嘘の上に築かれた国-米国はいかにして豊かになったか(パート6b)
by Larry Romanoff
6b – エシュロンの事例
様々なメディアで、産業スパイや競合他社の諜報活動について報道されてきた。しばしば、CIA、NSA、米国商務省、米国国務省、米国大使館、その他の米国機関は、連携したチームとして行動している。
米国は長年、風力発電や太陽光発電の技術が中国やドイツに大きく遅れをとっていることを残念に思っていた。そこでドイツのエネルコン社が技術的にも競争力的にも魅力的な新型風力発電機を開発したとき、CIAとNSAは合同で行動を起こした。CIAはこの新製品に関するすべての技術情報を不正に入手し、NSAはシステムをハッキングして、エネルコンの風力発電機に侵入して停止させるのに必要なコードを入手し、技術とソフトウェアをコピーできるようにしたのである。{27} {28} {29} {30}そして両機関は愛国心をもって収集したすべての情報を米国のケネテック社に提供し、ケネテックはその製品、ソフトウェア、システムに関する米国特許を申請した。この技術を発明したドイツのエネルコンは、その後、自社の風車を米国に輸出することを禁じられ、米国のケネ テックから、エネルコン(ドイツ企業)が商業秘密を不正に入手したとして、特許権(自社製品)侵害で米国の裁判所に訴えられたのである!{31} {32} {33}
オバマ大統領がたびたび語っていたように、「公平な競争の場であれば、米国は必ず勝つ」
米国人がこよなく愛する公平な競争の場を完成させるために、米国政府は、米国のエンジニアリング会社から風力タービン・ソフトウェアのソースコードを盗んだとして、中国に本社を置くシノベルとその上級幹部2名を連邦大陪審に起訴するよう手配した。{34} {35} 実際には中国企業は問題のソースコードを使用・修正する明確な契約上の権利を持っていたが、大陪審の法的威嚇は強力であり、無実が明らかな場合でも十分な弁護を行うには資金と管理時間が膨大に必要となり、中国の動きを鈍らせるのに十分なため、米国商務省がこの茶番を強く支持したのであった。
フォルクスワーゲン社は、役員室から芝生まで、さまざまな場所に隠された大量のマイクと赤外線カメラが、VWの新型車に関する画像、技術仕様、情報を送信していることを偶然に発見した。フォルクスワーゲンは、経営陣とのテレビ会議が録画されていることを発見した。そこには新製品、価格表、新工場の極秘計画、特に魅力的な新小型車の計画などについての会話も含まれていた。これらの情報はすべてNSAが追跡し、NSAはゼネラルモーターズとその子会社であるドイツのオペルにそのすべてを転送していたのである。フォルクスワーゲンは、このスパイ行為と米国の競争相手への情報の受け渡しによって、数億ドルの損失を被ったと主張した。しかしフォルクスワーゲンは、以下のような強制的な合意に基づき、何もできなかった。 「ドイツは今後、ドイツの資産に関して実施された、または実施される予定の措置に対して異議を唱えないものとする……」。
“公平な競争の場であれば、米国は必ず勝つ“
日本の自動車メーカーも同様だった。米国大統領の要請でCIAは日本の自動車メーカーをスパイし、ゼロ・エミッション車の設計計画を傍受・記録し、その情報を米国の自動車メーカーであるフォード、ゼネラルモーターズ、クライスラーに転送していた。ニューヨーク・タイムズ紙は、NSAとCIAの東京支局が、ジュネーブで日本の自動車メーカーと貿易摩擦に直面している米国の貿易交渉担当者に詳細な情報を提供することに関与していたと報じている。日本側は、NSAが米国企業のために日本企業の通信を監視し続けていると非難した。CIAはまた、日本が日本車の輸入制限について米国と交渉している間に、日本の通商産業省のコンピューターシステムをハッキングした。日本のポジションを知った米国は予想よりもはるかに低い自動車輸入枠を要求することができたのだ。
エシュロンプログラムは今もなお健在で、外国政府の部局をスパイしハッキングすることは、その政府が敵であれ味方であれ、NSAとCIAの得意とするところである。{36} {37} 数年前、NSAはエアバスとサウジアラビアの国営航空会社との間の購入交渉に関するファックスや電話を傍受したことがある。この情報をエアバスの米国の競争相手であるボーイングとマクドネル・ダグラスに転送して、米国は60億ドルの契約を勝ち取った。
