講演に際してご質問をいただきました。ぜひ読者の皆様にもお読みいただきたく、下記に質問とその回答を掲載します。
私が考えるカジノ経済の弊害(質問と回答)(1)
質問-1
回答
銀行はお金を貸し付け金利を得ることで利益をだします。銀行がお金を貸し付ける、という行為は、講演でも述べましたが、貸し付けであり、それにより利益を出しています。銀行は、金融海賊から買収されないようにするために、短期的な利益を最大にして、高株価を維持したいと考えるはずです。
その2.日本政府
政府とは、国民が関心をもってその行動を監視できるように情報を公開する義務を持ち、国民によって民主的に選ばれる機関です。
もし利益追求を目的とする民間企業の方が、自分たちが関心を持って選挙によって選ぶことのできる機関よりも信用できると思うのであれば、私たちはより良い形態の政府のために、「民主主義」をやめるべきではありませんか。その代わりにどんな政府だったら信用できると思われますか。
ところで、民間銀行がGDPの10%かそれ以上のお金を作ったのは、過去40年間のうちわずか5年だけです。1971年11%、1972年15%、1973年13%、1988年10%、1990年11%。
民間銀行は1968年以降、平均でGDPの約6%のお金を作ってきました。ですから政府が民間銀行の代わりに政府紙幣を作るとしたら、GDPの5%とか10%という枠の中で行えば問題ないと思います。
しかし、それよりも私が良いと思う方法は、政府が作るお金の額を、毎年徴収する税金の一定割合以内に法律で規制することです。
その理由は、民主的に選挙で選ばれた政府が増税をするのは難しいため、この法律によって政府は新しいお金を作りたいときは、増税をしなければならないようにするのです。そうすれば政府はハイパーインフレを起こすほどの紙幣を作ることはないでしょう。
統計データで見ると、日本で作られたお金の、過去40年間の平均は、政府が徴収した税金の61%です。この数字から、日本政府はその年の税収額の61%を超えて、新しいお金を作ることはできない、という法律を作ればいいと思います。
さらに、統計データを詳しくみると、規制緩和以前(1968年から1983年)、日本のGDPは毎年12%成長しており、同時に、作られたお金は(政府および民間銀行あわせて)政府が徴収した税金の91%でした。
規制緩和が始まってから(1984年以降)、日本のGDP成長率は3%になり、1年間に作られたお金は、税収額の40%になりました。そして過去15年間は、日本のGDPは増えておらず、一方で、政府が徴収する税金の30%のお金が毎年新たに作られています。
このように分析してみると、政府発行紙幣の額を、その年の税収額の50%以内に制限する、という法律を作れば、政府紙幣がハイパーインフレを起こすという副作用は防げるのではないかと思います。いかがでしょうか。
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質問-2
回答
もしあなたが民主的に選ばれた(自分が選んだ)政府を信頼しないなら、あなたはどのような政府だったらいいと思うのですか。
併せて、「質問-1」の回答もご参照ください。