オリンピックの結果に気をとられているうちに消費税増税を決定し、また沖縄で
多くの人が反対しているにももかかわらず、オスプレイを本格運用するという
米軍に対し沈黙を保っているのが日本政府である。
日本政府の取っている行動は、「民主主義」を自称するアメリカを含めた他の国
と同じく、強い権力、影響力を持つものに屈しているに過ぎない。日本にとって
強い者とはアメリカ政府や財界であり、当然ながらそれは個々人よりもはるかに
大きな圧力を行使している。
2500年前にこれを警告したのがプラトンやアリストテレスだったし、アメリ
カ建国の父たち、ベンジャミン・フランクリンやトマス・ジェファソンも同じよ
うなことを250年前に言った。つまり、民主的な政府はたいていいつも、強者
が弱者を略奪する「弱肉強食の政府」になるということだ。日本政府のとる政策
をその視点からみると、そうとしかいいようがない。
政府が支援しているのは原発推進派であり、それによって福島の人々はじめ多く
の一般国民が危険にさらされている。また昨年8月には輸出企業のために4兆5
千億円も投じて円高介入をした。消費税増税にいたっては、それによって国民の
生活がより高価になり生活が苦しくなるのは目に見えているのに、強者である金
持ちや大企業の、法人税、相続税、所得税を減税するために増税を強行する。
オスプレイについて言えば、政府はアメリカが日本の国土に基地を置くことを許
している。ベトナム戦争のときに沖縄が米軍の補給・前線基地だったことを考え
れば、有事となれば日本の米軍基地からアメリカは中国を攻撃するのであろう。
歴史を振り返ると、中国はじめ近隣諸国は日本の貿易相手で友好関係にあった。
しかし米軍基地ゆえに日本は中国の脅威となるのだ。さらに政府が推進している
ACTAやTPPについてはもはや言うに及ばない。国家の主権を脅かす協定
は、多国籍企業の圧力以外のなにものでもないからだ。
日本国民がオスプレイの配備を反対するのは当然である。『未亡人製造機』など
と呼ばれるものが日本の上空で低空飛行訓練をするということは、日本人の命が
危険にさらされることであり、日本の国土と命を守る権利が日本人にはあるはずだ。
メディアは中国や北朝鮮の日本への脅威をあおるが、日本人の最大の脅威は過去
67年間、軍事的に日本の国土を占領しているアメリカだ。国民の税金で米軍基地
に思いやり予算をはじめ多額のお金を使い、その一方で基地のある県では兵士に
よる犯罪、女性への暴行、交通事故、強盗、過去においては横浜の米軍機墜落事
故など、多くの日本人が犠牲になっている。犯罪を犯した米軍兵を日本政府は逮
捕することもできないのだ。
民主制アテネでプラトンが警告した通り、人類社会の歴史は強者による弱者支配
の歴史であった。プラトンの思想は理想だとあきらめるなら、国民はこれからも
強者の略奪に耐えるしかない。