No. 1562 ヨーロッパは制裁による自殺をする

ヨーロッパは制裁による自殺をする

Europe Commits Suicide-by-Sanctions

by Representative Ron Paul

スイスで若い女性が電話で話している掲示板がソーシャルメディアで話題になっている。掲示板の文字は「隣人がアパートを19度(66F)以上に暖房していますか?お知らせください」とある。スイス政府はこのポスターをフェイクだとして否定しているが、スイス国民があえて家を暖めることで受ける罰則は非常に現実的である。スイスの新聞『Blick』によると、19度の暖房制限を破った人は、3年間も刑務所に入る可能性があるという。

自宅を暖房すると刑務所行き?この「自由」な世界で? スイスをはじめとする西側諸国が史上最高の経済的成功を収めた2022年に、ヨーロッパ大陸が暗黒時代のような冬に直面するのはなぜだろう?

制裁だ。

戦争に代わるあまり破壊的ではない方法として、主に戦争反対派によって長い間制裁が推進されてきたが、制裁は現実には戦争行為である。介入主義や戦争でわかるように、その結果しばしば意図しない結果となり、反動さえ起こり得る。

今年初めのウクライナ侵攻に対する欧州の対ロシア制裁は、制裁がいかに意図しない結果をもたらすかを示す典型例として歴史に残ることになるだろう。ガスや石油の輸入を止めることでロシアを罰しようとする一方で、欧州連合の政治家たちは欧州がロシアのエネルギー供給に完全に依存していること、そしてその輸入が止められた場合に被害を受けるのは欧州の人々自身であることを忘れていたのである。

ロシアはただ単に南と東に軸足を移し、中国やインドなどにたくさんの新たな買い手を見つけた。実際、ロシアの国営エネルギー企業ガスプロムは今年上半期に利益が100%増加したと発表している。

ロシアが豊かになっていく一方で、ヨーロッパ諸国は凍てつく冬と経済崩壊に直面している。これらは全て、制裁は他国を自分の思い通りに動かすための費用のかからない方法だという誤った信念のせいである。

愚かな政府の政策によってエネルギー料金が高騰し、経済が停滞しているのを国民が見たらどうなるだろうか?人々は自暴自棄になり、抗議のため街に立つ。

今週末、数千人のオーストリア人が「フリーダム・ラリー」を開催し、制裁の中止と今年初めに開通目前となったガスパイプライン、ノルド・ストリームIIの開通を要求した。先週は推定10万人のチェコ人がプラハの街頭でNATOとEUの政策に抗議した。フランスでは、ウクライナでロシアを「打倒」するという名の下、自国の経済を破壊することに抗議して再び「黄色いベスト」が街に戻ってきた。ドイツやセルビアなどでは、抗議デモが活発化している。

ワシントンポスト紙でさえ、ロシアへの制裁が意図した効果を発揮していないことを認めざるを得なくなっている。昨日の記事で、同紙は、制裁は以下のようなものを与えていると懸念している。

   ロシア国内だけでなく、国外も巻き添えを食い、制裁を行う国そのものを傷つける可能性がある。プーチンを抑止し弱体化させるための制裁が、結果的にプーチンを強化することになりかねないと懸念する人さえいる。 

これはすべて予測できた。制裁は殺人だ。破壊の対象となった国で罪のない人々が殺されることもあれば、制裁を課している国で罪のない人々が殺されることもある。解決策はいつものように不干渉だ。制裁をしない。「カラー革命」もやらない。干渉もしない。本当に簡単なことなのだ。

http://ronpaulinstitute.org/archives/featured-articles/2022/september/12/europe-commits-suicide-by-sanctions/

https://www.globalresearch.ca/europe-commits-suicide-by-sanctions/5793339