石原都知事が「ホテル税」を都議会に提示したことについて書かれた『読売新聞』の記事を読み、私は非常に嬉しくなりました。なぜならこうした税金こそ必要かつ公平だからです。
ホテルはビジネスの中でも最もその所在地から恩恵を得るビジネスです。その恩恵とは、そこにある道路や公共施設、治安の良さ、清潔度、その他の公共サービスに負うところがかなり大きいといえます。ホテルへの課税は、そうした公共施設やサービスの提供に必要な経費を捻出するためには非常に良い方法だと私は考えます。
石原都知事のホテル税は累進税であり、その点が特に公平性を期していると私は思います。東京には1泊1万円以下のホテルが多数あるため、多くの人にとってはまったく負担になりません。この税で負担が増すのは1万円以上の高級ホテルをあえて選択する人々だけです。ただ1点、私が変更したらどうかと思う点は、都知事が提案されたホテル税の条例案は「1泊10,000円から15,000円は100円、15,000円以上はすべて200円徴収」となっているところ、20,000円から25,000円は300円、25,000円から30,000円は400円というように、累進性をさらに高めたらどうかという点です。そうすることによって、高級であればあるほど、税負担が重くなり、真の奢侈税になると思うのです。
『読売新聞』には、鳥取県の片山善博知事が「東京には来るな、という税制だ。全国的な会議は今後、東京以外で開くよう求める」と発言したとありましたが、このような不合理な発言は都知事に断固、取り合っていただきたくない。東京にあるホテルの魅力をさらに高めるために使われる、たった1%の税金が、「東京には来るな」という税制だとなぜいえるのでしょうか。「(何事も東京に行かざるを得ない)弱みにつけ込んだ税制だ」という福井県の栗田幸雄知事の発言にも納得できません。10,000円以上のホテルに必ず泊まらなければならないとは誰もいっていないのですから。また、石川県の谷本正憲知事は「(東京の)ごう慢さを示している」と発言したそうですが、都知事が東京都にだけ適用される税金を提案しただけなのに、それをなぜごう慢といえるのでしょうか。都知事であれば、東京都にとって最善のことを考えるのは当然だと私は考えます。
以下にこの「ホテル税」に関して読売新聞社が道府県知事を対象に行った調査結果をお送りしますので、是非お読み下さい。皆様からのご意見をお待ちしております。
2001.11.27 東京朝刊
◆ 賛成「7」、反対「8」 東京のごう慢だ
東京都の石原慎太郎知事が二十七日、都議会の議会運営委員会に「ホテル税」条例案を正式に提示する。昨年の「銀行税」に続く都の新税条例の第二弾だが、地方の自治体の首長と石原知事の間で、ちょっと品のない論戦にまで発展している。読売新聞社が道府県知事を対象に賛否を尋ねると、大阪、愛知、福岡など大都市を抱える七府県は「賛成」だったが、鳥取、三重、福井など八道県は「反対」。残る三十一府県は「中立または何とも言えない」と静観の構えだ。
石原知事がホテル税構想を打ち出したのは今月二日。以来、各地の知事が記者会見などで賛否を表明している。
批判の急先鋒(せんぽう)に立ったのは、自治省(現・総務省)出身で、府県税課長の経歴を持つ鳥取県の片山善博知事。「東京には来るな、という税制だ。全国的な会議は今後、東京以外で開くよう求める」と口火を切った。これにカチンときた石原知事。「恥をかくのは(反対する)てめえの方だよ」と感情的にやり返し、「(片山知事の)後ろにいる役所が、地方自治体に勝手なことをされては不愉快なんでしょう」と追い打ちをかけた。
このため今度は片山知事が「何とかの勘ぐりはやめて頂きたい」と再応酬。他の知事から「子供みたいなやり取り。どっちもどっち」(秋田県の寺田典城知事)と戒める声も上がった。
読売新聞のアンケートによると、ホテル税構想を支持しているのは、主に大都市を抱える知事たちだ。大阪府の太田房江知事は「アメリカでもやっているし、一つのアイデア」と評価し、大阪市では導入を検討する動きを見せている。「首都という条件を生かしたもので、東京という都市に見合った税制度」(愛知県の神田真秋知事)、「地方分権時代の税源確保であり理解できる」(山梨県の天野建知事)など賛同する声も多い。
これに対し、鳥取のほか、北海道、三重、佐賀、長崎などが反対派。「(何事も東京に行かざるを得ない)弱みにつけ込んだ税制だ」(福井県の栗田幸雄知事)、「(東京の)ごう慢さを示している」(石川県の谷本正憲知事)など、東京の一極集中に対する批判と絡めて反発している。
神奈川県の岡崎洋知事は東京に隣接しながら「(神奈川では)できるだけ多くの人に何とか来てほしい、という思いの方が強い」として、宿泊費課税の考え方を否定した。
「中立またはどちらとも言えない」としている知事のうち、二十人は「都知事の判断を論評する立場にない」(福島県の佐藤栄佐久知事)との姿勢。京都府の荒巻禎一知事は「増税のアイデアが首長のプラス評価につながる風潮はいかがなものか」と、全国の自治体が競って新税構想を打ち出す風潮に批判的だった。
【ホテル税】
条例案では、ホテルなどの宿泊施設を利用した場合、一泊一万円から一万五千円までは百円、一万五千円以上には二百円を課税する。一万円未満はビジネスや修学旅行客が多いとの判断から、非課税に。税収は観光振興策に充てられる。都議会の自民と公明が前向きで、両会派を合わせると過半数を占めるため、条例案は可決する見通し。施行には総務省の同意が必要だが、都は来年夏までの実施を目指す。