衆院選が終わり、自民党が圧勝した。いや、民主党政権が国民にそっぽを向かれたと言ったほうが正確である。民主党は先の選挙での公約を守らず国民の期待を裏切り、消費税値上げまで打ち出したからだ。
しかし、国民が自民党を選んだという報道は正しくない。投票率は前回より9.96ポイント低い59.32%と戦後最低であった。自民党の全国の比例得票数は1662万票で、前回の1881万票よりも少なかった。得票率27.6%で衆議院議席の61.3%、294議席を占有し、日本のかじ取りを開始するわけである。
民主党の敗退は、選挙では自分が支持する人を当選させるよりも、まずは落としたい議員が落選するように投票しろという教えの通りになったといえる。もし自民党新政権が国民のための政策を行えば、その次の選挙でも自民党に投票するし、その逆であれば今回の民主党と同じ運命になるだろう。
私が来る数カ月、自民党に期待することは次のようなことだ。
まず日銀を国有化し、日本政府がこれまで発行した国債を日銀に買い取らせる。これは日本政府が日本の貨幣を創造するという特権を民間銀行から取り戻すのに等しい。さらに、民間銀行が預金という裏付けのあるお金以上を貸し出すことを政府が禁じれば、民間銀行から部分準備制度という悪しき特権を剥奪することもできる。
次にいかなる景気浮揚策を打っても、すでにモノがあふれている日本社会で消費は大きく長期的に増えないということに気づくべきだ。経済を活性化させたければ、賢明な公共投資を増やすこと、そして日本の低所得者層がもっと消費ができるようにすることだ。公共投資といっても不要な道路や橋を造るのではなく、求職中の失業者を政府が雇用し、日本国民の生活を向上するプロジェクトにつかせる。食料自給率向上のために、小規模有機栽培農業が最もそれにふさわしいと私は考える。失業者の所得が増えれば、その分だけ必ず消費も増えるだろう。なぜなら所得が低いほど、収入のほとんどが衣食住の消費に回るからだ。
さらに、エネルギー消費を抑える施策を行う。日本はほとんどのエネルギー資源を輸入しており、真に独立国として振る舞うためにはエネルギー自給率を上げなければ不可能である。そしてあわせて電力会社が脱原発をしても経営が破綻しないような法制度を整備するのだ。また消費税増税の撤回、TPP不参加など、このほかにも民主党がとってきた政策と逆の政策を自民党がとることを私は強く期待する。