No. 1577 世界はこうして終わる

世界はこうして終わる

私たちは何か新しく恐ろしい崖っぷちに立たされているように感じないか?

あなただけではない

by James Howard Kunstler

多くの人が口にする「シンギュラリティ(特異点)」は、彼らが考えているようなものではない。人間の知性とビル・ゲイツのオフィス製品が融合し、あなたの人事部から新しい多様性、包括性、平等性に関する覚書が無限に送られてきて恍惚とする涅槃の境地に至る、というようなことではないのである。そうではなく、金融の黒魔術師たちが自分たちがこれまで蹴ってきた言葉の缶に、シュレディンガーの猫(1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが発表した物理学的実在の量子力学的記述が不完全であると説明するために用いた、猫を使った思考実験)のエサが入っていたことを発見する魔法の瞬間のことだ。そして彼らが蹴ってきた道は、実は自分たちの立派な資格のある尻で行き止まりになっていることに気づく魔法の瞬間だ。経済学は、それからは決して同じようにはならないだろう。

債券市場の低迷は、金融化という大きなゲームの終焉を告げている。株式市場という小さなフグに比べれば、債券市場は白鯨だ。世界の通貨制度は債券に基づいている。債券とは…何だろう?そう、ローンだ。将来のある時点でXを支払うという約束である。では、支払いの約束の連鎖が壊れたらどうなるのだろうか。いや、もっと正確に言えば、これらすべての約束が、信頼できる実体の最後の一片を失ったとき、どうなるのだろうか?その時、約束を破った通貨は本質的な信用を失ってしまう。さて、ここで質問だ。無価値なお金にどれだけの価値があるだろうか?(答え:シュレディンガーのキャットフードを1缶も買えない。)

このばかげた考えのせいで西洋文明(そしてそれ以外も)の多くの一般人が、家族を養い、家主に支払うために、ますます価値のないお金をかき集めようとしている。多くの人は何が起こったのかを理解することは決してないだろう。しかしその結果に対する怒りが収まることもないだろう。

これが帝国末期のホワイトハウスに出没する子供だましの心霊体「ジョー・バイデン」という不運な幻影による世界の終わり方である。どういうわけか騙された国民は、これまで最高人物の背後にいる裏方によって仕掛けられた悪戯や罰を受動的に受け入れてきた。8%強のインフレ?問題ない、よね?8万5千人の国税庁職員が新たに加わり、あなたの家庭と後世を破壊しながら、あなたを狂わせる(ハ!)? 南米の人口の半分が国境を越えて押し寄せてくる?(活気がでる!嫌なのか?) ガソリン給油に100ドルもかかり、この冬は暖房もなし? (でも……Netflixがある!)ドラッグクイーンが性的異常の狂乱した領域についてあなたの子供を楽しませ、教育する。そして、もしこれらのことであなたの心を動かすことができなかったら、あなたの尻にロシアの極超音速核ミサイルをぶち込むというのはどうだろう?(だからロシア、ロシア、ロシア……!)。

一方、他の国でもその傾向は明白だ。まずスウェーデンで、そして今度はイタリアで、国民は「右翼」国家主義政権に投票し、恐ろしいことに、わがカオス党(米民主党)に相当する党を降板させた。これには欧州連合(EU)のウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)大統領も大激怒だ。彼女はイタリアを外に追い出し、夕食抜きだと脅している。もちろん、マダム・フォン・デア・ライエンの仲間のドイツ人は、すでにジャガイモ料理もなく部屋に送られ、さらにヘンゼルとグレーテルには暖房も熱いシャワーもない。この最悪な状況を受け入れろ。

ここ米国でもそのような事態が起こっていると考えて間違いない。気温が下がり、小さな妖怪たちが家に帰って部屋の中が外と同じ温度だったらハロウィーンはそれほど楽しいものではなくなるだろう。リトル・スキッピーの顔が青くなったのは、ロバート・ブルースの格好でお菓子をもらいに行ったからではないのだ。

前述した「カオスの党」は、前回の大統領選挙を襲った一団であり、11月8日の中間選挙で自分たちの方向に票を集めるためにきっとたくさんの回避策を実行しようと準備しているのはまちがいない。彼らの前に出るものはいない。彼らのアバターの一人であるポッドキャスターのサム・ハリスは、1ヶ月前にはっきりとこう言った。“左翼が我々全員にその意思を押し付け続けることができるようにするためには、嘘やごまかしは完全に倫理的である”。おっと!彼はシュレディンガーの猫を仮定の袋から出してしまった。モラルが改善するまで罰を与え続けなければならないのだ!(仕事を楽しんでいることを願うよ、サム)

そして始まる……ホラー映画の始まりのように、一家が経営する牧場、家財道具、子供、母親、父親、そしてゴールデンレトリバーと、すべてがテレビの中の量子ポータルを通じて宇宙から吸い出されるのである。今日は市場、明日は我々の愛する国が、取り立て屋のエイリアンの侵略のようなものに蹂躙されるのだ。これが世界の終わり方だ…音を立ててではなく… 物理の授業で終わる。シュレディンガーの猫の孤独な鳴き声だ。

This Is the Way the World Ends