No.865 私が考えるカジノ経済の弊害(質問と回答)(4)

講演に際していくつかご質問をいただきました。ぜひ読者の皆様にもお読みいただきたく、下記に質問とその回答を掲載します。

私が考えるカジノ経済の弊害(質問と回答)(4)

質問-1

国民自身に問題があるとのご指摘には大変賛成です。しかし具体的ACTIONとしては何でしょうか。選挙で民主党を大勝させることでしょうか。勇気を持ってACTIONするとは具体的には何をすることでしょうか。

回答

選挙についは、別の質問でも書きましたが最も良い候補や政党を当選させようとするより、現職の政治家を落選させるようにすべきだと思います。それは私たちが消費者として普通にやっていることです。嫌いな店にはいかないし、商品は買わない。政治家にとって落選はもっとも恐いことです。今の政治のやり方で国民を満足させられなければ落選させられるということを我々は教えてあげなければいけません。

ところで、このやり方はユダヤ主義のロビー団体がアメリカ政府に対して行っているやり方なのです。つまり、ユダヤ主義のロビーが満足しない大統領候補は絶対に大統領にはなれません。

もっと賢く、効率よく投票をするためには、我々は自分の楽しみに使っている時間の一部でも、今の問題や日本社会にとって重要なことについて、学ぶ時間に充てるべきだと私は思います。

特に今のマスメディアは広告主にコントロールされているために、公正な報道をしているとは思いません。ですからすべての人ができるとは思いませんが、なるべくインターネットのような独立した媒体から情報を得ることもその一つです。

また個人レベルでできることは、お金とエネルギーに過度に依存している今の生活を変えることです。過剰消費に中毒になっていることに気づくこと。それを煽っているのが広告宣伝であることはいうまでもありません。

そして、他者にお金を払ってやってもらっている身の回りのさまざまなことを、両親、祖父母の時代のように、なるべく自分で行うようにしていくこと。そのためにはまずやり方を学ぶことから始めなければならないでしょう。

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質問-2

これからの御社の向かう方向について教えてください。

回答 

私以外の取締役は今、どのようにお客様にサービスを提供していくか、そしてそれによってわが社が経済危機や不況による大きな影響を避けることができるか、最善の道を模索しています。私はそれを奨励し、支援しています。そしてそれが上手くいくことを願っています。しかし、現在の世界、日本情勢をみると、どのようなことをしても影響は避けられないのではと思っています。また私は日本経済は縮小するべきだとも思っています。なぜなら今、わたしたちは大量に生産し、消費し、廃棄するためにあまりに多くのエネルギーを使い、環境を破壊しているからです。

ですから私は社員に対して、日本経済が劇的に縮小する、おそらくは半分の規模になる(今のGDP500兆円から250兆円に)かもしれないと警告し、またそのような経済縮小に備えて次のような準備をしています。

  1. 社員は解雇、レイオフはしないということで合意している。
  2. その代わりに会社の収益が縮小したら、給料は累進的に減額することになる。
  3. 社員に対して、過剰な消費中毒を治すようにと言っている。
  4. これまでお金を払って他者にやってもらっていた衣食住にかかわることを自分で行うことができるよう勉強するよう、そうすればもし収入が減っても、自分と家族の健康や幸福を大きく損なうことはないだろう、ということを社員に言っている。
  5. 3年前、社内農芸プロジェクトを立ち上げ、社員一人当たり2万円まで農園を借りる補助を出している。
  6. 裁縫教室を始めようと計画をしている。
  7. 日曜大工プロジェクトも同じように計画している。
  8. これらの勉強のためにも、社員には時間が必要だと思うので、社員により柔軟な働き方を提供する必要があるだろう。そのため通常の、1日8時間週5日という通常の勤務体制以外に、1日10時間4日勤務および在宅勤務といった柔軟性を提供する実験を行っている。
  9. さらに、関東地区は通勤時間も長く、農地も見つけにくい。市ヶ谷オフィスははフリーアドレスになっているため、社員も役員も個人のデスクを持たないので、同じように、たとえば、大宮、幕張、横浜といったところにサテライトオフィスを設けそこで仕事ができるようになれば、社員の通勤時間を減らすことができると思っている。

私と社員一人ひとりとの間には、これらのプロジェクトに対する温度差はあると思います。けれどもトップダウンでこのような提案がなされているといないとでは、わが社がどのような方向へ向かっていくかは変わってくるでしょう。また社員一人ひとりが変われば、組織として形態は変わっていくかもしれません。けれど、我が社の使命は、ソフトウェア製品とサービスの提供を通じて、人々や社会の人の役に立つ会社になることです。そういう意味での方向は変わることはありません。

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質問-3

日本の幸せ、米国の庶民の幸せのために、ギャンブルを規制し、高サラリーを罰するべきだと思う。ところで中国人の収入は上げるように発展させるのが世界のためになるのか。

回答 

金融博打は禁止されるべきということに賛成です。私が提案したトービン税は、それを達成する最善の方法だと思います。税金をとることで金融博打で得た利益はとられてしまうため、博打をするインセンティブがなくなるからです。高サラリーを抑止する最善の方法は、税制改革だと思います。日本でアメリカのように貧富の格差が広がったのは、所得(キャピタルゲイン含む)や富にかける税金の累進率を減らし、その一方で消費税や住民税のような、逆累進の課税を増やした結果です。

もしアメリカや日本が、過去40年間に行った税制改革を撤廃してもとの税制度にもどせば貧富の差も縮小するでしょう。

中国人の収入を上げることについては、私は中国人の平均所得が先進国を除く残りの世界の所得と比べて各段に低いとは思いません。最貧国と比べれば高いくらいだと思います。

問題はむしろ、日本や北米、その他世界の数十カ国の金持ちの国の平均収入が、格段に残りの世界の国の人々よりも高すぎることです。地球には、そういった金持ちの国の人々の収入を維持したり、中国をはじめ世界の貧しい人々の平均収入を上げるだけの十分なエネルギーや環境は残っていません。

ですから、公平さ、入手できるエネルギー量、環境破壊といった観点からみた解決策は、中国の収入を上げるではなく、日本、北米、その他金持ち諸国の平均収入を下げることだと思います。

もし日本のように豊かで金持ちの国が過剰な消費中毒から脱することができれば、そして今はお金を払って人にやってもらっているけれど、両親、祖父母の時代にやっていたように身の回りの衣食住のことを自分でやることを学べば、金持ちの国の人々の健康や幸福度を下げることなく、世界の残りの国の平均収入に向かって徐々に金持ちの国の平均収入を下げていくことができると思います。