No. 1221 米国こそならず者国家

イスラエル建国70年の5月14日、米国は在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。

エルサレムはユダヤ教、イスラム教、キリスト教の「聖地」でもある。70年前、そこにはイスラム教徒のパレスチナ人が住んでおり、彼らにとってイスラエル建国の日は悲劇の日でもあった。多くのパレスチナ人が殺され、約70万人のパレスチナ人は難民としてヨルダンやレバノンに逃れたが、イスラエル建国により故郷に戻れなくなり、イスラエル地域内でも数万人が家や村を失い移住を強いられた。米国がこの日に大使館をエルサレムに移転したのはイスラム世界からみれば挑発以外の何ものでもない。

トランプ大統領は選挙中からエルサレムへの大使館移転を公約していたが、移転そのものは1995年、クリントン政権が決定したことである。クリントン氏、ブッシュ氏、オバマ氏と、歴代大統領が延期を繰り返してきた大使館移転を実行に移したのがトランプ大統領だったというわけである。

移転に先立ち、パレスチナのガザ地区では3月30日からパレスチナ難民の帰還を求めるデモ行進が始まっており、アラブ系メディアのアルジャジーラによれば、イスラエル軍の射撃によって1万3千人以上のパレスチナ人死傷者が出ているという。イスラエルの暴力に対し欧州諸国から非難の声が上がっており、イスラム諸国を代表してクウェートはパレスチナ人の保護を目指す決議案を提案したが、常任理事国の米国が拒否権を発動するとみられ採択は危ぶまれている。

米国の行動はイスラエルによるアラブ人の殺傷を認め、歴史的な場所における紛争を扇動している。これまでのパレスチナ・イスラエル和平を無視し、イスラエルによるパレスチナ人虐殺を容認する、これがトランプ政権の中東政策なのである。さらにイラン核合意を破棄したことも含めると、米国は中東に戦争を起こそうとしているとしか思えない。

子どもを含む、武器を持っていないパレスチナ人を殺害したイスラエル軍の行為は、多くの国から非難されている。それにもかかわらず米国のメディアはこれをイスラエルとパレスチナの「衝突」という言葉を使って報じている。イスラエルの土地を盗んだパレスチナ人たちを追い出して建国したのに、またその土地を取り返そうとしているというのがイスラエルの言い分であり、米国はそれを強力に支援しているのだ。

欧米、特に米国は、政府や富裕層にイスラエルとの二重国籍を持つユダヤ系米国人が数多くいる。こうした支配者層がイスラエルを支持し、直接支援として米国政府は毎年数十億ドルの軍事援助をイスラエルに提供している。米国が支援する国は、虐殺を含めあらゆることが許されるということだ。さらにイランとの核合意離脱はイランと米国の関係悪化を意味する。かつてブッシュ政権はイラン、イラク、北朝鮮をならず者国家と呼んだが、今、米国こそが世界のならず者国家と呼ぶにふさわしい。