No. 1358「アンソニー・ファウチの正体」の紹介(1/2)

ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の新著が話題になっている。しかし反ワクチンの話題はすべて「陰謀論」にしたいマスメディアは、なんとしてでも無視をきめむようだ。本の主人公は、今米国でオミクロン株の恐怖を煽っているアンソニー・ファウチ博士。The Unz Reviewに公開された序文だけでもかなり読みごたえのある内容である。(耕助)

「アンソニー・ファウチの正体」の紹介

ビル・ゲイツ、大手製薬会社、そして民主主義と公衆衛生に対する全面戦争

ロバート・F・ケネディ・ジュニア著

ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏とスカイホース出版が、彼のアマゾン1位のベストセラーの序章を再掲することを許可してくれたことに大変感謝している。この本には現在1,100件以上のレビューが寄せられ、そのうち96%が5つ星である。

The Unz Review

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 最初の一歩は、現代の医学研究の第一の目的が、米国人の健康を最も効果的かつ効率的に改善することであるという幻想を捨てることだ。我々の意見では、商業的に資金提供される臨床研究の主な目的は、健康ではなく、投資に対する金銭的リターンを最大化することなのである。

    – ハーバード・メディカル・スクール ジョン・エイブラムソン医学博士

私がこの本を書いたのは、米国人、そして世界中の市民の、2020年に始まった不可解な大変動の歴史的裏付けを理解を助けるためである。そのたった1度のアニュス・ホリビリス(恐怖の年)で自由民主主義は世界中で事実上崩壊した。自由と健康、民主主義、公民権、証拠に基づく公共政策の擁護者として理想主義的な人々が信頼していた政府の健康規制機関、ソーシャルメディアの権威、メディア企業が、一斉に言論の自由と個人の自由に対する攻撃を始めたのである。

突然、これらの信頼できる機関が恐怖を作り出し、服従を促し、批判的思考を阻止するために協調して行動しているように見えた。そして70億人の人々を一つの曲に合わせて行進させ、最終的には、新しく、試験が不十分で不適切にライセンスされた技術を使って、公衆衛生のための大規模な実験を行うことになった。それは地球上のすべての政府が、メーカーの賠償責任を免除しないかぎりメーカーが製造を拒否するほどリスクが高い技術なのである。

西欧諸国では、動揺する市民は台頭してきた全体主義によく見られる戦術のすべて、大規模なプロパガンダと検閲、組織的な恐怖の助長、科学の操作、議論の抑制、反対意見の悪者化、抗議を阻止するための武力行使を体験した。これらの望まれていない実験的な医療行為に抵抗した良心的な人々は、組織的ないやがらせや疎外を受け、スケープゴートにされた。

米国人の生活と人生は、立法府の承認も司法審査もなく、リスク評価も科学的引用もないままに課された非常に厳しい命令の数々によって粉々にされた。いわゆる緊急事態令により、企業や学校、教会は閉鎖され、プライバシーは前例のないほど侵害され、最も大切な社会や家族関係が破壊された。世界中の市民が自宅待機を命じられた。

騒乱の中心に立って自信に満ちた手で舵を取っていたのは一人の支配的な人物だった。アンソニー・ファウチ博士は、米国政府のコロナ対応の顔として信頼され、この危険なコースを設定し民主主義の新たな目的地を米国国民に売り込んだ。

 

この本は、公衆衛生と民主主義を守るために米国が構築した理想主義的な制度が、なぜ突然、米国民と米国の価値観に反してこのような暴力を振るうようになったのかを理解しようとする私自身の闘いの産物である。私は生涯をとおして民主党員であり、家族は80年にわたり米国の公衆衛生の官僚機構に深く関わり、アンソニー・ファウチ、フランシス・コリンズ、ロバート・ギャロなどの主要な連邦規制当局者と長い友人関係を築いてきた。

私の家族たちは、これらの人々が統治する法律の多くを書き、公平で効果的な公衆衛生政策の成長を促し、産業界が資金を提供した猛烈な攻撃から規制の防波堤を守ってきた。共和党が支配する議会委員会がこれらの機関の資金を削減し、より「産業界に優しい」機関にしようとする中でである。私は環境や公衆衛生に関する提唱活動を行ってきた中で、これらの人々やその機関と協力関係を築いてきた。私は彼らを見ていて感心することも多かった。しかし、規制されているはずの産業界が、議会の年季奉公人を使って1980年から組織的にこれらの機関を空洞化させ、規制機能を失わせ、最終的には議会が規制を課していた産業界の操り人形になってしまったのも見ていた。

