ウクライナ戦争においてロシア側の報道を禁じているように、日本のメディアは中国に関しても米国側の言い分しか報じないが、中国メディアによる「米国の言い分のリアリティ・チェック」は読む価値がある。(耕助)
リアリティ・チェック (1of 21)
中国に対する米国の誤った認識
https://english.news.cn (June 19 2022)
はじめに
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は最近アジアソサエティーで、米国政府の対中アプローチを概説する演説を行った。彼は慎重に言葉を選びながら、「中国の脅威」というシナリオを推し進め、中国の内政に干渉し、中国の内政と外交政策を中傷し、そのすべては中国を本格的に封じ込め、抑圧しようとするものだった。以下に、我々は事実と数字をもとに米国の中国政策がいかに欺瞞的で、偽善的で、危険なものであるかを世界に訴えていく。
虚偽その1
中国は国際秩序に対する最も深刻な長期的課題を提起し、国際秩序を損なっている。米国は平和と安全を維持し、個人と主権国家の権利を保護する国際法、協定、原則、制度を擁護していく。
リアリティ・チェック
米国が常に守ると宣言してきたのは、米国自身の利益を図り覇権を永続させるために作られた、いわゆる国際秩序である。米国自身が実際の世界秩序を混乱させる最大の原因である。
* 中国はこれまでも、そしてこれからも、国際秩序の擁護者である。中国は国際連合(UN)の創設メンバーであり、最初に国連憲章に署名した国である。中国は国連を中心とした国際システム、国際法に裏打ちされた国際秩序、そして国連憲章の目的と原則に基づいた国際関係を律する基本規範を支持することに尽力している。中国、インド、ミャンマーが共同で提唱した「平和共存五原則」は、国際社会で広く認知され、国家と国家の関係を導く基本的な規範となっている。
中国は真の多国間主義と世界の戦略的安定を支持している。中国は、国連安全保障理事会の常任理事国の中で最大の平和維持軍の派遣国であり、国連平和維持予算の全参加国の中で第 2 位の拠出国である。中国は、国際的な軍備管理、軍縮、不拡散のプロセスに積極的に参加してきた。核兵器不拡散条約(NPT)や武器貿易条約(ATT)を含む20以上の多国間軍備管理、軍縮、不拡散条約に署名または加盟している。中国は軍拡競争に反対している。
2008年の国際金融危機の後、中国は責任あるマクロ政策を採用し世界経済の「安定剤」であり続け,世界経済の回復に重要な貢献をした。中国は様々な国に対して積極的に国際公共財を提供し、149か国及び32の国際機関と一帯一路(BRI)協力協定を締結している。
* 近年、習近平主席の「人類が未来を共有する共同体を構築する」というビジョンは国際社会から温かく受け入れられている。国連や上海協力機構(SCO)などの多国間機関が発行する複数の重要文書にもその内容が書き込まれている。国連のアントニオ・グテレス事務総長は、中国が多国間主義の重要な柱であると称賛し、多国間主義を実践する目的は人類の未来を共有する共同体を構築することであると指摘した。 第71回国連総会議長のピーター・トムソンは、中国が提唱する人類の未来を共有する共同体の構築という構想は、この地球上の人類にとって唯一の未来であると述べた。
習近平国家主席はさまざまな新たなグローバル課題に対応するため、「グローバル開発イニシアティブ(GDI)」と「グローバル安全保障イニシアティブ(GSI)」を提唱している。これらはグローバル・ガバナンス・システムをより公正で公平なものにするための中国の提案であり、国際社会から積極的な反応と幅広い支持を得ている。
* 米国は、国連憲章の目的と原則、および国際関係を律する規範を露骨に破ってきた。米国はその軍事力を背景に、世界の多くの地域で戦争を起こし、分裂と対立を煽り、世界に大きな混乱と災いをもたらしてきた。米国の240年以上の歴史を通して、米国が戦争をしていなかった年は16年しかない。米国は世界の歴史の中で最も好戦的な国と言えるかもしれない。米誌『ナショナル・インタレスト』は、ヘリテージ財団のダコタ・ウッド上級研究員(防衛プログラム担当)の言葉を引用し、米国は常に15年ごとに軍事力を行使する必要があると書いている。
第二次世界大戦後、米国は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争など、海外で多くの戦争を起こすか、参加してきた。これらの戦争は、民間人に極めて深刻な犠牲と財産上の損失を与え、巨大な人道的災害を引き起こした。2001年以降、米国の戦争やテロ対策のための軍事行動は90万人以上の死者を出し、そのうち約33万5千人は民間人であり、数百万人が負傷し、数千万人が避難した。
