No.414 過少消費

 今回は、何度かこのOur Worldシリーズで紹介したJ. A. ホブソンの論文をお送りします。この論文は大恐慌の後、1933年に『エコノミカ』という雑誌に掲載されたものですが、国内総生産の6割を占める個人消費の低迷に悩む現在の日本の状況にも当てはまるものです。私は以下のホブソンの論文は、日本が現在の景気低迷から抜け出し、国民の幸福を満たせるように経済を立て直す方向性を示してくれていると思います。

 日本や欧米では、現在、情報技術産業が非常に盛んですが、情報技術がこれまでの技術革新と特別異なるわけではありません。情報技術も、産業革命以降200年間にわたる、製造や流通の生産性向上のための技術革新の1つに過ぎないのです。我々人間は、手作業で行っていた製造および流通過程を機械化し、次に蒸気や石炭、石油によりその機械の生産性を押し上げました。さらにロボットや工作機械により機械で機械を製造するようになり、そして今度は、コンピュータや通信ネットワークが、人間の知的作業の生産性も向上させ、人間に代わってそれを行うことまで可能になったのです。こうした技術発展の歴史により、日本の生産性は飛躍的に向上し、1990年代の生産性(国民1人当たりの国民総生産)は、1980年代の2倍、1970年代の4倍、1960年代の16倍に増えています。

 しかし、これまでの技術革新同様、情報技術は、商品提供能力を大幅に押し上げたものの、人間の需要を増加させることはありませんでした。1990年代の日本の需要は、生産性と同じ速度で増加してはいないのです。つまり、現在の所得分配方法および個人消費の配分に基づく消費需要では、機械化および自由化によって押し上げられた生産・流通能力に追いつかないのです。そして供給が需要を大幅に超過し、製品やサービスを作り過ぎているからこそ、業者間の競争や値引き競争が熾烈化し、その結果、戦後最悪の失業や倒産、自殺、経済的、社会的な弊害につながっているのです。

 60年前にホブソンが著した「過少消費」に関する分析およびその処方箋は、現在の日本の状況にも当てはまるものです。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。

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