今週は、10月29日付けの『産経新聞』(大阪版/朝刊)に掲載された、私に対するインタビュー記事をお送りします。これは、米国同時テロに関する意見を求められお答えしたものです。是非、お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
『産経新聞』 2001年10月29日
米中枢同時テロに対する米国の軍事行動を日本の政府や世論の大半が支持している。しかし「憲法を改正しないで、米国の軍事行動を支援するのに問題があるのでは」とコンピュータ・ソフトウェア販売会社、アシスト(本社・東京都)社長で、親日派の論客で知られるビル・トッテン氏は問いかける。トッテン氏は在日三十余年、日本を愛し『日本はアメリカの属国ではない』など多くの著作や自らのホームページで「日本が独自に歩むべき道」を提案している。今回のテロについてトッテン氏に聞いた。
―― テロをどう見るか
「テロで六千人も亡くなり悲しい。犯人は悪いやつだ。しかし、米国が何故、攻撃されたかを考えなければならない。米国は『世界の自由を守るために』と第二次大戦後も、ベトナムやイラクなど数十ヵ国を空爆し、数百万人の民間人が死んだ。また米国は、イスラエル軍のパレスチナ自治区侵攻を許し、アラブ諸国から反感をかっている。米国はビンラーディン一派を捕まえて、裁くだけでは何もならない。テロを撲滅する最善の方法は、テロ行為の原因となる憎しみを取り除くことだ」
―― 日本は、米国支援のためのテロ対策特措法を今国会で成立させる予定だ
「日本政府は後方支援を『憲法の範囲内』としているが、これは憲法のわい曲にすぎない。武力行使という直接的な手だてでなければ、友人である米国が行う戦争行為を支援しても良いと思っている。非戦闘地域に限定した後方支援であっても“参戦”ではないか。戦争を放棄した平和憲法に抵触する。憲法を改正しないで、わい曲する国は、世界から信用されず、日本の立場を危うくする」
―― トッテン氏は「日本人は本当に自分の国を守ろうとしているのか」と疑問を持っているが
「日本人は、憲法で戦争を放棄し、軍隊を持たない代わりに、日米安全保証条約のカサの中で、米国が日本を守ってくれると思っている。他の国から守ってもらっているのは保護国扱いされているのと同じだ。日本は、憲法9条の後半部分を改正して、自国を守る軍隊を持ち、独立国として主体性を確立すべきだ。ただし、軍隊は持つが、中立を宣言することだ」
―― 今回の「新しい戦争」が長引けば、世界経済や日本経済に与える影響は大きい
「日本のデフレ不景気の原因は、国民一人当たりのGDP(国内総生産)が1965年から2000年で12倍になったのに対し、一人当たりの賃金の伸びは9倍、1家計の可処分所得の伸びが8倍にとどまっているところにある。消費する能力が生産性の伸びに追いつかず、供給過剰となっている。この不均衡是正のため、消費税を廃止するなど適正な税制改革で、GDPの6割を占める個人消費を増やし、内需拡大で景気回復すべきだ」
【 許可を得て転載 】