核開発を続けるイランに対して、アメリカは追加制裁する法律を成立させ、これを受けて1月、安住財務大臣は日本がイランからの原油輸入を「計画的に減らしていく」と発表した。
イラン制裁なぜ協力
イランは以前から民生用として核開発を行っているとして国際原子力機関(IAEA)の査察も行われているが、アメリカはイランが核兵器製造を意図しているとし、その制裁としてEUなどと一緒にイランからの原油の輸入禁止措置を進めている。
もちろんこれに対してイランは猛反発しており、原油輸送路のホルムズ海峡封鎖をちらつかせている。ホルムズ海峡は日本に輸出される原油のほとんどが通過するため、閉鎖されれば日本は大きな影響を受ける。なぜ日本政府は、アメリカの命令に従い、アメリカのイランへの制裁に協力をしなければならないのだろうか。
昨年11月にも未臨界核実験を行ったアメリカがイランの核開発を反対することは偽善以外のなにものでもない。核爆発は伴わなかったとしても、実験を行うこと自体、核兵器の使用を前提としている。核兵器を保有し、さらに核兵器を戦争で使用した唯一の国、アメリカの言いなりになって、核兵器を落とされた日本がイランいじめに加担する。
さらに中東には核不拡散条約、核実験禁止条約などの取り決めを一切無視しながらも核兵器をすでに保有するイスラエルがある。そのイスラエルに対して、アメリカは毎年30億ドルの援助を行っている。イランが民営用ではない核開発をしたくなるのも当然である。
むしろアメリカがイランを挑発しているのは戦争経済(War Economy)を永続させるためであろう。これは戦後の兵器製造競争を予測したアメリカの学者たちが1944年に論文で言い始めた言葉である。第2次大戦のおかげで世界恐慌を抜け出ることができたアメリカは、いまや戦争が一大ビジネスになってしまった。その軍事支出を常に正当化するためにアメリカ政府は行動しているといってもいい。
金権主義のアメリカは常にお金のある者、つまり企業によって運営されており、兵器産業はその中でも特に大きな力を持つ。もう一つ強大な力を持つのがイスラエルロビーである。イスラエルはイランの核開発を阻止し、中東で唯一の核兵器保有国でいたいのであろう。そしてもちろん、石油中毒のアメリカは原油供給をコントロールしたいと思っている。
しかし、だからといってなぜ日本は、イランをいじめるアメリカの味方になり、イランに制裁を加えるのか。それが日本の国益になるのか。どれくらいイランからの輸入を削減するかについて、なぜアメリカと協議しなければならないのか。なぜそのためにサウジアラビアや他の原油国にお願いしないといけないのか。
昨年の原子力発電所事故以来、日本はまだ放射能の被害がどこまで拡大するのか、予測ができない状況にある。核兵器も原子炉事故も人類は共存できないことは明らかなのだから、日本は核兵器を使用した唯一の核大国に、まずは全ての核実験、核開発計画、そして戦争経済を放棄すべきだと伝えるべきだ。イランの問題はそれから考えればいい。