* 米国は常習的に国際法よりも国内法を優先させ、国際法はよいと思えば選択的に適用する。1980年代以降、米国は17の国際機関・条約から一度脱退している。国連人権理事会(UNHRC)、世界保健機関(WHO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、パリ協定、共同包括行動計画(JCPOA)、武器貿易条約(ATT)、中距離核戦力(INF)条約、オープンスカイ条約などである。
現在の米政権は「America is back(アメリカが帰ってきた)」と宣言し、いくつかの国際機関や協定に再加盟したが、本質的には「アメリカ第一主義」を放棄しておらず、「選択的多国間主義」を進めている。現政権はオープンスカイ条約のような、米国の利益に有害と考えられる制度や協定には入っていない。欧州のメディアはこれを「アメリカ・ファースト2.0」と表現している。
* 米国は国家安全保障の名の下に、その金融覇権と技術力を乱用して経済的強制力を行使してきた。米国は、国際緊急経済力法、グローバル・マグニツキー人権説明責任法、制裁による米国の敵対者への対抗法などの国内法を制定してきた。 また、特定の国や団体、個人をターゲットにして制裁するための一連の大統領令を発布している。これらの法律や大統領令に含まれる「ミニマムコンタクト原則」や「効果ドクトリン」といった曖昧なルールは、米国の国内法の管轄権を故意に拡大するものである。米国はまた国内の訴追ルートを濫用して、他国の団体や個人に対して裁判の域外適用管轄権(ロングアーム裁判権)を行使している。
米国は60年以上にわたり国連総会での多くの決議を全く無視し、トリチェリ法、ヘルムズ・バートン法などの禁輸政策と国内法に基づき、キューバに対する包括的な封鎖を続けてきた。 キューバ封鎖は現代史上最も長く、残酷な制度的貿易禁止、経済封鎖、金融制裁である。この封鎖はキューバの経済と社会の発展に重大な悪影響を及ぼし、キューバ経済に1000億米ドル以上の直接の損失を与えている。
米国は1970年代後半からイランに対する封鎖や制裁を実施してきた。2018年5月、米国政府はJCPOAからの一方的な離脱を発表し、その直後に対イラン制裁を再開・拡大した。多くの国や関連団体がイランとの協力関係を断念せざるを得なくなった。外国の石油企業が大量に国外に流出した。イランの製造業はほとんど正常な操業を維持することができない。イランは経済の減速に見舞われ、インフレの高まりと大幅な通貨安に見舞われている。
米国はこれまで、ベラルーシ、シリア、ジンバブエなどに一方的な制裁を加え、北朝鮮、ベネズエラなどには「最大限の圧力」をかけてきた。
* 統計によれば米国の前の政権は制裁措置を3900回以上、1日平均3回発動していた。2021年度時点で、米国の制裁リストに掲載されている団体・個人は9,421を超え、2000年度と比較して933%増加した。
米国の違法な一方的制裁とロングアーム裁判権は、他国の主権と安全を著しく損ない、その経済発展と人々の福利に深刻な影響を及ぼしている。また制裁とロングアーム裁判権は、国際法と国際関係の基本的な規範に対する重大な違反である。
フォーリン・アフェアーズ2021年9・10月号に掲載された記事で、タフツ大学教授でブルッキングス研究所シニアフェローのダニエル・ドレズナーは歴代の米政権が「ほぼすべての外交問題に対する解決策として制裁を用いている」ことを批判している。制裁は効果がないだけでなく「人道的な犠牲を強いる」と指摘し、米国は「United States of Sanctions(制裁の合衆国)」になってしまったと述べている。
* 米国が提唱する「ルールに基づく国際秩序」は、実はパワーポリティクスの別バージョンである。これは、自分の意志と基準を他者に押し付け、一般に受け入れられている国際法と規範を少数の国のハウスルールに置き換える試みである。
世界にはただ一つの国際システム、すなわち国連を中核とする国際システムが存在する。国際秩序はただ一つ、すなわち国際法に裏打ちされた国際秩序である。そしてただ一つのルール、つまり国連憲章の目的と原則に裏打ちされた国際関係を支配する基本的なルールが存在するのである。
ルールと秩序を論じる前に、米国はまず、国連通常予算10億ドル、平和維持分担金14億ドルの滞納分を支払うべきである。 そして国連子どもの権利条約と女性差別撤廃条約を適時に批准すること、生物兵器禁止条約(BWC)の検証プロトコルに関する交渉を独断で妨害することをやめること、違法な一方的制裁を解除すること、国際的な義務を真摯に履行すること、法律と規範を尊重し、他の国々の模範になるべきである。
Source: fmprc.gov.cnEditor: huaxia2022-06-19 22:19:29
https://english.news.cn/20220619/edf2556087954b8d90440b077a3c3c21/c.html