今年に入って鳥取はじめ日本の中西部地方では2メートルに迫る記録的な豪雪にみまわれたが、一方南半球ではブラジルやオーストラリアで大洪水が起きている。昨年はベネズエラも豪雨によって大きな被害を受けた。
昨年のベネズエラ豪雨
南米ベネズエラでは、昨年11月から続いた大雨で起きた洪水や地滑りのために多くの死者を出した。被災者は10万人以上にのぼり、チャベス大統領はすぐに一般ホテルや使用されていない建物を被災民のために一時的に提供するように命令を下し、軍の施設も避難民に提供した。さらには大統領府も避難所に開放し、家を失った数十世帯を大統領官邸に受け入れたという。
反米左翼の国とされるベネズエラの大統領のこのような行動をアメリカのメディアは報じなかったし、おそらく日本の主流メディアも報道しなかったのではないだろうか。私が思い出したのは2005年にアメリカを襲ったハリケーン、カトリーナだ。あの時も多くの人々、特に貧しい有色人層が命や家を失ったが、ハリケーン直撃の翌日ブッシュ大統領はゴルフをしていて、被災地訪問は5日後だったという。被害を受けたニューオリンズの(貧しい)住民たちの多くはアメリカ政府の災害復興支援政策に不満を持っていたと記憶する。
最も豊かで自由な民主主義国家のアメリカ人が、ベネズエラの大統領の行動を知ったらどう感じるだろう。アメリカが多数の国民の健康や幸福のためではなく、一握りの富裕層のための国だと思うか、それでも、強いマインドコントロールによって、まだアメリカンドリームを信じ続けるのだろうか。
日本も同じで、日本の場合は完全にアメリカにコントロールされ、政府はアメリカに反論もしないし、メディアはアメリカに都合の悪いことは報じない。同じく政府のスポンサーである経団連に都合の悪いことも報道せず、法人税5%減税、消費税大増税を推し進めようとしている。
金権主義政府にとって、一般国民の健康と幸福を優先する政策をとる国の存在は都合が悪い。だからこれまでもアメリカは民主的に選ばれた大統領が国を上手く治めようとするのを邪魔してきた。また巨額の軍事費を正当化するために、イランやキューバを仮想敵国として仕立て上げ、テロとの戦いを口実にオーウェルの1984年なみの監視をすることを国民に我慢させている。
日本政府が北朝鮮や中国の脅威をあおり、敵対視させようとするのも、だから米軍の沖縄基地が必要だというアメリカの命令に従うためであり、憲法第九条を変えて経団連企業が儲かる兵器ビジネスを始めようとしている。
「戦争をしたい人はいない。しかしその政策を決めるのは国のリーダーたちであり、国民を巻込むのは簡単だ。国は攻撃を受けている、と言えばいい。平和主義者には、愛国心が足りない、それでは国家が危険にさらされる、と非難すればいい。この方法はどこの国でもうまくいく」。こう言っていたのはナチスドイツの政治家、ヘルマン・ゲーリングだった。
今これと同じ手法をとっているのがアメリカなのか、アメリカがテロ支援国家にしたいと考えているベネズエラなのかは、その行動をみれば一目瞭然であろう。