3月18日、米国と中国の外交責任者がアンカレジで会談を行った。会談は米国の要請で行われたものでブリンケン国務長官とサリバン国家安全保障補佐官、中国からは楊外交担当トップと王外相が出席した。
中国を敵視したトランプ政権と比べると、バイデン大統領は息子が中国のエネルギー大手企業との取引で何百万ドルもの支払いを受けていたことなどから「親中」と見なされていた。しかし会談の直前、香港自治法に基づいて新たに中国に制裁を加え、会談ではウイグルにおける中国の人権侵害や米国に対するサイバー攻撃など、証拠を示すことなく一方的に非難し、トランプ時代よりこわもての発言を行った。これに対し中国は「米国には力のある立場から中国に指摘をする資格はない」ときっぱり言い返したのである。
欧米が糾弾する中国のウイグル人への人権侵害の情報源は、反中国の学者や亡命した反中国のウイグル人の証言によるものにすぎない。昨年の国連総会でも欧米39カ国がウイグルや香港問題に関して中国を非難したが、ロシアを含む55カ国が香港は中国の一部で干渉は許されないと反論し、ウイグルについても45カ国が中国はテロや過激主義の脅威に対応し、全民族が平和で安定した環境の中で生活していると中国支持に回った。かつてイラクの「大量破壊兵器保持」をねつ造し、武装解除して世界を危険から守ると“衝撃と畏怖”作戦を米軍は実行したが、今回この手法は中国には通じなかった。
また同じ時、バイデン大統領は米ABCニュースの取材でロシアの野党指導者に化学兵器を使用したとしてプーチン大統領を「殺人者」だと思うと発言し、ロシア側は「常軌を逸している」と反発し駐米大使を本国に召還した。プーチン大統領は即座にバイデン氏にオンラインでの公開討論を開催しようと呼び掛けたが、ホワイトハウスはそれに応じなかった。
米国が中露に対して取っている行動、そしてそれに対する中露の反応は、世界の勢力図が大きく変わったことを示している。米国とその同盟国は認めたくはないかもしれないが米国の世界覇権はもはや終わっているということだ。
非難と攻撃のうちに終わったアンカレジ会談の後、中国の桂林では中露外相会談が和やかに行われた。両国は、米国とのこじれた関係や国連改革などさまざまなことを話し合い、共同声明では世界で政治的混乱が広がり、米国が破壊的な行動を取っていると批判し、国連安全保障理事会の常任理事国による首脳会議を開催すべきだと主張した。中露が一緒になって、「イラク、シリアなど主権国家を侵攻し、民間人を殺りくし、動乱と難民をつくり出し、国内では新型コロナで自国民を何十万人も死なせた米国に人権を語り他国に干渉する資格はない」と、本当の米国の姿を指摘し始めた。
米国が最も恐れるのは中国とロシアが同盟を組むことだったが、さらに中国はイランとも経済や安全保障で25年間の協定を結んだ。バイデン政権の挑発が急速にユーラシアを結束させたようである。