関心があれば、米国政府は非常に効率的である
by Ted Rall
新型コロナの大流行で痛ましいほど明らかになったように、米国の医療制度は大失敗だ。米国人の12%は医療保険がなく、21%は十分な保険に入っていない。多くの郡では地域のAffordable Care Act(オバマ大統領が署名した医療保険制度改革法、通称オバマケア)によって提供される医療プランはまったくないか1つだけで、したがって価格競争は全くない。競争がないために営利目的の保険会社は価格を吊り上げているため、オバマケアを通じて保険に加入する平均的な4人家族は、保険料と控除額で年間なんと2万5000ドルも支払っている。税引き後収入の3分の1以上だ。
医療保険に加入していないことが原因で、毎年18,000人以上の米国人が亡くなっている。
これは、特に彼らやその家族にとってとても悲しいことだ。しかしこれはどうしようもない。共和党が政権を取り戻し、再びオバマケアを廃止しようとするまで、それは有効なままなのだ。政治的機能不全、と言えるよね?
しかし、米国政府は、何か関心のあることについては、信じられないほど効率的になる。
米国政府は、本当に戦争を大事に思っている。
ロシアが侵攻したわずか2日後、ジョー・バイデン大統領はウクライナに3億5千万ドルの兵器を移送することを許可する文書に署名した。わずか3週間以内に、対戦車兵器、神風特攻機、その他の戦争物資のほぼすべてがウクライナに到着した。これは第一種郵便が米国内のある場所に届くよりも早い。
もしあなたが病気で無保険なら、キエフへの移住を考えてみるといい。アフガニスタンで見たように、米国の兵器は利益を得るために姿を消して紛争地域で売られる習性がある。もしあなたにまだ十分なエネルギーと少しの運があれば、米国製のレーダーシステムの一つやグレネードランチャーの箱をいくつか盗んで、あなたの化学療法の資金にすることができるかもしれない。それでなくてもウクライナは米国がおそらく決して実現できないもの、すなわち国民皆保険制度を提供している。
米国では、制御不能になった大学授業料により900万人の若者とその家族が1240億ドルの学生ローンの債務不履行に陥っている。これらの若者の80%は総収入が4万ドル以下の家庭の出身である。つまり彼らは無節操にお金を借りて借金を払えないのではなく、貧しいのだ。学生ローンの重荷は米国の優秀な人材が社会人としてスタートするときの足かせとなる。彼らは家や車の購入を延期したり、購入しなかったり、老後のための貯蓄ができない。これは、不動産、自動車、耐久消費財のビジネスに打撃を与え、多くの有能な人々を将来の生活保護受給者に変えてしまう。
これは、特に彼らやその家族にとって非常に残念なことだ。しかしこれについて何もできない。バイデンの選挙公約である、1万ドルの学生ローン債務を帳消しにするというのは期待に違わぬお粗末なものだった。そして、彼は決してそれを実行しなかった。共和党と右派民主党の圧力に応えて、バイデンの2022年の最新連邦予算には、学生ローン免除のための条項は含まれていない。彼らは、赤字が心配だ、と言った。
と言いながら共和党と右派民主党はたまにしか赤字を心配しない。リベラル派、保守派、民主党、共和党、その他あらゆる系統の米国の下院議員や上院議員は、最初にウクライナに現金を送ってから1ヶ月も経たないうちに、ウクライナへ136億ドルの追加軍事援助をすぐに承認した。この措置には強力な超党派の支持があり、バイデンによって直ちに法律として署名された。やったね、アメリカ!
だから、破産して学生ローンを滞納し、たとえ自己破産しても学生ローンを帳消しにすることはできないので貧困から抜け出せなくなっても絶望しないでほしい。手持ちのお金をかき集めて、飛行機でウクライナに飛ぼう。ウクライナの大学では、ウクライナ人でなくても、授業料、住居費、食費、書籍代などの合計が年間4,000ドルを超えることはほとんどなく、しかも通常より安く学ぶことができる。またはテキサスA&M大学やバージニア州ハンプトン大学でウクライナ人になりすますこともできる。両大学では現在ウクライナ人に対する部屋代、食事代、授業料が無料となっている。米国人は、もちろん、申し込まないでください。
米国の子どもの6人に1人、合計1200万人が公式に貧困状態にある。どちらの政党もあまり気にしていないようで、子どもの貧困はここ数十年、選挙戦の主要な争点にはなっていない。だからこの問題は悪化の一途をたどっている。
これは、特に子どもたちとその家族にとって、まったく残念なことである。しかし、どうすることもできない。共和党と右派の民主党は、予算均衡の必要性と、そのお金を子供のために使わない親が出るかもしれないという懸念を理由に、子供税額控除に反対票を投じる。
しかし予算は必ずしも重要ではない。また公的資金を注意深く管理することが常に優先されるわけでもない。必要性が高いときには、両党は一致団結して、そのような些細なことは見過ごす。バイデンは、共和党、リベラル民主党、右派民主党の支持を得て、ウクライナへの軍事支援に8億ドルを追加すると発表したばかりで、その総額は25億ドル以上となった。その装備の一部がネオナチの手に渡ろうとも誰も気にしない。100ドル札に換算すると、25トンの現金だ。
米国政府を非効率的だと批判する人たちは、これ以上ないほど誤解している。議会もホワイトハウスも、大事なことには電光石火に動き、そして驚くほど寛大なのだ。
https://www.unz.com/trall/when-it-cares-the-us-government-is-extremely-efficient/