4万回目にして
プーチンが、本当に、本当に、本当に、本当に望んでいること
by Phil Butler
https://www.zerohedge.com (February 24 2022)
この10年間にロシアのプーチン大統領の「望み」をめぐり、4万の見出し記事を読んできたが、プーチン以外の誰がそれを知っているというのだろうか。私がロシアの指導者について学んだことに基づいて、これだけは言える。彼が欲しいのは、ほとんどすべてのロシア人が望んでいることであり、それは西側がおかしな憶測をやめることだ。
欧米の政策立案者は国際関係の行方を決めるのに、専門家に頼っている。あるいは、少なくとも、ワシントンの政治家は誰かに相談しているに違いないと思っている。そしてシンクタンクは現状を反映(あるいは構築)しているように見えるので、何らかの統一された目的があると考えるのが自然だろう。そして、ロシアの大統領に関しては、誰かが、プーチンが他の民族や国にとって悪いことを望んでいると国民に信じさせようとしているのは一様に明らかである。記憶を確かめるために私はGoogleの精緻な検索で、これまで何度プーチンの真の狙いが語られてきたかを調べてみた。
まず2011年から2015年末までの時間軸で始めてみた。最初にでてきたのは、ブルッキングスの専門家が、プーチンは「ヨーロッパ人を米国から引き離す」ことを望んでおり、分裂させるために米国とロシアの影響力の境界線に関する新しい「ヤルタ協定」を作ろうとしている、というものだった。なるほど。次にジェフリー・ゲドミンによる「ビヨンド・クリミア:ウラジーミル・プーチンが本当に望んでいること」という半学術的な論文では、ロシアの指導者がいかに征服に固執しているかを将来の外交官研修生に伝えている。もちろん、ゲドメンはRadio Free Europe/Radio Libertyの元社長であるため、私たちは彼がどこからお金をもらっているか知っている。このほか1000の記事も同じようなナンセンスの繰り返しだ。
哀しいかな、これら予言の天才の一撃の1年前、The Atlanticはあなたが思ったとおり「プーチンが望むもの」と題する記事を2014年に掲載している。この中でジョージ・W・ブッシュ大統領の元スピーチライター、デヴィッド・フラムは、「プーチンが権力を保持する限り、ロシアは普通の国家に進化することはできない」という結論に至っている。そしてこれですべての「プーチンの欲望とニーズ」探求の本質が明らかになる。すべては定義の問題なのだ! ワシントンが頼りにしている思索家たちによればロシアは正常ではない。あるいはロシアが正常でないことを証明するために、ワシントンはこの種の「思索」を大量に採用しているのだ!
ロシアの指導者が何を狙っているとされているのか、検索結果のページが無限にあるので際限なく続けることができる。ワシントンポスト、デイリービースト、ポリティコ、ニューヨーカー、BBC、NBC、スレート、NPR、ランド、等々。もしそれが私たちにとって悪いことでも…..面白半分に2016年から2019年にかけて同様の検索をしてみたらどうなったと思うだろうか? 同じメディアがプーチンの欲望に関する見出しを再現していたのだ。The Atlanticは「プーチンの望み」で始まり、(検索では)ニューヨークタイムズが「プーチンは本当に何を望んでいるのか」と問いかけ、残りは誰かが決めた米国人読者にアピールする奇妙な復唱がそれに続いたのである。面白いのはすべての予言が同じことを言っていることで、知的な人なら “なぜすべてがジャーナリズム的、分析的な読心術なのか?”と疑問に思うはずだ。
幸いなことに、穏健派の声や、少なくともロシアの立場を理解していると思われる専門家もまだ存在する。先日、カーネギー・モスクワ・センター所長のドミトリー・トレニン{1}がフォーリンポリシーに寄せたこの「プーチンの望み」分析を見てみよう。トレニンは元ロシア軍情報部の大佐でソ連軍とロシア地上軍に21年間勤務していたので、当然カーネギーの資金提供者側とはいえ、ここでの位置づけはよく分かっているはずだ。プーチンの狙いはNATO拡大を止めることだとする彼のレポートの本質は正しい。報告書の他の部分はどうでもいいが、プーチンが求めているのは、ロシアの国境を守ることなのである。
ウラジーミル・プーチンとロシアの人々は、平和に暮らし、自分たちの遺産である資源と創意工夫と努力によって繁栄することを望んでいる。それだけだ。ロシア人はユーゴスラビアのように、自分たちの国を管理しやすい小さな領土に切り刻まれることを望んではいない。ロシア人にはそのままでいたいと思う国民性がある。
そして、金持ちの支配層やプライドの高いロシアの管理者たち、あるいはその両方によって権力につかされたロシア大統領は、ロシア国家の意向を汲んでいるのである。話は終わりだ。ナチスのバルバロッサ作戦、第一次世界大戦、あるいはナポレオンの不運な逃亡劇を思い起こさせる。結局のところNATOを拡大する究極の目的は何なのだろうか。地球儀でヨーロッパを見つけることができないユタ州の平均的な米国人にとっての使命は何なのだろうか。誰のために、何のためにやるのか?
おそらく我々はもっと適切な質問をするべきかもしれない。“米国は何を望んでいるのか?”
Link:
{1}https://journal-neo.org/2022/02/23/for-the-forty-thousandth-time-what-putin-really-really-really-wants/#author-info
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