No. 1233 中国とアフリカの協力

9月3日に中国の北京で「中国・アフリカ協力フォーラム」(FOCAC)が開催された。2000年から3年ごとに中国とアフリカで交互に開かれており、今回はアフリカから53カ国が参加した。

FOCACの首脳会合で、中国の習近平国家主席はアフリカ諸国へ600億ドルの金融支援を表明した。支援は150億ドルの援助、無金利の融資、200億ドルの信用枠、中国・アフリカ開発に向けた100億ドルの特別基金などで、さらに中国企業に今後3年で100億ドル以上の対アフリカ投資を促す方針も示したという。

米国との貿易戦争がエスカレートしているが、中国は着実に別の方向に向けて動き始めている。FOCACでは習国家主席と南アフリカの大統領が共同議長を務め、「より緊密な中国・アフリカ運命共同体の構築に関する北京宣言」と「FOCAC-北京行動計画(2019~2021年)」を採択した。

今回はアフリカ諸国の首脳や代表団が過去最高の人数で参加しており、南アフリカやエジプトを含むアフリカの国々は、中国の経済・外交圏構想である『一帯一路』を協力して建設していくという政府間メモランダムに調印したのである。

中国がアフリカ開発を始めた2000年頃からアフリカ経済は伸び始め、2009年以降、中国はアフリカの最大の貿易相手国となっている。中国の金融支援は、中国がアフリカを略奪 することを可能にする悪意のある「債務の罠」だという批判がなされているが、中国の言い分はそうではない。アフリカ諸国は2013年に、「50年間で貧困を根絶し、アフリカ大陸における社会経済変革のためのフレームワーク」として「アジェンダ2063」を宣言したが、中国はそれに「一帯一路」を統合していく方針であるという。

また中国はFOCACでも外交政策の基本原則として規定している「平和共存五原則」を反映し、国家主権や内政不干渉、異なる政治体制の平和共存をとっている。これは「新世界秩序」を掲げて民主化や自由経済を世界に押し広げようとしてきた米国と対照的だ。

米国は「AFRICOM」という米アフリカ軍を2007年に創設してアフリカに進出している。この使命は「アフリカでのテロ組織の監視と撲滅と地域の発展に貢献する」だが、真の目的はアフリカの鉱物資源と米国の利益で、共存共栄ではない。たとえ中国のアフリカ進出が略奪のためであったとしても、それは大航海時代からずっとヨーロッパがやってきたことだ。南アフリカの白人はイギリスやオランダからの移民の子孫であり、アパルトヘイトで南アフリカの政治と経済を握ってきた。

いずれにしても中国とアフリカが協力して行おうとしているアジェンダを臆測に基づいて欧米が批判すべきではない。アフリカへの金融支援や一帯一路との統合がうまくいくかどうかについて意見を述べる権利があるのは、中国とアフリカの当人たちだけである。