ロシアは交渉をあきらめ、共和国の独立を認めてドンバス問題を解決する。
by ポール・クレイグ・ロバーツ
https://www.paulcraigroberts.org (February 21 2022)
私がこの原稿を書いている間にもタス通信は、ソ連政府がウクライナに付けた旧ロシア領のドネツク共和国とルハンスク共和国をロシアが承認することについてのプーチンの決定をまだ発表していない。しかしロシア安全保障理事会の決定は、親米派の大西洋統合主義者のメンバーからも支持された全会一致のものだったため、プーチンも安全保障理事会の立場に反対することはないだろう。プーチン自身も、彼の発言や質問が示すように同じ意見であった。
理解すべきことは、これはクリミアのようにドンバスをロシアに再吸収させることではなく、共和国を独立国として承認することに過ぎない。
これにより共和国は国際法の保護を受けることになり、欧米と違い国際法にこだわるロシアは、法律が共和国を守ることを理解するだろう。
私は1時間35分の安全保障理事会を聴いていたが、会合では様々なメンバーが米国、NATO、EUとの交渉が一向に進まなかった8年間の不満について語っていた。この8年間に、ウクライナ軍は共和国の領土の一部を占領することに成功し、多くのドンバスのロシア人がウクライナ軍に殺された。
現時点で明らかになっていないのは、ドンバス共和国の承認に、こうしたウクライナ軍やネオナチ民兵が占領している地域までもが領土に含まれているかどうかである。
英訳がついているこの会議のビデオを見れば、ロシアは8年間、ドンバスをウクライナに残し、ウクライナが署名、ドイツとフランスが保証したミンスク協定で保護することで、状況を解決しようとしてきたことがわかるだろう。ロシア人の忍耐力を賞賛せずにはいられないが、その忍耐はドンバスのロシア人の命を犠牲にしてのものであったのだ。
今日、ロシア政府の我慢は限界に達し、将来的に西側諸国に対してずっと我慢するとは思えない。
これは良いことで、なぜならそれによってヨーロッパが、ワシントンによるロシアへの迷惑行為の協力者でなくなるからだ。ヨーロッパの政府は皆、核兵器に頼らずにワシントン/NATOが彼らを守ることは不可能であることを知っており、もちろんそれは保護ではなく破壊を意味する。ヨーロッパはロシアとの良好な関係を築くことに関心を持つようになるだろう。
ウクライナのゼレンスキー大統領も、何と言おうとほっとしているに違いない。ゼレンスキーは大統領として機能していない。なぜなら、ワシントンとCIAに支配されたネオナチ民兵との間に挟まれ、そして再選を目指しているからだ。ロシアが共和国を承認した今、ゼレンスキーはウクライナの軍隊を使ってドンバスのロシア人を攻撃しようとするワシントンの動きに抵抗できるようになる。ゼレンスキーは、クレムリンの決定によってワシントンがウクライナをロシアに対して利用することがより困難になるため、権威を得ることができる。もちろん、ワシントンは試みをやめないだろう。
これをワシントンや売春婦メディアがどのように報じるかはわかっている。ニューヨーク・タイムズ紙はCIAから「ニュースレポート」を手渡されるだろう。そこでは、共和国の承認はロシアの侵攻の前兆だというだろう。ワシントンは常に「民族自決 」を支持 しているが、それはワシントン主導のクーデターの結果による「自決」の場合なので、ドンバスの独立を認めず、ウクライナとロシアの間の戦争を煽ろうとするだろう。ニューヨーク・タイムズをはじめとする売春婦たちは、「ロシアの侵攻」を予測し続けるだろう。
しかし、ヨーロッパは今、公の場で何と言っていようが慎重になっており、ウクライナ人はロシアとの戦争に追い込まれても誰も助けにこないことを知っている。ワシントンがシナリオをコントロールできなくなる可能性は十分にある。そうでなければ、犠牲を払うのはウクライナとヨーロッパになるだろう。
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