The War of Terror of a Rogue Superpower:
誰のために?
by Pepe Escobar
グローバルサウスにとってハーシュのレポートが印象付けたのは血のように赤い巨大な文字で書かれた「ならず者大国」であり、それはテロ支援国である。
頭のいい人なら誰でも米国がやったことだとわかっていた。今、シーモア・ハーシュの爆弾報告書{1}は、ノルドストリーム1と2がどのように攻撃されたかを詳述するだけでなく、毒をもつシュトラウス派の新自由主義者3人組のサリバン、ブリンケン、ヌーランドからテレプロンプターを読む大統領まで名前も挙げている。
ハーシュの叙述でもっとも輝く貴重な情報は、間違いなく、最終的な責任を直接ホワイトハウスに向けていることだ。その一部のCIAは罰せられない。この報告書全体はスケープゴートを作るためだと読める。非常に弱々しい見せかけのスケープゴートだ。ガレージの機密文書、虚空を見つめる果てしない視線、理解不能なつぶやきの山、そしてもちろん、ウクライナとその周辺における何年にもわたるおぞましいバイデン一家の汚職はまだ完全に明らかにされてはいない。
ハーシュのレポートはたまたまトルコ・シリアの大地震の直後に発表された。これこそが断層をまたぎ、無数の露天の亀裂、瓦礫の中で息づく真実の情報を明らかにする調査ジャーナリズムの地震そのものである。
しかし、それがすべてなのだろうか?この物語は最初から最後まで続くのだろうか?イエスでもありノーでもある。まず第一になぜ今なのか?これはリークであり、本質的にはハーシュの重要な情報源であるディープ・ステートの内部関係者の一人からのものだ。この21世紀の「ディープ・スロート(内部告発者)」のリミックスは、システムの毒性に愕然とするかもしれないが、同時に彼が何を言っても何も起きないことを知っている。
臆病なベルリンは、ずっと計画の肝心なところを無視して、声もださないだろう。結局のところ、「緑の党」は有頂天に喜んでいる。このテロ攻撃によって、彼らの中世的な脱工業化政策が徹底的に推進されたからだ。それと並行して、他のヨーロッパの家臣たちは、もし主人の声に従わなければこれが自分たちを待ち受けている運命だということをさらに確認している。
ハーシュの話はノルウェー人をテロに不可欠な付属品として仕立て上げている。驚くにはあたらない。NATOのイェンス・ストルテンベルグはおそらく半世紀にわたってCIAに情報を提供していた。オスロにはもちろん、この取引に参加する独自の動機があった。自国にある予備のエネルギーを絶望的なヨーロッパの顧客に売って、余分な現金をたくさん集めようとしたのだ。
しかし少し話が合わないのはノルウェーは米海軍とは異なり、まだP-8ポセイドンを運用していないことだ。当時、米国のP-8が米国からボーンホルム島へ空中給油をしながら往復していたことは明らかであった。
ハーシュが、いや、むしろ彼の重要な情報源が、MI6を物語から完全に消し去ったことは面白い。ロシア情報庁(SVR)は当時、ポーランド人と同様にMI6にレーザーのように焦点を合わせていた。「バイデン」の背後にいる人々が計画と情報を提供し、物流を調整し、最後の行為(この場合、ソナーブイでC4爆薬を爆発させた)はノルウェーの家臣が行ったかもしれないというのが今でも物語を結合する要因だ。
問題はこのブイがアメリカのP-8によって投下された可能性があることだ。そして、なぜノルドストリーム2の一部分が無傷だったのか、その説明もない。
ハーシュの手口は伝説的である。1990年代半ばからアメリカ、NATO同盟国、ユーラシア大陸の隅々まで取材してきた外国特派員の立場からすれば、彼が匿名の情報源を使い、膨大なコンタクトリストにアクセスし、それを保護する方法を理解するのは簡単なことだ。彼の実績は他の追随を許さない。
しかし、もちろん可能性は残っている。もし彼がだまされていたら?これは単なるたまり場にすぎないのか?結局のところ、この物語は細部と行き詰まりの間で激しく揺れ動き、常に膨大な書類の痕跡と関係者の多さを特徴とし、それは誇張されたリスクを意味する。 特に、このような作戦に理想的な水中活動家は、米海軍ではなくCIAの特別活動部であることが分かっている場合はなおさらだ。
ロシアはどうするのだろう?
おそらく地球全体がロシアの反応がどうなるかを考えている。
チェス盤を調べると、クレムリンと安保理が見ているのはメルケル首相がミンスク2が単なる策略であったことを告白していること、ノルドストリームを帝国が攻撃したこと(彼らは構図は理解したが、ハーシュの情報源が提供する内部情報をすべて知っているわけではないかもしれない)、イスラエルのベネット元首相が昨年のイスタンブールで軌道に乗っていたウクライナの和平プロセスを英米がいかに破壊したかを詳細に記録していることだ。だからロシア外務省は、米国との核交渉に関して、提案された親善のジェスチャーはすべて「不当な、時期を失した、余計な」ものだと明言したのも当然である。
ロシア外務省は意図的に、そしてやや不吉なことに、重要な問題について非常に曖昧だった。キエフによって攻撃された「戦略的核戦力オブジェクト」は米国の援助によるものだった。これらの攻撃は、「軍事技術および情報諜報」の側面に関与している可能性がある。
グローバルサウスにとってハーシュのレポートが印象付けたのは、血のように赤い巨大な文字で書かれた「ならず者大国」で、それはテロ支援国であり、バルト海の底で、国際法、さらには帝国の薄汚い偽物の「ルールに基づく国際秩序」の埋葬儀式を行ったのだ。
ディープ・ステートのどの派閥がそのアジェンダを推進するためにハーシュを利用したかを完全に特定するには、しばらく時間がかかるだろう。もちろん彼はそれを承知している–しかしだからといって爆弾発言(3ヶ月の激務)の調査から遠ざかることはないだろう。米国の主流メディアは彼のレポートを抑制し、検閲し、貶め、無視するためにあらゆることをするだろう。しかし重要なのは、グローバル・サウス全体にそれがすでに野火のように広がっていることだ。
一方、ラブロフ外相はメドベージェフと同じように完全に障害物をとりのぞき、米国がロシアに対して「完全なハイブリッド戦争を解き放った」ことを非難し、両方の核保有国が現在直接対決の道を歩んでいることを明らかにした。そして、ワシントンがその目標を「戦略的敗北」として二国間関係を火の玉にしたため、もはや「いつも通り」はありえないのである。
ロシアの「反応」はハーシュの報告以前から全く別次元であった。EAEUからBRICS、さらにその先に至るまで広範囲にわたって脱ドル化が進んでいる。貿易をユーラシアやその他の「グローバルサウス」に向けて全面的に方向転換している。ロシアはさらなる安定のための確固たる条件を確立しており、すでに不可避なこと、すなわち、NATOに正面から対処する時を予見している。
動的な対応として、戦場での事実はロシアが戦略的曖昧さ全開の米国/NATOの代理軍をさらに粉砕していることを示している。もちろんノルドストリームへのテロ攻撃は常に背後にあるだろう。反撃があるだろう。しかしその時間、方法、場所を選ぶのはロシアなのである。
Link {1}: https://seymourhersh.substack.com/p/how-america-took-out-the-nord-stream