No. 1630 コロナ死、米国vs中国

病んだ資本主義の症状

by Finian Cunningham

米国とヨーロッパにおけるおびただしい死者数は、ウイルスというよりも資本主義の精神病という基礎疾患によって引き起こされている。米国における新型コロナのパンデミックによる死者数は現在110万人をはるかに超えている。新たな集団感染と免疫抵抗性ウイルスの亜種の増殖により、パンデミックの3回目の冬を迎えても死者数は増加し続けるだろう。

ヨーロッパも同様に、2020年初頭に世界的流行が宣言されて以来数々の変異を繰り返してきたSARS-Cov-2と呼ばれる新型コロナウイルスによる病気と死者が増加するという暗い見通しに直面している。とはいえ欧米の政府はパンデミックは終わったことにして、国民は「コロナとともに生きる」という方針を採っている。

この数字を整理してみよう。権威あるジョンズ・ホプキンス大学の発表{1}によれば、この病気による世界の総死亡者数は660万人と推定されている。米国の人口は世界の4.2パーセントに過ぎないが、米国の死者数は110万人で世界全体の16パーセントを占めている。

同じデータベースによると中国の新型コロナによる死亡者数は約5,200人である。これは驚くことに3桁も少ない。中国は米国の4倍近い人口があるにもかかわらず死亡者数は米国の0.5%以下である。

中国の人口は14億人で地球上の約18.5%にあたる。つまり中国の新型コロナによる死亡者数は、世界の死亡者数の約0.00006パーセントということになる。繰り返すが、米国のコロナ死者数は世界の約16パーセントである。

合理的な考えを持つ人なら、このような大きな格差の理由を探りたいはずだ。しかし、企業メディアが批判的思考を抑圧する機能を持つ欧米ではそうではないようだ。

米国と中国の数字が対照的で衝撃的なのは、資本主義と社会主義の違いに起因している。

米国は、資本主義的なヨーロッパの同盟国と同様、公衆衛生よりも個人の利益を大きく優先している。

西側諸国の政府は、「通常」運行に戻ることを急いでいる。彼らはワクチンだけの解決策に頼ってきたが、パンデミックが自国民の間で再流行するにつれ、それが無益であることが明らかになった。

西側諸国を悪化させたのは、新型コロナという病気の実態を否定したことである。ドナルド・トランプ元大統領のような多くのアメリカ人は、ウイルスをデマと見なし、マスクの着用やワクチン接種を「個人の自由への権利」の侵害とみなしている。

資本主義の利益回復を急ぐあまり、欧米では政治が分裂し、コロナウイルス撲滅のための首尾一貫した効果的な公衆衛生管理戦略の実施に支障をきたしているのである。

これに対し、中国は一貫して「ゼロ・コロナ政策」を実施してきた。中国の社会主義政府は、資金と人材を投入して、この病気を根絶するための包括的な戦略を追求している。 発生都市の封鎖、ハイテク通信を利用した大量追跡、公開検査の普及などである。また、中国人は、他人を守り、共通の利益のために集団で働き、致命的な病気を打ち負かすという理性的、倫理的な思考を示したことは賞賛に値する。

中国での検疫は確かに通常の日常生活や旅行には不便である。 (私は最近中国に行ったが10日間隔離された。)しかし結果的には検疫が病気を封じ込め、軽減するのに役立っているのである。欧米に比べてパンデミックによる死者数が少ないことは、中国の公衆衛生保護が成功していることを示している。

中国の習近平国家主席は、自国のゼロ・コロナ政策の礎は公衆衛生の保護であると述べている。短期的な商業的配慮は二の次なのだ。社会的、長期的な経済の時間軸で考えると、中国の政策は倫理的であると同時に、より実行可能である。欧米のパンデミックによる死と苦しみが示すように、資本主義の利潤追求の優先は社会レベルでは自滅的である。

パンデミックをめぐって資本主義が失敗しているのには、ちゃんとした科学的理由がある。欧米政府のいわゆる「コロナと共に生きる」姿勢は、ウイルスの存続を許し、それによってより致死的な亜種に変異する。さらに気がかりなのは、オミクロンBA.5のような新しい亜種が高いレベルの免疫抵抗性を示していることである。コロナワクチンを開発するために、何十億ドルというドルやユーロを民間製薬会社のために費やした後、これらのワクチンは余分なものになってしまうかもしれないのだ。

今月初めに発表された新しい研究{2}は、新型コロナの再感染が、心臓、肺、その他の臓器の他の病気による長期間の病気と死亡率の上昇につながっていることも示している。再感染は、パンデミックの持続に伴い、米国とヨーロッパで増加しているようである。

ロイターの研究報告によると 再感染した患者は、コロナに1回だけ感染した患者と比較して、死亡リスクが2倍以上、入院リスクが3倍以上であった。また、肺、心臓、血液、腎臓、糖尿病、精神衛生、骨と筋肉、神経障害などの問題のリスクも上昇していたことがNature Medicineに掲載された報告で明らかになった。

中国が新型コロナの管理と国民の保護に見事に成功したのは、まさにその政府が社会主義的な政策を堅持してきたからである。西側のメディアが「ゼロ・コロナ政策」をめぐって、中国が欧米の資本主義を模倣していないとして{3}中国を非難する傾向があるのはひどいというよりも、むしろばかげたことなのである。

米国とヨーロッパにおける恐ろしく不必要な死者の数は、ウイルスによってというよりも資本主義的な精神病の根本的な病気によって引き起こされているのである。人道的で倫理的な健康政策を行う義務を怠ったことによる、無神経で意図的な殺戮は卑劣で犯罪的な結果である。

ウイルスのせいにしてはいけない。非難すべきは資本主義と私利私欲のために国民を進んで犠牲にするその政治的手先である。このシステムは反人間的であり、どんな基本的な道徳的観点からも非合理的である。歴史のこの瞬間にも社会的組織原理としてこれまで以上に失敗しているのだ。

この病んだ政治制度だからこそ、米国とそのヨーロッパの「パートナー」は、ますます絶望的になっている自国民に食べ物や住宅や保護を実際に提供するのではなく、ロシアに対するウクライナや中国に対する台湾での流血戦に資金を提供するのである。

Links:

{1} https://coronavirus.jhu.edu/map.html

{2} https://news.yahoo.com/repeat-covid-riskier-first-infection-160323961.html

{3} https://fair.org/home/us-media-searched-for-crisis-at-china-party-congress/

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https://strategic-culture.org/news/2022/11/19/us-versus-china-covid-deaths-symptom-diseased-capitalism/