ブラジル政府はフランスのトムソン・アルカテル社に、アマゾン流域の衛星監視を目的とした数十億円規模の大型契約を発注した。この契約に関する政府の通信をCIAとNSAが傍受した後、米国はブラジルが契約を破棄するよう極度の圧力をかけるのに十分な情報を入手し、その後、契約は米国のレイセオン社に授与された。{38} {39} {40} {41} {42} {43} {44} 同様にNSAは、インドネシアと日本の衛星メーカーNECとの間の2億ドルの差し迫った取引に関するメッセージを傍受している。米国が米国のメーカーのために介入した後、この契約はNECとAT&Tの間で分割された。
また、シアトルで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、米国大統領がNSAとFBIに大規模な監視作戦を命じたこともあった。ある情報筋によるとこの会議のために300以上のホテルの部屋に盗聴器が仕掛けられたという。この作戦は、アジアの石油や水力発電の取引に関する情報を入手し、その情報を契約交渉中の米国企業の関係者である米政府高官に渡すというものであった。
「こっそり富を得る」というカテゴリーに関連するのが「贈収賄」である。米国は、賄賂を提供したことがバレるほど不器用な外国や企業を非難する偽善者として有名だが、多国籍企業の商業契約を獲得するために賄賂を支払ってきた長い歴史がある。商業用・軍事用航空機は米国が特に積極的に行ってきた分野の一つである。例えば、米国のロッキードF-104航空機を購入するために、少なくともイタリア、ベルギー、ドイツに多額の賄賂を支払ったし、ボーイング社のための賄賂はもはやニュースではなくなってきている。また、米国企業の大義名分のために、米国が国家ぐるみで贈収賄を行ったという話も多く聞かれる。国内市場で銀行など米国の多国籍企業が自由に暴れるのを支援すれば、その国は政治的・外交的な利益を約束されることがよくある。このようなことの多くは国家主導の強奪の範疇に入るが、それこそ米国が得意とすることなのである。
Notes:
{27} https://www.lewrockwell.com/2013/06/william-blum/what-the-spy-state-missed-about-edward-snowden/
{28} https://www.foreignpolicyjournal.com/2013/06/28/the-nsa-and-cias-dilemma/
{30} https://williamblum.org/aer/read/118
{32} https://www.windpowermonthly.com/article/960011/trans-atlantic-espionage-claimed-german-wind-company
{33} https://postmanpatel.blogspot.com/2008/05/enercon-v-echelon-how-comercial.html
{34} http://www.sinovel.com/english/about/?31.html
{35} https://money.cnn.com/2018/01/25/technology/china-us-sinovel-theft-conviction/index.html
{36} https://www.thedrum.com/news/2013/08/26/nsa-accused-hacking-un-internal-video-conferences-year
{37} http://www.attivissimo.net/security/echelon/echelon-europarliament-report.htm
{38} https://www.gpdr.org/industrial-spy
{39} https://yogaesoteric.net/echelon-the-start-of-britains-modern-day-spying-operations/
{40} https://www.reuters.com/article/us-usa-security-brazil-spying-idUSBRE98411420130905
{41} https://www.reuters.com/article/us-usa-security-latinamerica-idUSBRE96816H20130709
{42} https://www.reuters.com/article/brazil-usa-espionage-idUSL2N0PL27W20140710
{43} https://www.pressreader.com/usa/richmond-times-dispatch/20130903/281487864018375
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