環境と公衆衛生の擁護者として40年のキャリアを持つ私は、「規制の虜」という腐敗のメカニズムを独自に理解している。これは規制当局が規制すべき業界に支配されてしまうプロセスである。40年間にわたり私は米国環境保護庁(EPA)やその他の環境機関を訴え、規制当局が規制対象である汚染産業と癒着していることを明らかにし、その是正を訴えてきた。私が提起した数百件の訴訟のうち、4分の1は規制当局が石油や石炭、ビッグ・オイルやキング・コール、そして化学物質や農業汚染物質などに忠誠心を奪われて違法な譲歩をしたことに対するものであった。私は規制の虜については何でも知っているつもりだったし、適切な皮肉の盾で自分を武装していたつもりだった。

しかし、それは間違っていた。2005年、しぶしぶワクチン論争に参加した時から、私は製薬会社と政府の保健機関の間に広がる深い金銭的な絡み合いの網が、規制の虜がさらに強化されていることに気づき、愕然とした。例えば、CDCは57件のワクチン特許を所有しており{1}、年間予算120億ドル(2019年時点)のうち49億ドルをワクチンの購入と配布に費やしている。{2}{3} 米国国立衛生研究所(NIH)は、数百件のワクチン特許を所有しており、規制しているはずの製品の販売でしばしば利益を得ている。ファウチ博士をはじめとする上級官僚は開発に携わり承認プロセスを先導した製品のロイヤリティで年間15万ドルもの報酬を得ている。{4} 米国食品医薬品局(FDA)は、その予算の45%を「ユーザーフィー」という婉曲的な名称で製薬業界から受け取っている。{5}そのとんでもない事実を知ったとき、米国民の悲惨な健康状態が謎ではなくなった。 もし、米環境保護局が予算の45%を石炭産業から受け取っていたら、環境はどうなっていただろう!

今日、私のリベラルな友人たちの多くは、共和党の誹謗中傷や予算削減から「我々の」機関を守るために無条件に抵抗しているが、その一方で共和党による何十年にもわたって行われてきた攻撃が、これらの機関を大手製薬会社の子会社に変えることにどれほど成功したかまったく理解していない。

本書では、アンソニー・ファウチが公衆衛生の研究者・医師としてスタートし、2020年に起こった西洋民主主義に対する歴史的なクーデターを指揮・実行する強力なテクノクラートへと変貌していく過程を追っている。私は、米国の健康状態を悪化させ、民主主義を崩壊させた、慎重に計画された医療の軍事化と収益化を探る。私は、危険な集中した主流メディア、ビッグテックの強盗団、軍と諜報機関、そしてビッグファーマと公衆衛生機関との深い歴史的な提携という問題のある役割を記録していく。ここで展開される不穏なストーリーはこれまで語られたことがなく、多くの権力者は一般の人々がそれを知るようになることを懸命に防いできた。主人公はアンソニー・ファウチである。

2020年のコロナパンデミックでは、この年に80歳になったファウチ博士は人類史上かつてない世界的なドラマの主役となった。パンデミックが始まった頃、米国は公衆衛生の世界的な旗手としての名声を誇っていた。トランプ時代に米国のリーダーシップに対する世界の信頼が低下する中、国際的な幻滅とは無縁のように見えた唯一の米国機関は公衆衛生の規制機関であった。保健社会福祉省(HHS)とその下部組織であるCDC、FDA、NIHは、グローバルな保健政策とゴールドスタンダードな科学研究のロールモデルとして存続していた。米国で最も強力で永続的な公衆衛生の官僚であるファウチ博士は米国の医療政策を有能に指揮し、米国の保健政策を的確に指導し、世界の最先端の模範となる対策を迅速に開発することができると各国から期待されていた。

アンソニー・ファウチ博士は半世紀にわたって米国の保健担当者として君臨し、世界的なパンデミックに対する歴史上最大の戦争の司令官としての最後の役割に向けて準備を進めてきた。1968年から米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)で様々な役職を歴任し、1984年11月からは同研究所の所長を務めている。{6}年俸は417,608ドルで、400万人の連邦政府職員の中で大統領を含んでも最も高給取りである。{7}彼は50年間、連邦政府の主要な官僚組織のお偉方として生き抜いてきた経験がある。6人の大統領、国防総省、情報機関、外国政府、WHOなどに助言をしてきた経験により、歴史上、ほとんどの支配者や医師が経験したことのないような権力を行使することを可能にする危機に対して絶妙な対応をした。

