今月初め、熱海市で大規模な土砂崩れが起き、多くの住宅などが流される大惨事となった。土砂崩れの原因は宅地造成のため木を伐採し盛り土がされたことや大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設のために山林が伐採されたことだとされる。
再生可能エネルギーを促進する動きの中、メガソーラーによる環境破壊は各地で問題になっている。小泉環境相は住宅やビルに太陽光パネルの設置を義務付けるべきだと発言したが、台風や大雨の多い日本でどこまでそれができるのだろう。また山が削られ、林が伐採されてメガソーラーが設置されれば、このような大規模な災害や自然破壊につながる可能性もある。
日本では大雨被害が相次いだが、前例のない熱波に襲われているのが北米である。米国カリフォルニア州からワシントン州、さらにカナダのブリティッシュ・コロンビア州周辺、その上の北極圏と、広い範囲で高温警報が出され、涼しいイメージのカナダで例年の気温を20度も上回る46度という過去最高気温記録が打ち立てられた。
過去20年間高温・少雨が続いていた米国西部は今年もひどい干ばつとなり、新型コロナによるロックダウンと失業に加え、水不足によって食料危機という問題も起きつつある。
カリフォルニアといえばシリコンバレーや美しいビーチを連想するが、野菜や果物の生産など農業はカリフォルニア州の主要産業で、酪農は全米トップである。今、水不足は最も深刻で、ここ1200年で最悪のものとなる可能性があると専門家は言い、カリフォルニア州では貯水池が干上がり水位は記録的な低さとなっている。しかしその中で、カリフォルニアの水道局は貯水池の水を海に流すことでさらに状況を悪化させているという。
カリフォルニア州のニューサム知事は民主党でグリーン・アジェンダを熱心に推進している。農業用水となる貴重な水を意図的に海に流したのも、カリフォルニア原生のサーモンが絶滅の危機に瀕しているため、解決策として源流水域の水量を増やして干ばつ時の魚のストレスを軽減するためだったというのだ。カリフォルニア州がこうした行動をとるのは初めてではなく、2008年にも米国の環境NGO自然資源防衛協議会(NRDC)などの要求でサーモンを救うために貯水池の水の50%を海に放流している。
2011年からカリフォルニアは7年間ひどい乾燥・少雨が続き、ようやく2019年、大雨によって貯水池は満水となった。それから2年後、ニューサム知事はすでに干ばつが見込まれていた今年5月、再び絶滅サーモンを救うために水を海に流したのだった。
農業用水の不足だけでなく貯水池の水位が下がり水力発電所が閉鎖すればカリフォルニア州の電力供給にも大きな影響が及ぶ。「環境保護」「持続可能」といった耳当たりのいい言葉のもと、メガソーラーを推進して自然を破壊し、農業や人々の暮らし、命までを脅かすようなアジェンダが進行しているようである。