今回のOWメモでは、病める米国のもう1つの側面として、カトリック神父の間に増えるエイズという記事を取り上げます。独身主義を教義とするカトリック神父とエイズ、この関係が何を意味するのか考えてみていただきたいと思います。皆様からのご意見をお待ちしております。
アメリカの隠れたエイズで
亡くなるカトリック神父
『インディペンデント』紙 2000年2月1日
『デイリーヨミウリ』紙 2000年2月6日
米国のローマカトリック教会の神父がエイズ感染で死亡する確率は、一般国民の少なくとも4倍であり、『カンザス・シティ・スター』紙が発表した広範な調査結果によると、それは主に同性愛による性交渉の結果であり、教会の聖職者たちはこの事実を必死に隠そうとしてきたという。
2000年1月30日の日曜日からこのシリーズ記事を開始した同紙は、1980年代半ば以降エイズ関連の疾病で亡くなった神父100人の医療カルテおよび家族の証言、そしてその他200人の神父のエイズ関連死についての間接的な証拠に基づく調査を行った。ある専門家によれば、全米のカトリック神父46,000人のうちエイズ関連死の総数は1,000件にものぼるという。
同紙によれば、3,000人の神父に調査書を送り回答のあった800人のうち、多くは神学生に禁欲を誓わせるための精神修養が不足しており、またそれがもたらす悲劇的な結果についても教会は認めていないと率直に語ったという。
回答者の約60%は、エイズ関連の疾病で亡くなった神父を最低1人は知っていると答え、また3人に1人は、エイズが発症しているか、またはHIV感染の神父を知っていると答えた。「これは教会側の手落ちを物語っていると思う。同性愛の神父も異性愛の神父も、自分達の性的資質や性欲をどう扱っていいかわからない。宗教的理由による独身主義でありながら、同時に同性愛であったらどうすべきなのか、また独身でありながら異性愛であればどうすればよいのか、そういったことをまったく我々は教えられていない」とデトロイトの副司教、トーマス・ガンブルトンは同紙に語った。
ある同性愛の神父は匿名で次のように記した。「真の問題はHIVやエイズではなく、すべての性的資質に教会が基本的に不正直なことだ。神父や他の聖職者は自分達の性的資質をあらゆる方法で隠したり、他の資質に見せかけなければならず、それが不健全な性的表現につながるのだ」
神父にHIV感染者が多いことはカトリック教義の核心を突いている。カトリックの教義では、結婚していないのであれば、すべての性的問題は禁欲で解決すべきだとされているからだ。米国教会が長年にわたり、安全なセックス、避妊、同性愛の有効性などに対し寛大になるようローマ教皇庁に働きかけても受け入れられなかったことを考えれば、神父たちが今回の調査に快く応じたこともそれほど驚くべきことではない。
ローマ教皇庁や米国教会の上層部は、今回の調査結果へのコメントを拒否した。同紙の調べによると、米国教会は神学校における性的資質についてのカウンセリングを増やしたり、叙階式にエイズ検査を受けることを条件にしたという。しかし長年にわたって米国教会は、エイズまたはエイズ関連の疾病が死因であることを公表しないよう医師に圧力をかけてきた。
ニューヨークのカトリック司教エマーソン・ムーアは、1995年にミネソタのホスピスで亡くなった。彼の死亡証明書に書かれた職業は「労働者」であり、死因は「未知の自然死」であった。死因が「HIV関連の疾病」に変わったのは、地元のエイズ活動家から正式に苦情が出された後のことである。