感染症が流行した初期の数ヶ月間、ファウチ博士の冷静で権威ある控えめな態度はトランプ大統領と新型コロナという2つの実存的危機に悩まされている米国人にとってのプロザック(抗うつ剤)だった。トランプ大統領の混沌とした統治スタイルにトラウマを抱える世界中の民主主義者や理想主義者のリベラル派は、ホワイトハウスの舞台に立ったファウチ博士の穏やかで堅実な存在感に元気づけられた。ファウチ博士はトランプ大統領の気まぐれで自己愛に満ちた大げさな発言に対して、理性的で率直な、科学的根拠に基づいた対抗策を提供しているように見えたのである。不安定な大統領と重大な伝染病との間の危ない海を航海するファウチ博士は、当初、ホメロスのユリシーズがスキュラとカリブディスの間で船を操縦するような英雄的な姿を見せていた。この不吉な地平線に背を向け、信頼した米国人はオールを操り、彼の命令に盲目的に従い、その結果、民主主義が死に絶えてしまうような荒涼とした場所に国が向かっていることに気づかなかったのである。

危機の最初の1年間、ファウチ博士のカリスマ性と権威ある声は、彼の処方に対する信頼感を高め、すべての国民ではなかったが相当な支持を得ていた。多くの米国人は、ファウチ博士の命令で忠実に家に閉じこもり、「トニー・ファウチ・ファンクラブ」に入会したり、「I heart Fauci」の枕の上でくつろいだり、「In Fauci We Trust」のコーヒーマグで飲んだり、冷えた足をファウチ靴下やブーツで温めたり、ファウチのドーナツを食べたり、「Honk for ファウチ博士」のヤードサインを掲示したり、ファウチ博士の祈りのキャンドルの前でお辞儀をしたりすることで慰めを得ていた。ファウチ愛好家たちは、ファウチのブラウザゲームやファウチのアクションフィギュアや首振り人形の飛行隊から好きなものを選ぶことができ、崇拝的な子供向けの本から彼の伝記を子供たちに読み聞かせることもできた。ロックダウンの最中、ブラッド・ピットは『サタデー・ナイト・ライブ』でファウチ博士に敬意を表したパフォーマンスを行い{8}、バーバラ・ストライサンドは『ズーム・バースデー・パーティ』の生中継でファウチ博士に録音メッセージを送って驚かせた。{9}『 ニューヨーカー』誌はファウチ博士を「アメリカのドクター」と呼んだ。{10}

ファウチ博士は自分自身を聖職化し、自身を冒涜する批判者に対して異端尋問をした。6月9日に行われた「2021 je suis l’etat」のインタビューでは、自分の発言に疑問を持つ米国人はそれ自体が反科学的であると断言した。「私への攻撃は、率直に言って、科学への攻撃である」とファウチは説明している。{11}彼が示した感情は、権威への盲目的な信頼は、科学ではなく宗教の機能であることを思い出させる。科学は、民主主義と同様に、公式の正統性に対する懐疑の上に成り立つものなのだ。ファウチ博士の引用に対する小学生のような嘲りと、マスクと集団免疫に関する自分の議題を推進するために米国人に2度も嘘をついたことをニューヨーク・タイムズ紙で認めたことは、彼の他の「科学的」主張のいくつかも、同様に、彼が自分で決めるに値しないと信じている人々に向けた崇高な嘘である確率が高い。{12}{13}

2021年8月、ファウチ博士の信奉者であるCNNのテレビドクターであるピーター・ホーツは、科学雑誌に論文を発表し、ファウチ博士への批判を重罪とする「連邦のヘイトクライム保護の拡大」の法律を求めた。{14}ワクチン懐疑論者は抹殺されるべきだというホーツ博士は、自分は利害関係はないと宣言したが、1993年以来、ファウチ博士のNIAIDから数百万ドルの助成金を受けていることや、{16}ファウチ博士のパートナーであるビル・ゲイツ氏から彼のベイラー大学熱帯医学研究所が1500万ドル以上の助成金を受けていたことを明らかに忘れていたのである。{17}{18}後述するように、ファウチ博士はNIH、ビル&メリンダゲイツ財団、ウェルカムトラストを通じて、世界の生物医学研究費の約57%を直接・間接的にコントロールしている{19}。そして、世界の医学界に君臨しているシナリオを作り、それを永続させることができ、自分自身が科学の化身であるという規範を強化することができるのだ。

