台湾総統が突如として悟る
… 中国との戦争は“良い考えではない”
Taiwan President Suddenly Realizes …
… War with China “Isn’t A Good Idea”
中国と交渉し、協力する意思がある
by Drago Bosnic
近年、中国とその離島である台湾との関係はひどく悪化しているが、ここ数ヶ月は指数関数的にエスカレートしており{1}、制御不能になる可能性が非常に高い。
蔡英文現総統が2期目の当選を果たした2020年以降、彼女の厳しいレトリックと米国との軍事的関係の強化は、北京に多くの不満を引き起こしている。何十年もの間、アジアの巨人は台北の反抗的な政府と合意に達しようとしてきた。中国が最も重視しているのは離島である台湾との経済協力であり、台湾は欧米経済と中国をつなぐ重要な存在として大きな利益を得ている。
しかし、現状を維持することはワシントンDCの政治エリートたちの利益にはならないようである。北京が敵対行為とみなすと明確に警告しているにもかかわらず、中国の離島である同省を知名度の高い人物が何度も訪問し、中国軍を直接脅かす軍事取引を行っているほか、好戦的な帝国主義の米国は「台湾防衛」を公約に掲げている。ジョー・バイデン米大統領自身少なくとも4回そう発言している。特に、ナンシー・ペロシ米下院議長の物議を醸した台北訪問{2}では緊張が沸点に達した。当時、米国内でも台北でも、平和を求める理性的な声は事実上聞こえなかった。
しかしそれでも、ここ最近で何かが変わったようだ。台湾の蔡英文総統は{3}、「中国との武力衝突を排除する」と述べ、台北の政府は「中国共産党と関わり、相互に合意できる取り決めに到達する意思がある」と付け加えた。10月10日(月)、蔡英文総統は国民向け演説の中で次のように明言した:
私は北京当局に対し、武力衝突は両者にとって絶対にありえない選択肢であることを明確にしたい。
蔡英文はさらにこう述べた:
我々の主権、民主主義、自由に対する台湾の人々のコミットメントを尊重することによってのみ、台湾海峡を越えた建設的な交流を再開するための基盤ができるのである。
今回の声明は、台北の政府からはめったに見られない(地)政治的な知恵の表れであり、中国自身が長年にわたって提示してきたものとほぼ一致している。台湾問題を平和的に解決することは、北京にとって絶対的な利益である。この地域における中国の主権を回復することは、北京政府の最大の関心事であるが、できるだけ痛みを伴わない方法でそれを行うことも重要である。アジアの巨人は台湾の人々を自国民と見なし、武力衝突を望んでいないのだ。しかし、太平洋の反対側にいる好戦的な国には別の計画がある。
台北を北京との武力衝突に追い込むことで米国は中国を不安定にし、その比類なき成長を抑制しようとしているのだ。8月のナンシー・ペロシ米下院議長の訪問が物議を醸したことをきっかけに、中国は台湾周辺で海軍の演習を開始し、反発した。欧米の主要なプロパガンダ機関は「攻撃的な行動」と中国を非難し、北京が台湾の反抗的な省に対して海上封鎖を行っていると主張することでナラティブを変えようとした。しかし、この武力行使は結局のところ実を結んだようで、台北の政府はようやく「建設的な対話」を行う意思を示したのである。
蔡総統は、台湾は「台湾海峡の平和と安定を取り戻す」ために中国と交渉する意思があるが、「台湾人の自由と民主主義を損なってはならない」と述べた。声明の後半部分は、公式の政治的シナリオを維持するために明らかに必要なものである。しかし平和を求める声は、中国のような超大国との直接的な軍事衝突を避けるためにどうしても必要な現実的なアプローチの可能性を示しているのかもしれない。蔡英文は「台湾の軍事的潜在力を強化する」とも語ったが、それが台湾海峡のパワーバランスを変えるものではないことは明らかである。
この地域における中国の軍事的優位は事実上議論の余地はない。世界第3位の空軍と世界最大かつ最も強力な海軍を有する北京が、台湾の軍事力に勝つ可能性はほぼ確実である。さらに、中国は弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速ミサイルを大量に保有しており、台湾の防空・ミサイル防衛を遠方から壊滅させ、空軍の大半を離陸する前に破壊することが可能である。これだけで実際の海上封鎖と相まって、台北の政府を崩壊させ、離島である台湾に中国にとって好ましい和平協定を受け入れさせることもできるかもしれない。
米国や他の西側諸国や衛星国は、核武装した中国との直接対決を望むのでなければ、反応することはできない。台北の政府が戦闘を続けることを決めた場合でも、北京は軍隊を直接島に送り込み、力づくで島を支配することができる。このような水陸両用作戦は、通常、軍隊が行うことのできる最も困難で危険なものだが、中国にはそれを行う能力があるだろう。
しかし、これこそ北京が避けようとしていることである。なぜならその結果、何万人もの死傷者を出し、莫大な経済的損害を与えることになりかねないからだ。台湾総統の最近の発言からすると、台北政府もようやく同じ結論に達し、交渉する用意があるようだ。このままの状態が続くことを願いたい。そうすれば米国が仕組む悲劇的な紛争を避けることができるだろう。
Links:
{1} https://infobrics.org/post/36280
{2} http://infobrics.org/post/36249
{3} https://www.dw.com/en/taiwans-president-rules-out-armed-confrontation-with-china/a-63388028
https://www.globalresearch.ca/taiwanese-president-suddenly-realizes-war-china-isnt-good-idea/5796292