“Build Blackouts Better”
米国の半分はこの夏停電に直面すると規制当局が警告
by Tyler Durden
数千万人の米国人は、大きな干ばつ、熱波そして発電量の低下により五大湖から西海岸まで広範囲に及ぶ計画停電が発生し地獄の夏に投げ込まれる可能性があるとブルームバーグ(Bloomberg)は送電網の安定性を管理する規制機関である北米電気信頼性委員会(NERC)の新しい報告書を引用して報じた{2}。
NERCは、歴史的な干ばつ{3}により貯水池の水位が低下して水力発電が減少し、季節外れの暑さが予想されるため、この夏米国西部の電力供給がひっ迫する可能性があると警告している。気候変動対策として化石燃料発電所を廃止し、太陽光、風力、バッテリーなどの新しいグリーン電力を間に合わせることができない送電網に異常気象が重なれば、電力不足が生じ、電力会社は安定供給のために計画停電を余儀なくされるかもしれない。
規制機関は、サプライチェーンの問題で南西部の主要な太陽光発電プロジェクトが遅れていること、輸出の増加で一部の石炭発電所が供給調達に苦労していることを指摘した。また、ロシアからのサイバー攻撃の脅威も高まっているという。
地域別では、中西部の電力網が非常にタイトになる。米国西部全体では、需要の増加が見込まれるにも発電能力は昨夏から2.3%減少している。この地域の送電網は、猛暑で人々がエアコンをつけるため、近隣の送電網から電力を調達しなければならないかもしれない。NERCによると、風速が低下する状況は停電の引き金になる可能性があるという。中西部が、引退する化石燃料発電所の電力容量の撤去により、電力不足に直面する可能性があることを概説している。
NERCは昨年も同様の警告を発し、米国人口の40%にサービスを提供する電力網が停電のリスクにさらされていると述べている。それから1年、目立った停電は昨年6月の太平洋岸北西部の熱波による9,000人の顧客に対する停電のみだった。しかし発電能力の低下が新しいグリーン電力源を上回っているため、今年に入ってから停電のリスクは高まっている。
テキサス州では、初夏のような熱波が州内の一部地域で気温を3桁台(摂氏38度)に上昇させ、テキサス電気信頼性評議会(ERCOT)はすでに複数回、送電網へのストレスを警告{4}している。
カリフォルニア州の送電網管理者はより環境に優しいエネルギーへの移行に伴い、今後3年間の夏には停電の脅威が高まると警告している。廃止された化石燃料発電所に加え、干ばつ{5}と貯水池の減少{6}により水力発電も減少している。カリフォルニア州公益事業委員会のアリス・レイノルズ会長は5月6日の記者会見で、「この移行期には信頼性の確保が難しくなることは分かっている」と述べた。
NERCの報告書は米国西部に住む人々にとって目から鱗の内容である。多くの家庭がすでに制御不能のインフレ、燃料価格の高騰、食糧不足に直面し、バイデン政権の最高裁によるロー対ウェイド裁判のひっくり返りを受けた暴力の波{7}に備え、不安の夏となる可能性があるからだ。
米国は奈落の底へ落ちていき、人々はベネズエラに住んでいるような感覚を味わう。今日人々が経験していることとそれほどかけ離れてはいない。高騰するインフレ、物資不足、多くの人が多数決で選ばれていないと主張する支配体制、そしてもうじき、計画停電が起こるのだ。
Links:
{1} https://www.zerohedge.com/weather/us-western-megadrought-worst-1200-years-scientist-warn
{6} https://www.zerohedge.com/weather/one-shocking-chart-has-californians-trembling-fear
{7} https://www.zerohedge.com/political/biden-admin-bracing-wave-summer-violence-over-roe-v-wade
https://www.zerohedge.com/commodities/us-west-risk-power-blackouts-summer-regulator-warns