ホーツのような知名度の高い子分と、製薬会社が広告費を通じてメディアを支配していることで、NIAID所長のファウチ博士の発言は議論の余地がなく、科学や公衆衛生の記録に基づかない個人的な美徳や医学的な威厳が与えられている。後者の観点から見ると、彼の50年間の体制は公衆衛生と民主主義にとって悲劇的なものであった。彼のコロナパンデミックの管理も同様に大失敗であった。

世界が注目する中、トニー・ファウチは一連の政策を指示し、その結果、地球上のどの国よりも多くの死者を出し、コロナ死者数の割合も最も高いものとなった。執拗なプロパガンダとあらゆる検閲により、コロナの最初の年は彼の悲惨な不始末を隠すことができた。世界人口の4%である米国はコロナの総死亡者数は14.5%を占めた。2021年9月30日までの死亡率は、日本の139人/100万人に対し、米国は2,107人/100万人まで上昇した。

アンソニー・ファウチの通信簿

人口100万人あたりのCOVIDによる死亡率(2021年9月30日時点):{20}。

死亡者数/100万人

米国       2,107 /100万人

スウェーデン1,444 /100万人

イラン    1,449/100万人

ドイツ   1,126/100万人

キューバ 650s/100万人

ジャマイカ630/1100万人

デンマーク455/100万人

インド    327 /100万人

フィンランド194 /100万人

ベトナム 197 /100万人

ノルウェー161 /100万人

日本        139 /100万人

パキスタン128 /100万人

ケニア    97 /100万人0

韓国       47 /100万人

コンゴ (Brazzaville)           35 /100万人

香港       28/100万人{21}

中国       3 /100万人

タンザニア0.86/100万人

壊滅的な結果を出した後、「テフロン・トニー」はメディアに精通し巧みに立ち回るスキルを持っていたため、次の大統領のジョー・バイデン氏は彼を新政権のコロナ対策本部長に任命した。

惜しみなく煽られた死に至る病への恐怖で盲目となり、ファウチ博士を唯一の信頼できる防波堤のように思ってしまった米国人には、国民の健康を犠牲にして製薬会社の利益と官僚の権力を優先するファウチ博士の戦略はどれも約束された結果をもたらさないという証拠の積み重ねに気づかなかったのである。

この50年の歴史を見ればわかるように、ファウチ博士の治療薬は、しばしば治療の対象である病気そのもよりも致命的である。彼のコロナの処方も例外ではなかった。大量のワクチン接種という解決策に焦点を絞っていたため、ファウチ博士は自分の政策指示に伴う他の多くのコストについては一切言及しなかった。

アンソニー・ファウチは、彼が行った健康な人の隔離という前例のないことが「コロナ」よりもはるかに多くの人を殺し、世界経済を消滅させ、何百万人もの人々を貧困と破産に陥れ、立憲民主主義を世界的に痛めつけることになるとは考えていなかったようだ。孤立、失業、医療費の滞納、うつ病、精神疾患、肥満、ストレス、過剰摂取、自殺、依存症、アルコール依存症、絶望に伴う事故などでどれだけの人が亡くなったのか、私たちは知る由もない。我々は彼のロックダウンが伝染病よりも致命的であることを証明したという告発を否定することはできない。2021年6月24日のBMJの研究{22}によると、ロックダウン中に米国の平均寿命が1.9年減少したという。コロナによる死亡者は主に高齢者であり、英国でのコロナによる死亡の平均年齢は82.4歳で、平均寿命を超えていた{23}ので、ウイルスだけで驚異的に減少したということはあり得ない。後述するように、ファウチ博士の公衆衛生上の冒険の中でヒスパニック系や黒人系のアメリカ人が最も重い負担を背負っていた。この点において、彼のコロナ対策も例外ではなかった。2018年から2020年の間に、平均的なヒスパニック系アメリカ人は約3.9年の寿命を失い、黒人系アメリカ人の平均寿命は3.25年も低下した。{24}

