No.863 私が考えるカジノ経済の弊害(質問と回答)(2)

講演に際していくつかご質問をいただきました。ぜひ読者の皆様にもお読みいただきたく、下記に質問とその回答を掲載します。

私が考えるカジノ経済の弊害(質問と回答)(2)

質問-1

“カジノ経済”をリードしているアメリカの大統領がオバマ氏に替わったことで、アメリカ経済や世界経済が今後変わる可能性が、少しでもあるのだろうか。日本のことは、日本政府、およびそれを選択している国民一人ひとりが、きちんとした判断、選択をしていかないといけないのだろうか。政府を動かす(人を動かす)様にするにはどうしたら良いのだろうか。

回答

オバマ氏について言えば、アメリカは何も変わりません。彼を大統領にしたのは大企業のロビーとイスラエル・ロビーです。オバマが、アメリカ経済の方向性や、イスラエルに対するアメリカの態度をこれまでと変えることがないように、というのが、財界やイスラエルの希望なのです。アメリカで大統領に当選する可能性のあるすべての候補者は、同じ大企業とイスラエルのロビーに買収されています。買収するのは、誰が大統領になっても、アメリカの財界とイスラエルの思い通りに政府が動くようにするためです。

もし日本のことを考えているのであれば、私たちがすべきことは、今自分の楽しみに費やしている時間を、社会の問題を考える時間に充てること、そして選挙では、国民の健康や幸福のための政策を掲げそれを実行してくれるような政治家を選び、必ず投票に行くことだと思います。

また、選挙についていえば、ベストだと思われる候補者を当選させようとするのではなく、とにかくその政党や現職の政治家が国民の健康や幸福のために働いていないと思ったら、その政党や現職の政治家を落選させる、このような視点で投票をするべきだと思います。

ほとんどの政治家は議員であることが唯一の仕事です。ですから議席を失うことは彼らにとって大問題です。もし現職議員が毎回選挙で落選することを心配するようになれば、国民の健康や幸福のために、きっと一生懸命活動してくれるようになるのではないでしょうか。

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質問-2

銀行に信用創造の機能を持たせなくて、本当に実体経済が発展するのであろうか。明治時代のような時世には、銀行にこの機能を持たせなかったら企業が成長していたかどうか疑問である。

回答 

私は明治時代があまり好きではありません。明治時代のリーダーたちは江戸時代の敗者で、彼らがしたことによって日本の良さが損ねられたと思っています。明治時代、それまで日本の気候に相応しかった服装を、寒冷で乾燥している北ヨーロッパの気候にあった服装(洋服)に変えてしまいました。また明治維新を興した人々、そしてその追随者たちは、日本を世界大戦に巻き込みました。これによって日本の人口の5%が戦争で殺され、1945年に敗戦してから64年たった今もなお、日本を攻略したアメリカの軍事占領が続き、完全に支配されています。

また明治時代から、それまで完全に独立国で自給自足であった日本は、ほとんどの食料やエネルギー資源を輸入に頼らなければならない国に変わってしまいました。さらに、輸出中毒になった日本は、軍事的に守ってもらうためにアメリカに依存し、外交政策はアメリカの言いなりで、それどころか国内政策についてもアメリカ政府の干渉を許しています。社会、経済、そして価値観までもアメリカに手渡してしまいました。

しかし明治以降、信用創造の力を民間銀行の手に渡しても、政府や日銀がそれらの民間銀行を厳しく指導し、規制している間は、それほど日本に害はありませんでした。それらの規制の多くが緩和され、または撤廃された1980年代半ばから、日本にとって破壊的なこと(不動産バブルや今回の危機)がもたらされるようになったのです。

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質問-3

近い将来、インフレはあるのでしょうか?

回答 

まず、1930年以降最悪のデフレになるでしょう。そして実体経済がなお悪化し、それによってすでに膨れ上がった公的債務がさらに増えると、大幅な増税をしないでそれを返済するために、ハイパーインフレとなるでしょう。(政府は自分たちがなるべく痛みを受けないように - たとえ国民が痛みを受けたとしても - 巨額な負債を清算するためにハイパーインフレを起こすのです。)デフレになると債務者(借り主)は苦しみます。なぜなら、収入が減り、借金が返済しにくくなり、家や会社を失うことになるからです。インフレになると貯蓄家は苦しみます。貯蓄は(それが有体資産でなくお金の場合)その価値が減少するからです。債権者(貸し主)もインフレで苦しみます。なぜなら価値の減ったお金で返済されるからです。

インフレに備えて、借金はしないこと、そしてお金ではなく、有益なものだけを持つようにすることがベストです。

シェイクスピアは「ハムレット」でこう書いています:

“Neither a borrower nor a lender be …”

借り手にも貸し手にもなるな・・・