米軍の無人偵察機によるミサイル攻撃が続くパキスタン。日々多くの死傷者がでるなかで、米軍はターゲットは武装勢力だと主張するが、実際は多くの民間人が犠牲になっている。パキスタン国内で反米デモが激化するのも当然である。
2008年、オバマ大統領が就任したとき、人びとは「チェンジ」を期待した。日本を含む海外からも、初の白人ではない大統領という画期的な出来事でアメリカは大きく変わり、山積する国内の問題に取り組むようになるのではという望みを多くの人が抱いたと思う。
しかし私は、それ以前のブッシュ、クリントン、さらにさかのぼるとカーターとニクソン時代を振り返り、共和党も民主党もほとんど違いがないことにほぼ確信があった。二大政党はまやかしであり、実際にはアメリカは政府を買収した者たちによって支配されているからだ。実際、オバマの政策路線は民主党が「ネオコン」と揶揄(やゆ)するチェイニーのそれとなんら変わらない。パキスタンでの空爆はテロとの戦いを強化していることを如実にあらわしているし、エネルギー政策についても同様だ。つまり再生可能エネルギーに転換するとオバマは口では言っているが、これからも主軸は石油なのである。
ブッシュ政権の時代、トップ高官は石油会社出身者が多く特に副大統領でエネルギー政策を担当したチェイニーは1995年から2000年まで、石油業界へのサービスを中心に行うハリバートンの会長を務めていた。そして副大統領というよりもハリバートンの会長として、すばらしいエネルギー政策を展開した。エネルギーの供給が需要においつかなくなることを見越して、世界の石油と天然ガス供給をアメリカが握ることが優先課題だとチェイニーは公言してはばからなかった。石炭が大英帝国の基盤だったように、アメリカ帝国には石油が不可欠で、それがイラク侵略であり、アフガン攻撃となったのだ。
2010年にメキシコ湾で起きた原油流出事故は、安価で豊富な石油がなくなったために環境を破壊し、危険を冒してでも石油を掘削したいことのあらわれであったし、オバマ政権になってから生産が急増したシェールガスもそうである。イランの核開発を理由にイラン沖にアメリカが空母を展開しているのも、世界の石油の流れをイランに支配させないため以外の、なにものでもない。
しかし多くのアメリカ国民は、今でもオバマに一縷(いちる)の望みを託しているかのように思える。それはオバマが白人ではないからか、または、娯楽やスポーツ、またはどうでもいいニュースであふれるテレビに夢中になって、実際にオバマがとっている政策に気がつかないかのどちらかだろう。
日本もまったく同じである。原発を推進し、消費税増税を当初から政策に掲げてきた自民党に代わり「国民の生活が第一」といって政権を握った民主党がいまやっていることといえば、原発事故と消費税増税で国民の生活を破壊し続けるというものだ。まさにこれが、政治の「グローバルスタンダード」なのであろう。