No.1679 バイデンはウクライナに米軍を派遣するよう脅迫されているのだろうか?

Is Biden Being Blackmailed …
… to Send US Combat Troops to Ukraine?

by Mike Whitney

億万長者のエリートはその権力をメディア、政治家、世論に対して使い、ロシアに勝たせないために米軍をウクライナに派遣するようジョー・バイデンに強要している。バカな保守派は、バイデンの違法疑惑を正確に報道することでたまにはメディアが本当に仕事をしていると思っている。しかし実際にはメディアはエリート主義者のアジェンダを追求するためにいつでも立場を変えることができるということを示しているだけなのだ。

ジョー・バイデンの“機密文書問題”が浮上したのが、ウクライナの重要都市(ソレダール)がロシア軍によって解放されたのと同じ時期だったことに誰も驚いてはならない。前線からの最近の報告はすべて、ロシア軍がウクライナ東部でより多くの領土を着実に奪取している一方で、劣勢にあるウクライナ軍に多大な犠牲を強いていることを示唆している。つまりウクライナ軍はひどく打ちのめされており、米国の戦争計画者はアプローチの見直しを迫られている。ロシアとの代理戦争で勝利するためにアメリカがすべきことはNATOがロシアとの地上戦に直接参加しないという暗黙の了解のもと、戦闘部隊を投入してくれる連合国(アメリカ、ポーランド、ルーマニア、イギリス)を参加させることである。バイデンは以前、ウクライナに軍隊を派遣することは第三次世界大戦を始めるに等しいと認め、その考えを否定していた。しかし、「機密文書」スキャンダルが勢いを増すにつれ、従順な大統領はタカ派外交政策体制が要求することなら何でもするようになる可能性が高い。要するに、この文書騒動は、自分たちの狭い利益を追求するために大統領を脅迫している裏の権力者たちによって利用されているのである。 彼らは、「ブランドン」(バイデンの愛称)を不利な立場に立たせているのだ。

ほとんどの読者はハンター・バイデンのラップトップには、バイデン家の膨大な影響力行使に関連する豊富な情報が含まれていることを覚えているだろう。この情報はすべて2020年の大統領選挙でバイデンが勝利するための道を開くために主流メディアが意図的に隠してきたものである。ではなぜラップトップの話が完全に葬り去られる一方で、この新しいスキャンダルがトップニュースになったのだろうか?上院で最もタカ派のネオコン、例えばリンジゼー・グラハムは、ラップトップの卑劣な詳細を明らかにするような努力もしなかったのに、なぜ「特別顧問」を要求しているのだろうか?以下、Zero Hedgeの記事からの引用である。

     上院司法委員会の幹部リンゼー・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は2日、メリック・ガーランド司法長官に対し、バイデン大統領が副大統領を務めていた時の機密文書の取り扱いを調査する特別弁護人を任命するよう要求した …

     “もしあなたがドナルド・トランプによる機密文書の取り扱いについて国民を納得させるために特別弁護人が必要だと考えるなら、バイデン大統領が副大統領を務めていた時の機密文書の誤処理にも特別弁護人を適用すべきだと思う “と、グラハムはFox NewsのMartha MacCallumとのインタビューの中で語った …

   “ガーランド、もしあなたが聞いているならトランプ大統領に関して特別弁護人を任命する必要があると考えたなら、機密情報の取り扱いに関してバイデン大統領についても全く同じことをする必要がある “と、グラハムは言った。{1}

では、今リンゼー・グラハムは真実と透明性の擁護者なのか?

