっている。ブッシュ候補の選挙資金の多くはテレビ広告用に使われる。ブッシュ候補は、サウスカロライナ、ミシガン、アリゾナ、ワシントン、ノースダコタ、バージニア、カリフォルニアの7州で、またマケイン候補はサウスカロライナ、ミシガン、バージニア、ワシントン、カリフォルニアの5州でテレビ広告を放映している。
1999年12月31日までにブッシュ候補が使った選挙費用をコンピュータで分析したところ、テレビ広告に6億9,300万円が投じられており、これは人件費の総額6億ドルを上回り、かつこれまでのどの大統領候補のテレビ広告費をも上回る。それに比較すると、マケイン候補のテレビ広告費は2億8,600万円であり、ドール候補が1996年の選挙戦全期間に費やしたテレビ広告費用は7億7,000万円であった。
「腹が減っては戦ができぬのことわざ通り、最後の本選まで勝ち残ることを意識した計画を立て、そのための組織化を行うことになれば、莫大なお金がかかる」というのはロン・コーフマンで、彼はブッシュ政権下でホワイトハウスの政治担当官を務め、今はその息子であるブッシュ候補を支援している。「結局、組織作りとテレビ広告で決まるのだ。資金不足を理由に、ジョージ・W・ブッシュが敗れる州はない、ということだけは確信している」
上記は共和党候補者についてだが、民主党候補についても状況は同じである。民主党のゴア候補はこれまでに選挙資金として、31億9,000万円を集めており、うち選挙資金集めの費用7億5,900万円を含む総額25億5,200万円をすでに費やしている。
ゴアの対抗馬である民主党のブラッドリー候補は、集めた資金総額が30億5,800万円であるのに対し、支出は資金集めの費用、4億1,000万円を含む21億4,500万円である。また、テレビ広告費は、ゴアの3億800万円に対し、ブラッドリーは4億6,200万円である。