7月1日からレジ袋の有料化が始まった。プラスチックは軽くて丈夫であらゆる分野で私たちの生活に貢献しているが、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題などから、全国でプラスチック製買い物袋が有料化されることになったのだ。
20世紀になってからプラスチックはその便利さと安さから特に食料の包装や飲料、医療関係において私たちの暮らしを便利なものにしてきた。プラスチックがたくさんごみとなって出ると、それを中国に輸出することができた。中国はプラスチックごみを輸入して中国国内で加工し、再利用していたからである。そのため欧米や日本は環境へのコストを考えることもなく、大量のプラスチックごみを中国に送って国内よりも安く廃棄処理することができていたのである。
しかし2017年、この状況が変わった。中国が「ナショナルソード」と呼ばれる規制を設け、プラスチックを含む多くの廃棄物の輸入を禁止したのである。中国は世界貿易を拡大する中で製品を船で輸出し、代わりに廃棄物を持ち帰っていたが、廃棄物が大量になるにつれて中国の一部の地域では住民の健康被害が出るほど環境が悪化してきたため、中国政府は環境を脅かす廃棄物の輸入を段階的に停止することを決定したのだ。
日本はごみの輸出を中国から東南アジアに移したが、そこでも同じように受け取りを拒んだり、禁止したりする国が出てきた。昨年、フィリピンのドゥテルテ大統領がカナダから送られてきた大量のプラスチックごみに激怒し、カナダが引き取らなければ宣戦布告すると強い言葉で警告したこともあった。
お金持ちの先進国は途上国や貧しい国をごみ捨て場として利用し、環境へのコストを払わずにきたということであり、日本で使われたプラスチックも、リサイクル資源として回収されても適切に処理されることなく東南アジアで不法に埋め立てられたり、山のように積もって行き場をなくしたりしているのが現実なのだ。
最近では新型コロナ対策で使われたマスクや手袋などが海洋汚染の原因になっているという。手袋はもちろん不織布のマスクも自然に分解されにくいプラスチックの一種である。それらが不法処理され、欧州や日本の沿岸に漂着して新たな汚染問題を生み出しているのである。
プラスチックごみを国内で対処するために昨年EUでは、ストローやカトラリーなどの使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案を採択し、プラスチックごみの総量抑制を目指している。さらにプラスチックボトルの回収率を2029年までに90%、プラスチックボトルのリサイクル材料含有率を2025年までに25%、30年までに30%という目標も掲げた。日本ではレジ袋は有料になっても相変わらずボトルや食品包装などプラスチックがさまざまなところで大量に使われている。プラスチックごみの削減は個人の努力でできるものではない。日本政府は企業にリサイクルや代替品開発を促す法案の策定を積極的に行う必要がある。