笑わせないでほしい。

もしバイデンが明日ウクライナに米軍を派遣すると発表したら、グラハムは直ちに特別弁護人の要請を取り下げると断言できる。これはウクライナに関することであって機密文書や大統領の潜在的な違法行為についてではない。そしてあなたがバイデンのことをどう思っていようと、彼は第三次世界大戦を始める大統領になりたくないのだ。残念ながらメディアや政治家、そして国民の富の大半を支配するエリートは、対立を拡大させようと決めている。だからこそメディアのシナリオは先週、劇的に変化したのだ。CNNの記事からの短いクリップを見てみよう。CNNは今まで、過去11ヶ月間、「ウクライナは勝っている」というネタをノンストップで流してきたのだ。

「状況は危機的だ。難しい。我々は最後の力を振り絞っている」と兵士は語った。

この兵士は第46航空機動旅団の出身でロシア軍とワグネル傭兵の大規模な襲撃に直面しながらソレダールを保持するためのウクライナの戦いを指揮している・・・この兵士はウクライナの軍事指導者がいずれソレダールの戦いを放棄すると信じていると述べ、なぜまだそれをしないのかと疑問を呈した。

「誰もが、この都市が見捨てられることを理解している。誰もがそれをわかっている」と述べた。「私はただ、(一軒一軒の家で戦うことに)何の意味があるのか理解したいだけだ。今日や明日にどうせ見捨てられるのなら、なぜ死ぬのか」 …「死者や負傷者が何人いるのか、誰も教えてくれない。なぜなら、誰も確かなことは知らないからだ。誰一人として」と彼は言った。「本部も知らない。どこも知らない。陣地は絶えず占領され、再奪取されている。今日、私たちの家だったところが、次の日にはワーグナーの家になるのだ」。

「ソレダールでは、誰も死者を数えない」とも言った。「状況は危機的だ。難しい。私たちは最後の力を振り絞っている」と兵士は言った。{2}

報道の違いがわかるだろうか?もう「勇敢な」ウクライナ人が残忍なロシアのオークを打ち負かすという話はない。その代わりに、ウクライナは負けていて、それもひどく負けているという冷厳な真実が伝えられている。しかしこの突然の「シナリオ・シフト」をどう説明すればいいのだろうか?そしてなぜワシントン・ポスト紙は、ジョージ・W・ブッシュ政権の生粋の戦争屋2人に、ロシアの冬の攻勢を食い止めるための緊急軍事支援を熱烈に訴える場を提供したのだろうか?このようにコンドリーザ・ライス前国務長官とロバート・ゲイツ前国防長官は、ドンバスのウクライナ軍の崩壊を防ぐための緊急支援を必死に、最後の手段で訴えているのだ。

「ウクライナの戦争について言えば、今確実なのは戦闘と破壊が続くということだけだ……ウクライナの侵攻に対する対応は英雄的であり、その軍事力は素晴らしいものだったが、同国の経済は荒廃し、何百万人もの国民が避難している。 ウクライナの経済は破綻し、何百万人もの国民が逃げ出し、インフラは破壊され、鉱物資源や工業能力、かなりの農地がロシアの支配下にある」

ウクライナの軍事力と経済は、今やほとんどすべて西側(主に米国)からのライフラインに依存している。現状では、交渉による停戦を行ったとしても、ロシア軍はいつでも侵略を再開できる強い立場に置かれることになるだろう。それは容認できない。

このようなシナリオを回避する唯一の方法は、米国とその同盟国が、ロシアの再攻撃を抑止し、ウクライナが東部と南部でロシア軍を押し返すのに十分な、軍事物資と能力の劇的な増加を緊急にウクライナに提供することである…

NATO同盟国はさらに、長距離ミサイル、高性能ドローン、大量の弾薬(砲弾を含む)、偵察・監視能力の向上、その他の装備をウクライナに提供すべきである。これらの能力は数カ月ではなく数週間のうちに必要である。将来においてロシアとの対立を回避するために、今ウクライナが侵略者を押し返すのを助ける必要がある。{3}

通常、政治支配者層の年長者たちはもっと自制して発言をするがここでは違う。これは純粋に、臆面もなく自暴自棄に陥っている。ライスとゲイツはウクライナは悲惨な状況にあり、経済とインフラは崩壊し、数百万人が国外に脱出し、国の天然資源のほとんどがロシアの支配下にあると、はっきりと断言している。これは大失敗であり、ゲイツとライスは戦争に勝つ見込みのない破綻国家にさらに兵器を投入することで対処しようとしている。これは辻褄が合うだろうか?

