今回はAP通信から、主要11ヵ国のデリバティブ取引の増加を示す記事と、その記事にある数字をもとに、それを11ヵ国のGDPの総合計と比較する記事をお送りします。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
デリバティブ取引、半年間で6.6%増加
『デイリー・ヨミウリ』紙 2000年11月14日
国際決済銀行(BIS)が11月10日に発表した半期報告書によると、デリバティブ(金融派生商品)の店頭市場での取引残高(想定元本)は、2000年6月末時点で94兆400億ドル(約9,400兆円)に達し、1999年12月末に比べて6.6%増加した。
この増加の背景には、ユーロの金利ベース・デリバティブ(11%増)を含む金利部分を取引対象とするデリバティブ取引が、6.7%急増したことがあげられる。
またユーロ取引に伴うリスク低減を狙ったデリバティブ取引の25.6%増を主に反映して、外国為替関連のデリバティブ取引も8.0%増加した。
これとは対照的に、株式ベースのデリバティブ取引は8.6%減少したが、これは、米国のナスダック指標が調整期にあることを反映したものである。
BISのデータは、イギリス、ドイツ、日本、米国を含む11ヵ国の主要銀行およびディーラーの店頭市場での取引残高(想定元本)総額の推定値を示している。またデリバティブの想定元本とは、デリバティブ取引の基盤となる資産元本の総額に相当する。想定元本の増加自体はリスクの増加にはつながらない。なぜならば、想定元本は、デリバティブ取引の計算のもとになる数字でしかないからである。
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上記の数字によれば、現在主要11ヵ国のデリバティブ取引の合計は94兆ドル(9,400兆円)に達しており、これをそれら11ヵ国のGDP合計と比べると、デリバティブ取引がGDPの4倍に達していることがわかる。
(単位:10億ドル) GDP
1999年 デリバティブ取引
2000年6月末
日本 4,347
カナダ 635
フランス 1,432
ドイツ 2,112
イタリア 1,171
イギリス 1,442
米国 9,192
オーストラリア 404
ニュージーランド 54
スイス 259
ベネルクス3国 661
合計 21,710 94,040
このことから、世界経済が今や、モノやサービスの提供による経済から、お金からお金を生み出す博打経済に転じていることがよく理解できると思う。