この劇的な間引きは米国に特有のものだった。2018年から2020年の間に米国の平均寿命が1.9年減少したことは、比較可能な16カ国の平均的な減少の約8.5倍であり、米国以外の国では年単位ではなく月単位であった。{25}

バージニア・コモンウェルス大学の社会・健康センターの名誉所長であるスティーブン・ウルフ氏は、「世界的なパンデミックなので、どの国も打撃を受けるのでパンデミックは格差に大きな影響を与えないだろうと素朴に考えていた」と語り、「私が予想していなかったのは、米国のパンデミック対応がこれ程までひどかったことだ。0.1年という数字は、この分野では普通に注目されるものだが、3.9年、3.25年、さらには1.4年という数字は、まさに恐ろしいものである」とウルフは続けた。「第二次世界大戦以来、このような規模の減少はなかった」。{26}

ロックダウンの代価 - 死

ファウチ博士の政策が世界的に浸透したことで3億人の人々が深刻な貧困、食糧不足、飢餓に陥った。タブレットマガジンのアレックス・グーテンターグ氏は、「世界的に見て、医療プログラム、食料生産、サプライチェーンの閉鎖の影響で何百万人もの人々が深刻な飢餓と栄養失調に陥った」と述べている。{27} AP通信によると、2020年には世界的なロックダウンによるウイルス感染に伴う飢餓で、毎月1万人の子どもたちが死亡している。また、栄養失調による衰弱や発育不良の子どもたちが毎月50万人(昨年の4700万人から670万人増)発生している。これらは、「子どもたちの肉体的・精神的なダメージを永続的に与え、個人の悲劇を世代間の大惨事に変えてしまう」可能性がある。{28} 2020年、南アジアでは、保健・栄養サービスの崩壊により、22万8,000人の子どもたちが死亡した。{29}癌、腎不全、糖尿病の治療が遅れたことで何十万人もの人々が死亡し、心血管疾患や未診断の癌の蔓延を引き起こした。失業のショックにより、今後15年間でさらに89万人の死亡者が出ると予想されている。{30}{31}

ロックダウンにより重要な食物連鎖が破壊され、児童虐待、自殺、依存症、アルコール依存症、肥満、精神疾患の発生率が劇的に上昇したほか、幼い子供たちの発達の遅れ、孤立、うつ病、深刻な教育上の欠陥などが発生した。また10代の若者の3分の1がパンデミックの間に精神的な健康状態が悪化したと報告している。オハイオ州立大学の研究によると、{32}子どもの自殺率は50%上昇した。{33} ブラウン大学が2021年8月11日に発表した研究によると、隔離期間中に生まれた乳児は、ベイラー・スケール・テストで測定したところ、平均してIQが22ポイント不足していた。{34} 2020年に約93,000人の米国人が過剰摂取により死亡したが、これは2019年に比べて30%の増加である。{35}「合成オピオイド 」の過剰摂取は38.4%増加し{36}、2020年6月には米国の成人の11%が自殺を考えたという。{37} 300万人の子どもたちが公立の学校制度から姿を消し、緊急治療室(ER)では思春期のメンタルヘルスの受診者が31%増加したとグーテンターグ氏は述べている{38}{39}。記録的な数の幼い子供たちが、重要な発達段階に到達できなかった。{40}{41}何百万人もの病院や介護施設の患者が、家族からの慰めや最後のお別れもなく、孤独に死んでいった。ファウチ博士は、自分の対策がもたらした寂しさ、貧困、不健康な孤立、うつ病などのコストを評価したことがないと認めた。「私は経済的なことはアドバイスしない」{42}とファウチ博士は説明した。経済的、社会的コストに責任があるのは明らかなのに、「公衆衛生以外のことはアドバイスしない」と続けたのである。

経済の破壊と富の上方移動

コロナパンデミックの際、ファウチ博士は米国経済解体のリングマスターを務めた。彼のロックダウン政策はかつて好景気にわいた米国の経済に壊滅的な打撃を与え、5,800万人の米国人が失業し{43}、何世代にもわたって築き上げてきた黒人経営の企業の41%を含む中小企業が永久に倒産した。{44} このような企業の閉鎖は、国の赤字を拡大させる原因となり、利息の支払いだけでも毎年1兆ドル近くの費用がかかるだろう。{45} 1945年以来、米国の羨望の的であった中産階級を支え、育成し、維持してきた社会的セーフティネットであるニューディールプログラムは、この破滅的な負債によって永久に破綻する可能性が高い。政府関係者はすでに、ニューディール、ニューフロンティア、グレートソサエティ、オバマケアなどの約100年にわたる遺産を、累積したロックダウン負債の支払いのために清算し始めている。米国は、学校給食、医療費、WIC、メディケイド、メディケア、大学の奨学金など、長年続いてきた支援プログラムにも別れを告げることになるのだろうか。