こうしている間にも、ウクライナの前線は崩壊しつつあり、同じように戦争は自国の宣伝機関の熟練度によって決まるという幻想が崩れつつある。 残っているのはこの戦争で最も血生臭く、最も重大な火種であるバフムート(東部の輸送拠点)で、ロシア軍が本質的に優勢になりかけているという見通しであり、それはこの作戦全体の転換点となる可能性が高い。ムートが陥落すればウクライナ軍は第3、第4防衛線への後退を余儀なくされ、戦況はドニエプル川、そしてキエフへとますます接近していくだろう。チェッカーフラグが徐々に見えてきた。しかし私の言葉を鵜呑みにしないでほしい。確かな情報を提供しよう。ウクライナ軍総司令官、ヴァレリー・ザルジニー将軍のインタビューからの抜粋である。

    ザルジニー将軍は、「ロシアの動員はうまくいった」と言う・・・「敵を軽視してはいけない。彼らは決して弱くはないし、兵力の面でも非常に大きな可能性を持っている」。動員によってロシアはより頻繁に前線に出たり退いたりすることができ、休息と回復が可能になったという。「この点で、ロシアは優位に立っている」。 

したがって、「すべては供給量に依存し、これが戦闘の成否を決めることが多いのだ」。新しい軍隊を育成するザルジニー将軍は、ウィッシュリストを読み上げる。「この敵に勝てるのは分かっている。しかし、資源が必要だ。戦車300台、IFV(歩兵戦闘車)600-700台、500の榴弾砲が必要だ」。彼が欲している兵器はヨーロッパのほとんどの軍隊の装甲部隊の総数よりも多い。

しかし、ウクライナと西側諸国の政府関係者は内々では他の結果もあり得ることを認めている。ザルジニー将軍は、「我々はもっと多くの領土を奪うことができるし、そうするべきだ」と主張する。しかし彼はロシアの前進が予想以上に強いか、ウクライナが思ったより弱い可能性もあることを遠回しに認めている…。

「我々は崖っぷちに立たされているようだ」とザルジニー将軍は警告する。「彼らがキエフに再挑戦することは間違いないだろう」。「子供たちは凍え始める」と彼は言う。「戦闘員たちはどんな気分だろう。水も光も熱もない状態で、戦闘を続けるための予備役の準備について話すことができるだろうか? {4}

これは成功の見込みに自信のある将軍のように聞こえるか、それとも敗北を運命的に諦めている軍事指導者のように聞こえるだろうか?

ザルジニーが言っているのは、ロシア軍に対抗するためには全く新しい軍隊が必要だということだ。(「資源が必要だ。 戦車300台、IFV600-700台、500の榴弾砲が必要だ」)。そして、彼の要求が満たされたとしても、ウクライナ国民は「水も光も暖房もない」暗闇の中で「凍える」ことになる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、これが800万人のウクライナ人がすでにヨーロッパに逃れ、さらに300万人がロシアに逃れている理由である。{5}

ワシントンの対ロシア戦争はこの国を居住不可能な荒れ地に変え、グローバリストのアジェンダへの断固たるコミットメントと引き換えに、外国の慈善事業によって完全にサポートされている。本当は、「私はウクライナを支持する」とは、「ワシントンがその邪悪な野望を達成できるように、繁栄する文明を徹底的に抹殺することを支持する」という意味なのだ。それが本当の意味である。

私たちはザルジニーを批判しているのではない、彼は自分の仕事をしているだけである。私たちが批判しているのはこの戦争を引き起こしておきながら、自分たちが作っている大惨事を決して予期しなかった米国の戦争屋とネオコンである。ウクライナの最高幹部がロシア軍を倒すためにまったく新しい軍隊を要求する日が来るとは、彼らは予想しなかったのだ。かつてないほどの包括的な経済制裁が裏目に出て、欧州の最も親しい同盟国を苦しめるだけとは予想だにしなかった。同じ制裁がロシアを豊かにし、米国の戦略的ライバルである国々との結びつきを強めることになるとは思いもよらなかった。中国やインドが米国の制裁を鼻にかけ、ロシアの安価なガスや石油をフルに活用して経済成長を図り、欧州が米国への不合理な愛着から来る永久不況に陥るとは考えもしなかったのだろう。これらのことを彼らは全く予期していなかった。このことから、ウクライナの策略は、おそらくアメリカ史上最大の戦略的大失敗につながる、史上最も計画性のない外交政策の失敗であると結論づけられる。

