No.514 「IT社会でなすべきこと:企業として、個人として」に関するご意見と私のコメント(2)

弊社主催の『新春の集い』における同じテーマの私の講演をお聞きになったお客様からお寄せいただいたご意見やご質問に対する私の回答をお送りします。

「IT社会でなすべきこと:企業として、個人として」
に関するご意見と私のコメント(2)

【質問】 日本は、ペリーの黒船以来、米国・欧州諸国の圧力を受け、植民地化を逃れ、国を豊かにするため、自ら何度か大きく舵を切り替えています。太平洋戦争の敗戦の結果による米国製の憲法と7年の言論統制、数十年の社会主義者の教育の結果、日本人の意識は大きく変わってきました。平成に入っても、これまでの護送船団から自由競争に切り替え、価値観の変革期にあることは事実だと思います。日本は輸入なしでは成立しない国で、外国取引が必須です。欧米諸国の金持ちによって支配された金融市場が実体経済を超えて巨大になって支配力を増している中、彼らの価値観の戦場に出て戦う以外に、どのような選択肢があるのでしょうか。

回答:  確かにペリーの来航後、日本は刺激を受け、欧米列強に植民地化されないように富国強兵に励みました。しかし、残念ながら、「脱亜入欧」のスローガンのもと、日本を植民地化したのは日本自身でした。つまり、日本人は日本の文化や価値観を捨て、米国、フランス、イギリスその他の国々から売り込まれる彼らの価値観や文化を進んで受け入れたのです。確かに米国は言論統制を行い、米国製の憲法を日本に押し付けました。しかし、それも50年以上も前のことです。この半世紀の間、米国は日本に対して言論統制もしていないし、憲法改正を妨げることもしていません。事実、日本国憲法第96条には憲法改正についての条文が明記されています。

日本人の意識が大きく変わったのが、社会主義者の教育によるものかどうかは、私にはわかりません。むしろ日本人の考え方が変わったのは、(1)過去150年間「脱亜入欧」を続けたこと、(2)戦後約50年間、日本政府が一貫して、米国政府から不正かつ秘密の政治的支援を受ける代わりに、米国の総督として、米国のための政治を日本の国民に行ってきたこと、(3)米国への輸出に依存する日本の大企業約30社が、米国への輸出を拡大するためにその資金力を使って、政治(献金)、官僚(天下り先)、マスメディア(宣伝広告)に影響を及ぼし、日本が常に米国を喜ばせ、米国のご機嫌を損ねないようにしていること、そして(4)日本の社会主義者ではなくマッカーサーが、日本の学校教育から儒教、仏教、神道、武士道、その他日本やアジアの古典を学ぶことを排除したためであると思います。

日本は、現在ほどの輸入をしなくとも成り立っていけるはずです。過去40年間、日本の経済構造は驚くほど一貫しています。

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GDPの内訳
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60% 国内個人消費
30% 民間設備投資
9% 公共事業などの社会消費
1% 純輸出
(輸出10%から輸入9%を引いたもの)

日本は、必須なものの輸入代金を稼ぐために輸出しているのだと一般に考えられていますが、実際には日本の大企業の過剰な輸出に他の国(主に米国)が苛立たないようにするために、必要ないもの、あるいは日本に害となるものを輸入しているのです。確かに数十年前の日本は必要な資源を輸入するために輸出をする必要がありました。しかし今日、日本の輸入の60%は日本に不必要な、役に立たないものであり、上位30社の輸出企業が過剰な輸出ができるよう他の国をなだめるためのものなのです。

繰り返しますが、日本経済(GDP)の99%は国内経済によるものです。国際経済に依存しているものは、純輸出、すなわち輸出から輸入を引いたわずかなGDPだけなのです。したがって、日本の「真の経済」は、欧米諸国の金持ちに支配されてはいないのです。日本は、輸出企業上位30社の過剰な輸出に協力するような現在のやり方をやめるべきです。

そのためには(1)不要な、または日本を損なう輸入をやめる、(2)外国(主に米国)による言語道断な内政干渉をはねつける、(3)米国が支配し、実際米国のために動いている「国際組織」と呼ばれる団体から脱退する(IMF、世界銀行など)、(4)米国債の購入を通じた何十兆円にも上る米国への融資を取り戻す、(5)日米安保条約を破棄することによって、米国の領土拡大主義のために日本の土地や財産や国民を利用しているにすぎない米軍の占領を終焉させることが必要だと思います。

【質問】 日本は、厄介な隣国の中国からも色々な攻撃を受けています。中国は、反日教育を行い、日本を仮想敵国としミサイルで狙っています。しかし、日本政府は多額の援助を行い、企業はデフレ対策のため中国に工場を移転させる企業が増加し、貿易赤字は最近急に増えています。中国からの輸入は日本のデフレの大きな一因になっているのではないでしょうか。日本は中国とどう付き合うべきか大きな問題だと思います。中国との関係での問題はお話にありましたが、日本でのビジネスにおいても中国の影響が無視できなくなっていると考えますがいかがでしょうか?

回答:  まず、なぜ貴方や他の日本人が中国を日本の敵国と呼ぶのかがわかりません。過去100年間、500年間、または過去1000年間において、中国が日本に対して行った侵略行為と、日本が中国に対して行った侵略行為とを比較してみてください。日本と中国のどちらが、どちらに対して、侵略や攻撃を行い、相手を利用してきたのでしょうか?

中国は日本にミサイルを向けているでしょうか、それとも中国は、日本において中国への攻撃姿勢をとっている米軍基地に対してミサイルを向けているのでしょうか。もし日本が、攻撃されるのではないかと中国が恐れる軍隊を駐屯させていなければ、日本にミサイルを向けたでしょうか。もし中国が日本を仮想敵国と見なしているのであれば、独立国である日本を仮想敵国としているのか、それとも日本が、(中国が敵国と見なすに十分の理由がある)米国の傀儡か、あるいはいいカモになっているからなのか、どちらでしょうか。

日本企業が工場を中国に移転して、中国で製造した製品で日本を溢れさせているのは、中国を助けるという利他的な理由からなのでしょうか、それとも人件費の高い日本人の代わりに、安価な中国人労働者を利用することによって、その企業の株主や経営者により多くの利益をもたらせようという貪欲な理由からなのでしょうか。貿易問題において、日本と中国ではどちらが非難されるべきなのでしょうか。

日本政府が中国に巨額の財政援助を行っているのは、中国や中国の人々を助けるためという利他主義的な動機からなのでしょうか。それとも、ただ単に人件費の高い日本人労働者を、安い中国人労働者に置き換えることによって、企業の株主や経営者がより多くの利益を得られるようにするためなのでしょうか。