金持ちを豊かにする

ファウチ博士の事業閉鎖は、米国の中産階級を崩壊させ、人類史上最大の富の上方移転を引き起こした。2020年、労働者は3.7兆ドルを失い、億万長者は3.9兆ドルを得たのである。{46} 新たに493人が億万長者となり、{47}さらに800万人の米国人が貧困ラインを下回ることになった。{48} 最大の勝者は、強盗団、 ファウチ博士のロックダウンを支持し、彼への批判を検閲していた企業である:ビッグテクノロジー、ビッグデータ、ビッグテレコム、ビッグファイナンス、ビッグメディアの巨大企業(マイケル・ブルームバーグ、ルパート・マードック、バイアコム、ディズニー)、そしてジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、エリック・シュミット、セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジ、ラリー・エリソン、ジャック・ドーシーといったシリコンバレーのインターネット界の巨人たちだ。

コミュニケーションの民主化を謳い文句にしていたインターネット企業が、米国人が政府を批判したり、医薬品の安全性を疑問視したりすることを許さないようにしたのである。これらの企業は、すべての公式発表を支持する一方で、反対意見をすべて排除した。同じ技術・データ・通信業界の強盗団は、消滅した中産階級の死体を食べながら、かつては誇り高かった米国の民主主義を検閲と監視の警察国家へと急速に変貌させ、彼らはあらゆる場面で利益を得ている。

マイクロソフトのCEO、サティア・ナデラは、マイクロソフトがCDCやゲイツが出資するジョンズ・ホプキンス・バイオセキュリティ・センターと協力することで、コロナパンデミックを利用して「2年分のデジタルトランスフォーメーションを2カ月で達成した」と自慢した{49}。マイクロソフト Teamsのユーザーは1日で2億人の会議参加者に膨れ上がり、2019年11月のユーザー数が2,000万人だったのに対し、平均アクティブユーザー数は7,500万人を超え{50}、同社の株価は急上昇した。CIAと提携して新しいクラウドサービスを構築したラリー・エリソンの会社オラクルは、CDCのすべての予防接種データを処理する契約を獲得した。{51}  エリソンの財産は2020年に340億ドル増加し、マーク・ザッカーバーグの財産は350億ドル、グーグルのセルゲイ・ブリンは410億ドル、ジェフ・ベゾスは860億ドル増加した。ビル・ゲイツ氏は220億ドル{52}、マイケル・ブルームバーグ氏は70億ドル近く増加した。{53}

エリソンやゲイツをはじめとする政府と産業界の協力者たちは、このロックダウンを利用して、5Gの衛星、アンテナ、生体認証、顔認証、そして「追跡」インフラの構築を加速させた。彼らのパートナーである政府・情報機関が、私たちのデータを採掘して収益化し、反対意見をさらに抑圧し、恣意的な命令に従わせるために使用することができるようにするためだ。我々がインフルエンザのようなウイルスに怯えながら組織された恐怖の中に身を潜めている間に、この無法者集団は我々の民主主義、市民権、国、生活様式を奪ったという事実に米国人がようやく目を覚ましたときに起こる怒りを管理するためである。

 コロナへの不安がはげしく煽られる中で憲法上の権利が劇的かつ着実に侵され、民主主義に対する世界的なクーデターが誘発され、経済が破壊され、100万もの中小企業が消滅し、中産階級が崩壊し、権利章典が破棄されている。監視資本主義の大波と生物安全保障国家の台頭、そしてハイテク・シリコンバレーの強盗団による急成長した寡頭制への富と権力の見事な移行は、ボーッとしていて無批判な米国にとって、安全のために支払うべき妥当な代償であるように思えた。そしていずれにしても、それは15日間、あるいは15ヶ月、あるいはファウチ博士が「データを追って」自分の答えを出すまでの期間だけだと言われた。(2に続く)

出所:

https://www.unz.com/article/introduction-to-the-real-anthony-fauci/