No. 1686 ウクライナ、それはすべてランド研究所の計画書に書かれていた

Ukraine, It Was All Written in the Rand Corp Plan

「アメリカの対ロシア計画は3年前に作られた」

by Manlio Dinucci

2022年3月12日にイタリアの新聞「イル・マニフェスト」に掲載されたマンリオ・ディヌッチによるこの鋭い記事は検閲の対象になっている。

今日、軍事的エスカレーションの危険性は筆舌に尽くしがたい。

現在ウクライナで起きていることは地政学的に重大な意味を持つ。私たちを第三次世界大戦のシナリオに導くかもしれない。

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マンリオ・ディヌッチの記事はイル・マニフェスト紙から検閲の対象とされている。以下はマンリオ・ディヌッチの返答である。

3月8日、オンラインで短時間掲載された後、マニフェスト紙の編集スタッフは私のコラム「戦争の芸術」を一夜にして消し去り、また紙版からも消滅させた。なぜなら私が「真理省」の指示に従わず、ウクライナ危機についての討論を求めたからである。

こうして、10年以上にわたってコラムを掲載してきたこの新聞社との長い協力関係は終わったのである。

読者の皆さんには、これからも別のルートで情報をお伝えしていきたい。              -マンリオ・ディヌッチ

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米国の対ロシア戦略計画は3年前にランド研究所(Rand Corporation)が策定したものである(マニフェスト『Rand Corporation: how to bring down Russia』(ロシアを崩壊させる方法)2019年5月21日)。ランド研究所はワシントンDCに本部を置く「政策課題に対する解決策を開発する世界的な研究機関」である。50カ国から採用され75の言語を話す1,800人の研究者やその他の専門家たちは北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ペルシャ湾のオフィスやその他の場所に分散している。ランド研究所の米国人社員は、25カ国以上の国で生活し、仕事をしている。

ランド研究所は自らを「非営利、超党派の組織」と称し、正式にはペンタゴン、米陸軍・空軍、国家安全保障機関(CIAその他)、他の国の機関、強力な非政府組織から資金提供を受けている。

ランド研究所は冷戦時代にアメリカがソ連に資源を消費させ、過酷な軍事的対決から勝利するための戦略を考案したことを自負している。このモデルが元になり2019年に新しい計画を練り上げた。「過剰拡張でロシアを不安定にする」、つまり、敵対国に過剰拡張を強いてバランスを崩させ、打ちのめすというものである。

これらがランド研究所の計画で示された主な攻撃ラインで、米国は近年、実際にこれに沿って動いている。

まず第一に、計画が定めているのは、ロシアのもっとも脆弱な側面、つまり経済がガスと石油の輸出に強く依存するというところを攻撃しなければならないといいうことで、この目的のために商業・金融制裁を行い、同時に、ヨーロッパはロシアの天然ガスの輸入を減らし、米国の液化天然ガスで代用するようにしなければならない。

思想・情報分野では、国内での抗議を促すと同時に、国外でのロシアのイメージを低下させる必要がある。

軍事面では、欧州のNATO諸国が反ロシアの機能を強化する作戦が必要である。米国は、対ロシア向けの戦略爆撃機や長距離攻撃ミサイルへの投資を増やすことで高い成功確率と高い利益を適度なリスクで得ることができる。ロシアに向けた新たな中距離核ミサイルを欧州に配備することは、高い成功確率を保証するが、高いリスクも伴う。

各オプションを望ましい効果が得られるように調整することで、結局ロシアは米国との対決で最も高い代償を払うことになるが、米国とその同盟国は他の目的から転用した大量の資源を投入しなければならない、とランドは結論付けている。

その戦略の一部として、ランド研究所の2019年計画はこう予測している。「ウクライナに致死的援助を提供することはロシアの対外的脆弱性の最大のポイントを突くことになる。しかし、アメリカが提供する武器やウクライナへの軍事的助言の増加は、ロシアはウクライナに近く大きな優位性を持つことになるため、より大きな紛争を誘発せずにロシアのコストを増加させるよう慎重に調整する必要があるだろう」。

しかし、まさにそこに亀裂が生じた。ランド研究所が「ロシアにとって最大の対外的脆弱性」と呼ぶ、「より大規模な紛争を誘発することなくロシアのコストを増大させるよう調整しなければならなかった」点である。モスクワの度重なる警告と交渉の提案を無視して米国とNATOがますます強化する政治的、経済的、軍事的な締め付けの中で、ロシアは軍事作戦で反応し、キエフの支配者ではなく米国とNATOの司令部が建設し管理していたウクライナの2千以上の軍事施設を破壊したのである。

3年前にランド研究所の計画を報じた記事は次のような言葉で締めくくった。「計画にあるオプションは、実際には同じ戦争戦略のバリエーションに過ぎず、犠牲とリスクという意味での代償は我々全員が支払うことになる」。私たちヨーロッパ人は、今それを支払っている。そしてもし私たちが、米国とNATOの戦略の使い捨ての駒であり続けるなら、もっともっと大金を支払うことになるだろう。

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マンリオ・ディヌッチは、イタリアのピサを拠点とする受賞歴のある作家、地政学者、地理学者。

https://www.globalresearch.ca/ukraine-was-all-written-rand-corp-plan/5773288