ウクライナの出来事をよく観察している人にとっては、私が言っていることの多くは自明のことに思えるだろう。メディアの報道を鵜呑みにしている人たちは、これから起こる出来事に非常に驚くことになると思う。軍隊を使った地上戦の結果は、『ニューヨーク・タイムズ』のフィクション作家が決めるものではない。ウクライナの戦争は最も強力な側に有利に終わる、それだけは確かである。NATOと米軍のコンセプト開発と実験でモデリングとシミュレーションを担当した、戦闘経験豊富なアレックス・バーシニン米中佐による簡潔な要約を参照されたい。

消耗戦は敵の資源を破壊しながら、自国の資源を注意深く管理することによって勝利する。ロシアは、膨大な物資の優位性と、損失を維持し代替するためのより大きな産業基盤を持って戦争に突入した。彼らは、戦術的な状況が不利になるたびに撤退し、資源を慎重に保存してきた。ウクライナはより少ない資源プールで戦争を開始し、その戦力を維持するために西側連合に依存した。この依存体質がウクライナに圧力をかけ、戦術的に成功した一連の攻勢を引き起こし、戦略的資源を消費させたが、ウクライナはこれを完全に取り返すのに苦労するだろうと私は見ている。本当の問題は、ウクライナがすべての領土を取り戻せるかどうかではなく、ロシア国内の結束を弱め、ウクライナの条件での交渉のテーブルにつかせるために、ロシアの動員予備軍に十分な損失を与えられるか、あるいはロシアの消耗戦略が働いてウクライナのさらに大きな部分が併合されるかどうかである。{6}

ロシアが軍事作戦の開始時にミスを犯したかどうかという問題は、現在起こっていることに対する理解を形成するのに役立つ。考えてみてほしい。プーチンは9月に30万人の予備兵を追加招集した。これは任務を遂行するために必要な戦闘部隊の数を誤って計算していたことを認めたことになる。しかし、今、彼はその間違いを正した。なぜ30万人の予備兵を招集し、彼らが部隊に合流して攻撃作戦の準備が整うまで戦争を保留にしたのだろうか?

我々が言いたいのは簡単なことだ。プーチンは今、軍事力で仕事を終わらせるために必要な軍隊を集めている。簡単に言えば、準備万端ということだ。実際、プーチン軍はすでに東部で大きな前進を遂げており、火曜日には重要な都市が解放された (ソレダー)。こうした地域での勝利は、冬の間、そして春まで続くと思われる。戦車、装甲車、槍、パトリオット、その他の兵器システムの提供は戦争の結果に大きな違いをもたらすとは思っていない。ワシントンがウクライナでの屈辱的な敗北を防ぐ唯一の方法は、ロシア軍と戦うために戦闘部隊と航空戦力を投入することをいとわない国々の連合を主導することである。つまり、多くの人が当初から予想していた「真実の瞬間」、米ロの直接衝突が間近に迫っているのだ。

これこそ狂信的なネオコンが望む戦争であり、だからこそ彼らはバイデンの支持を強要するために「機密文書」を使っている。これは脅迫なのだ。

Links:

{1} https://www.zerohedge.com/political/second-cache-classified-biden-documents-found-different-location

{2} https://www.cnn.com/europe/live-news/russia-ukraine-war-news-1-10-23/index.html

{3} https://www.wvnews.com/time-is-not-on-ukraines-side/article_c98f4376-8eba-11ed-bdbb-03a784c39e89.html

{4} https://www.economist.com/ukraines-fateful-winter

{5} https://tass.com/world/1561229

{6} https://www.russiamatters.org/analysis/whats-ahead-war-ukraine

https://www.unz.com/mwhitney/is-biden-being-blackmailed-to-send-us-combat-troops-to-ukraine/