No. 1431 嘘の上に築かれた国-米国はいかにして豊かになったか(パート6d)

嘘の上に築かれた国-米国はいかにして豊かになったか(パート6d)

by Larry Romanoff

哀れな人々を持ち帰れ

移民政策は西洋のいくつかの国、特に米国が行っている経済的植民地化の小さな、しかし熱心な領域である。かなり長い間、米国は略奪的な移民政策をとってきた。これは発展途上国から優秀な人材(と現金)を吸い上げて集めるというもので、寛大な人道的言葉で表現されたプログラムだが、実際には単なる植民地化の道具としてしか機能していない。

欧米諸国の間で椅子取りゲームをする科学者や研究者はどの国にも正味の利益も損失も生まないかもしれないが、世界の発展途上国から優秀な富裕層を歓迎して迎え入れることは偶然でも善意でもなく、そのような国々に大きな損失を与えている。なぜならこうした国々にとってなくてはならない人材だからだ。

これら移民の多くは、母国で研究やその他の仕事をする機会がほとんどなかったのは事実かもしれない。しかしその事実は、より大きな現実を覆い隠すための幻想にすぎない。この移住によってこれらの人々の国内の発展への潜在的な貢献は永遠に失われることになるのだ。それがどんなに小さなものであったとしても。その結果、富める国と貧しい国の所得格差は拡大し、維持されることになる。実際これらの移民が自国ではほとんど成果をあげられなかったことは事実かもしれないが、彼らがいなければ米国もまた、ほとんど成果をあげられず、経済格差が拡大することもなかったであろうことも同様に事実である。米国に移住した者の多くが、キャリアアップの機会を与えられたことに感謝しているのは事実だろう。しかしそれは米国の個人主義から見たもので、より大きな社会的損失を無視している。

ニューヨークの自由の女神像に刻まれた言葉、”疲れた者、貧しい者、自由になることを切望する人々、あなたの海岸にあふれる拒まれ続ける哀れな人々を私のもとに送りたまえ” は、ホールマーク・グリーティングカード用の自己満足のたわごとに過ぎない。もしこの言葉に真実があったとしても、それはずっと昔のことだ。今日、米国の海岸に「哀れな人々」が届くことはないし、長い間そうでなかった。今日歓迎されるのは金持ちと才能のある者だけだ。米国人は自分たちの国が最も豊かなのは、自分たちが優秀だからだと洗脳されているが、決してそんなことはない。何千年もの間、中国は発明、発見、革新の面で世界をリードしてきたし、最近ではドイツや日本といった国が、戦争兵器と不正な銀行業務を除くほとんどすべての分野で常に米国を凌駕してきた。

もうひとつ、米国の富と発展に大きく貢献した移民がある。第二次世界大戦中の科学者の大移動と呼ばれるものである。しかしこの大移動は、騙されやすい米国の大衆のために作られたその神話どおりではなかった。確かに、戦時中にヨーロッパから米国に渡ったユダヤ人科学者もいたが、大きな影響を及ぼしたのはその後である。戦後、米国政府は少なくとも1万人のドイツ人科学者と、非常に多くの日本人を米国に移動させた。しかし事実上すべての場合において、彼らはその犯罪のために確実な訴追と、おそらく死から逃れてきた戦争犯罪人であった。ドイツ人のほとんどはあまりにも著名だったので米国社会に置くことができず、世間の注目を集めにくい米軍の中に隠され、記憶が薄れるにつれて解放された。日本人も同様だった。もっとも有名なのは米国のミサイルと宇宙技術を作り上げたヴェルナー・フォン・ブラウンである。しかしそれ以外にも、軍事、あやしい人体実験、拷問など多くの技術を持った人たちがいて、それらはすべて米国の軍事組織にとって宝のような移民たちだった。米国社会と世界不安にもたらした彼らの「貢献」の総和は推し量るしかない。

