講演に際していくつかご質問をいただきました。ぜひ読者の皆様にもお読みいただきたく、下記に質問とその回答を掲載します。
私が考えるカジノ経済の弊害(質問と回答)(3)
質問-1
回答
国民の生活必需品に突然3%の税金を課し、それを5%に上げ、今度は17%にしようとしている政府に、なぜ1%の税金を課すことができないのでしょうか。
または、アメリカにドルではなく円建てでお金を貸すことはそれほど過激でしょうか。普通、為替リスクを負うべきは借り手で、貸し手(日本)ではありません。為替差損で何兆円も損をし続けるという構図をこれからも続けることに、おかしさを感じないのでしょうか。
また、民間銀行に、他の誰もがそうであるように、自分が持っているお金だけを貸し出せるようにすることは過激でしょうか。ホテルは客室数しかお客を泊めることはできないし、レンタカーは同時に1台の車を複数顧客に貸し出せません。飛行機も新幹線も1つの座席を二人に売れません。しかし銀行は、金庫にあるお金の約25倍の金額を貸し出すことができ、それから利子収入を得ているのです。
日本がここまで巨額の公的債務を積み上げた大きな理由は、日本政府ではなく、民間銀行にお金を作らせてきたためで、政府が民間銀行からお金を借り、返済時に利子を支払うことを繰り返してきたためです。現在の日本政府がしている借金の78%は、過去の借金の返済のために発生し、新たに国民のために使われているのは22%だけなのです。
つまり、日本政府が自分でお金を作らず、民間銀行にお金を作る権利を与えているために、この巨額の公的債務ができたといえるのです。
日本政府が政府紙幣を発行するのではなく民間銀行に作らせるのなら、日本政府は自衛隊を民間企業に任せてもいいし、または警察や消防署を民間企業にやらせてもいいし、または裁判所や刑務所も民間にやらせてもいいということにならないでしょうか。
確かに輸出力が弱まると日本経済は縮小します。それには、大きな痛みを伴うでしょうが、短期的なことだと私は思っています。日本経済はあまりにも輸出中毒になっています。ですからその中毒を治す必要があります。中毒の治療は、痛みを伴いますが、健康になるためには仕方がありません。
私たちには持続可能な経済が必要です。そしてそれは、健康や幸福のために必要な製品やサービスを購入するために、働きたいと思う国民は誰でも仕事に就けるような経済です。そしてそのような経済だけが持続可能なのです。より大きな経済はエネルギーを使い過ぎ、環境も破壊します。そして実際、経済を支えるエネルギーは減耗しつつあるのです。
つまり持続可能な経済になれば、日本経済は今よりもずっと小規模で済むと思います。そして国民は、今よりも少ない消費で、労働時間も労働量も減らし、しかしもっと健康で幸福になると、私は思っています。
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質問-2
回答
社会企業家については、グラミン銀行がすぐに思い浮かびました。もちろん素晴らしいことだと思います。しかし全身傷だらけで衰弱している人に、絆創膏を貼るような方法よりも、全身を回復させる大きな治療が今は必要だと思っています。