大統領に就任して1年目の2009年、オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞した。アメリカの大統領では、セオドア・ルーズべルト、ウッドロウ・ウィルソン、ジミー・カーターに次いで4人目である。
ノーベル平和賞とは国際平和に貢献した人物に贈られるもののはずだが、オバマ大統領は受賞当時も、そして今でもその行動は平和とは対極にある。大統領就任直後から無人機攻撃を行い、多くの市民を殺害し、その数はブッシュ政権時代を大きく上回っているからだ。
無人機攻撃は、アメリカが「テロリスト」と呼ぶイスラム武装勢力を殺害するために行っている作戦だが、実際には多くの民間人が殺害されている。アムネスティはこれを、国際法に違反した戦争犯罪に当たる可能性があると指摘し、オバマ政権や米議会に無人機攻撃の詳しい内容について調査し、情報を公開するよう要請している。
さらに2月には、米政府はアルカイダのメンバーとされるアメリカ人を殺害するために無人機を使用することを検討しているとAP通信が報じた。すでにイエメンでは無人機攻撃で3人のアメリカ人が殺されているが、自国民であってもテロリストは殺害するということなのだ。
しかし、もし、米政府がテロリストだからという理由で自国民を殺害すれば、それは憲法違反である。アメリカの憲法修正第14条は、法の適正な手続きを経ずして何人からもその命を奪ってはならない、と定めており、オバマ大統領は就任時にその憲法を守ることを誓っている。それにもかかわらず、逮捕状も取らず、また裁判にかけることもなく、無人機を使って自国民をテロリストという理由で暗殺しようとしているのがノーべル平和賞受賞者であるオバマ大統領なのだ。
アメリカをテロから守るためという、いかにも崇高な理由を掲げてオバマ大統領がしようとしていることは、法的に起訴されてもいない、死刑判決を受けてもいない自国民を、無人機を使って暗殺しようということであり、さらに、その証拠は普通の裁判所であれば起訴できるほど有力ではないということも認めている。人権を無視したアメリカは、それにもかかわらず世界の人権問題に関する報告書を毎年作成し、中国はじめ日本の人権についてもあれこれ指摘している。
オバマ大統領はこれまでの誰よりもひどい大統領かもしれない。ブッシュも悪かったが、ブッシュは共和党で、共和党の政策を実行したにすぎない。オバマは民主党を装い、共和党からの変化を大きくうたって人々に期待をさせ、民主党の政策をとるようなふりをして有権者に取り入った。政策がブッシュと同じでも、オバマの場合は国民をだまし、欺いただけ、罪は大きいと思う。
ブッシュから引き継いだテロとの戦いをさらに拡大させ、自国民をも暗殺しようとしているオバマ大統領は、国民を裏切り、米国憲法に違反したことで弾劾(公務員を罷免または処罰する手続き)されるべきである。また他の国の人権を非難しているアメリカ自身が、先進国の中でも最悪の人権違反を犯している国だということも、日本国民は知っておくべきである。