カルテルによる支配と富の獲得

米国が保護主義的、独占主義的な政策を通じてその商業的な影響力を利用し、米国の銀行口座を満たしながら世界から資金を流出させることを目的とした多くの分野がある。その顕著な例が米国が常に有名である商品カルテルであり、米国の大企業が石油などの市場を支配し、操作している。1952年、米国上院委員会は石油カルテルに関する報告書を発表し、7つの企業が世界の石油埋蔵量の85%を支配していることを明らかにした。彼らは、主要な製油所とパイプラインをすべて支配し、世界の石油価格を固定し、世界の市場を自分たちの間で分割していた。このうち5社が米国で残りの2社がヨーロッパである。いずれも、競合他社を排除し、世界の石油供給を掌握するために暗躍し、生産地を分散・共有し、輸送コストや販売価格を決め、石油を支配することで世界を制覇していたのである。今日でも石油を満載したタンカーがかなり沖合に停泊し、時には何カ月も、最も収益性の高い配送時期を待っている光景を目にすることができる。

エピローグ

これらの章は、米国人が一般的に「民主主義」と米国の創意工夫のおかげだと信じている国富を創造し維持することに何世紀にもわたって向けられてきた米国政府の姿勢と活動を垣間見ること、簡単な要約に過ぎず、この富の起源について、いくつかの窓を開くことに役立つだけである。しかしこの簡単な紹介からでさえ、米国が豊かなのは自由や民主主義のおかげではなく、強力な軍隊、「弱肉強食」の資本主義、健全な白人至上主義の注入、そして歴史の偶然によるものだということは十分すぎるほど明らかであろう。以前のすべての帝国と同様に米国が今日裕福なのは、何百年もの間、弱い国のまねをし、そこから盗み、いじめ、スパイし、威嚇し、侵略し、植民地化し、略奪してきたからである。

米国は一般的な物語が示唆するほど革新的でも創造的でもない。「フェアプレー」や「公平な競争条件」を望むという主張が、大衆のためのジンゴイズムに過ぎず、かなり高度な偽善を表していることは明白であろう。私たちが一皮むいてプロパガンダの壁の裏側を見れば、米国が名誉や正義感を持って国際的に行動している証拠はほとんど見当たらない。米国の対外行動には、公正さも道徳もなく、まともなものもほとんどない。もし私が米国人なら、意気消沈し、恥ずかしく思い、自国に対する誇りを呼び起こすものは何も見出せないだろう。多くの米国人が、自分たちさえも軽蔑している広大で無慈悲な犯罪組織の一員であることに愛国的な輝きを得ているのは、実に愚かで単純なプライドであり、ほとんど惨めでもある。

この章で取り上げたのは主に米国政府自身の行動や姿勢に関するものである。米国の多国籍企業の行動に関連する米国の富の図式は、ここで扱うには広すぎるほど多くのものがある。後の章では米国企業との競争を排除するために他のあらゆる国の主要ブランドを買収し、消滅させようとする略奪的資本主義という米国の信仰の態度、行動、そして影響を検証する。

この章の冒頭で、国の豊かさと個人の豊かさは必ずしも一致しないこと、ある国の一部が非常に豊かである一方で大多数は貧困にあえいでいることを指摘した。以上述べてきた多くの、あるいはほとんどの出来事は、国家としての「米国」を豊かにするものではなく、一部の人の懐を満たすだけの略奪の一形態であった。貧しい国々への植民地化もその一つである。奴隷制度もそうである。

最後に、富の蓄積に関わる、あるいはそれを促進する行動の多くは米国政府によって行われたものではないことに注意する必要がある。米国連邦準備制度は米国ではなく、ロスチャイルド、ウォーバーグ、その他少数のヨーロッパのユダヤ人銀行家が私有している。この章で紹介した多くの行動や出来事は、連邦準備制度の所有者によるもので、ほとんどが彼らだけの利益になっている。戦争の接収の大部分、日本の黄金の百合、銀と金の購入法、通貨操作、IMFと世界銀行の設立は、全てこのカテゴリーに入る。それ以外にもたくさんあるので見ていこう。

EN — LARRY ROMANOFF — Nations Built on Lies — How the US Became Rich — Volume 1– Part 6 — Espionage and More