日本では、対ロ制裁による損失をめぐり
政府への批判が高まっている
by Vladimir Danilov
現在の日本政府が明らかにまずい発想の政策をとることで国民をますます不幸にしていることを背景に{1}、岸田文雄内閣に対する批判が著しく高まっており、同内閣の支持率は1カ月間でさらに4.6ポイント低下し56.9%となった。特に、共同通信社が実施し、公表されている調査結果がこれを物語っている。日本の主要通信社によると、回答者の64.1%が物価上昇に対する政府の対応に否定的であった。
現在の日本の経済問題の多くは輸出入の制限に起因している。日本は対北朝鮮制裁の経験を考慮に入れているが、反ロシア制裁の悪影響の方がはるかに強い。ウクライナ情勢や各種対露制裁により、日本企業は今、原料・エネルギー価格の上昇に伴う困難に直面しているのである。東京商品取引所の取引データでは日本のドバイ原油の価格は14年ぶりの高値となる83,100円超に上昇した。それにもかかわらず、日本はワシントンへの属国的忠誠心を示して、自国にとって明らかに不利であるにもかかわらず岸田内閣は松野博一官房長官が発表したように、5月末、アメリカとEU諸国がロシアの石油輸入を一部禁輸するという最新のロシア恐怖症の決定を支持したのである。
しかし、このような動きは東京のエネルギー政策に跳ね返ってくる。6月6日付の日本経済新聞の警告によると、この冬に気温が下がれば日本は2011年の東日本大震災以来、最大のエネルギー危機に直面する可能性があるという。原子力発電所の再稼働は自治体が電力会社に適切な許可を与えないことが多いためそのプロセスは遅く、火力発電所の中には停止しているものもある。 反ロシア制裁の中でロシアからの安定的なエネルギー購入の継続が不透明なことも事態の予断を許さない状況につながっている。日本経済新聞の試算によると、寒冷地での冬の電力不足は全国で350万キロワット程度になるという。このうち約150万キロワットは、一部の火力発電所の再稼働でカバーできるという。しかし、ロシアから日本へのLNG輸出が停止した場合、さらに400万キロワットのエネルギーが失われると専門家は試算している。その結果、最悪の場合、約110万世帯分の電力が不足する可能性がある。
この点から日本政府はすでに国民に節電を呼びかけ始めている。萩生田光一経済産業大臣は6月7日、東京で記者会見し、関係する緊縮財政措置が閣僚会議で承認されたと述べ、事態を安定化させるために大企業の電力使用制限なども排除されなかったと述べた。
日本の帝国データバンクによると、ウクライナやロシアを取り巻く情勢により、少なくとも50.6%の日本企業が現在さまざまな困難に直面していることがわかった。4割以上が値上げをした、あるいはしようとしている。5月末、朝日新聞は、日本の対ロシア制裁は1万5000社の日本企業にさまざまな程度の損害を与える可能性があり、すでに多くの企業がこのために購入する製品の類似品を探さなければならず、サプライチェーンが混乱していると述べている。
北海道新聞{2}によると、日本がロシア産木材の輸入を禁じたことで、国内の住宅建設に打撃を与え、住宅建設率が低下しているとのこと。ロシア材がなければ、住宅価格はさらに上昇することが予想され、建設業界ではパニックが広がっている。
日本のデイリー新潮{3}も、反ロシア制裁による日本への深刻なダメージについて書いており、ロシアの報復措置が日本人にとって非常に痛いところを突いていると指摘している。それは漁業で、1998年にロシアの経済水域(200マイル)だけでなく南クリル諸島付近の領海でも漁業ができるようにした協定がある。そのためロシアの報復措置は、北海道の漁民には甚大な被害が予想される。”これは日本の対モスクワ制裁に対する『報復』だ。米国重視とはそういうことだ!“と同誌は記している。さらに、デイリー新潮は、直近ではロシアが日本の制裁に対して、日本を「非友好国」と呼び、北方領土問題を含む平和条約交渉を決定的に中断させたことを振り返っている。そして今、状況はさらに悪化している。同誌は東京の制裁政策に対するロシアの反応は、日本国にもその首相にも何のメリットもないだろうと強調する。漁業問題は、7月に行われる日本の参議院議員選挙の中心的な争点の一つになる可能性がある。
また、不安定な価格政策や、輸入コストの上昇、ひいては生産コストの上昇をもたらす円安も、状況を悪化させている。為替取引データによると日本円は対米ドルですでに20年ぶりの低水準に達している。日本の公的債務は2021年度末(2022年3月31日)に9兆5千億ドルを超え、日本は米国への最大の債権者となり、米国への依存度を強めている。毎日新聞の6月11日付社説によると、物価上昇を「容認」する必要があるとする最近の日銀黒田東彦総裁の発言は、中央銀行の金融政策に対する国民の信頼を失わせる可能性があるという。
ウクライナ情勢が始まって以来、日本政府が採用した制裁措置は、ロシア人が507人、ルガンスク人民共和国(LPR)とドネツク人民共和国(DPR)が253人、ロシアの企業・団体201社、銀行11行に適用されている。ワシントンの影響と指示により、日本はロシアへの輸出禁止品目の拡大を繰り返し、6月17日からはトラック、ダンプカー、ブルドーザーなどをリストに追加した。それ以前にも、日本はハイテク石油精製装置、量子コンピュータとその部品、電子・原子間力顕微鏡、3Dプリンターとその消耗品などの輸出を禁止している。しかし、これらの規制は日本の輸出収入にのみ影響し、ロシアは積極的な輸入代替政策により比較的短期間で制裁品の内製化を実現するか、他の海外市場から調達している。このように、東京の制裁政策は日本とその国民を苦しめ、岸田現政権への批判は日に日に高まっている。
多くの専門家によれば、日本がここ数ヶ月、明らかに好ましくない制裁政策を強化し、8人のロシア人外交官を非国民と宣言するなどロシアとの関係を悪化させているのは、長期にわたって米国の強い影響力にさらされ、結果として意思決定における自律性を欠いているからであることは間違いないという。そしてロシアとの貿易や経済の断絶が深まることで日本が被る損失を米国が補償することはないことを考えると、岸田政権は、その行動への批判が高まる一方で、こうした近視眼的な政策について国民に答えなければならないだろう。
Links:
{1} https://ru.journal-neo.org/2022/05/03/yaponiya-stradaet-iz-za-svoih-sanktsij-i-ukrainy/
{2} https://www.hokkaido-np.co.jp/article/690240
{3} https://www.dailyshincho.jp/article/2022/06100600/?all=1
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