No. 1760 欧米の否認戦略と浮上する多極化世界

The West’s Denial Strategy and the Surfacing Multipolar World

by Phil Butler

今日、西半球のニュースでは真理は聖杯のようなものである。そして、キリストの杯のように、それも永遠に失われるかもしれない。例えばロシアや中国に関する情報である。現実は今、ワシントン、ロンドン、ブリュッセルの権力の中枢だけでなく、ジャーナリズム、アカデミア、非営利セクター、ビジネス、そしてアマゾンの倉庫の休憩時間の荷台でも変わっている。嘘が完成したのだ。数兆ドル規模のプロパガンダ・マシンはその仕事を果たした。舞台が整った。

あらゆる国、あらゆる指導者、あらゆる世論調査、そして夕方のニュースが喧伝するすべての言葉が、世界でアメリカが行っている(行ってきた)ことをよいと思っている可能性はどれくらいあるだろうか?この状況は、知的な人間が世界の問題を解決するはずの場所においてとくに最悪である。 例えば、ワシントンのシンクタンク、スティムソンセンターである。この裏切り天才たちによれば、ロシアとウクライナの紛争に対してインドはロシアを支持する立場を示していないという。著者のアクリティ(ヴァスデーヴァ)・カリャンカーとダンテ・シュルツによれば、報告書「大陸の漂流?ウクライナ戦争1年後のインドとロシアの関係」の中で、インドはアメリカを怒らせないためにデタントという綱渡りをしているだけだと述べている。その証拠に、専門家はインド陸軍参謀総長のManoj Pande将軍が、インドが軍事的に自給自足できるようになり、サプライチェーンに関して述べているコメントを引用している。

スティムソンセンターの理事会にはフライシュマンヒラード(世界最大級のコミュニケーション・コンサルティング企業)のマネージャーでヒラリー・クリントン上院議員の元法制局長官だったクリス・M・バルダーストンがいる。コンドリーザ・ライスも1991年から2001年まで理事を務めていて、このシンクタンクの考え方の方向性がよくわかる。「覇権を永続させる」こと、といえば彼らの考えは理解できるだろう。もしインドがロシアと軍事同盟を結びNATOに対抗したら、この人たちはモディたちは思いあがっていると主張するだろう。真実は、このようなシンクタンクでは、国際関係の現実は魔女の鍋でかき混ぜられ、沸騰させられ、それに気づいた人には魔法の杖が投げつけられるのである。

欧州外交問題評議会では、ヨーロッパはウクライナと団結し、南アフリカでズールー族がイギリスと戦ったようにロシアに反対している。ティモシー・ガートン・アッシュ、イワン・クラステフ、マーク・レナードの3人は、新しい世論調査で、この連帯が切れていないことが証明されたと述べている。専門家は「アメリカ人とヨーロッパ人はロシアが自分たちの公然の敵であることに同意している」と言う。大規模のデモや現実はさておいてヨーロッパでは、特に米海軍の潜水工作員がロシアからドイツへの海底パイプラインを爆破して以来、プロパガンダ・マシンはそれほどうまく機能していない。ウクライナで戦って死ぬために戦車、ミサイル、弾薬、傭兵を送り込むのは首脳陣であって、エッフェル塔の下の土産物販売員ではない。簡単に言うと専門家たちは嘘をついているのだ。もっと大規模でバランスの取れた世論調査を行えば、ヨーロッパの人々はウクライナでの紛争を永続させることに強く反対していることがわかるだろう。

    多極化が進む世界では、米国の外交政策も全く異なるものになる: 一国主義から脱却し、世界と地域の双方で複雑な形の権力分担を行う必要がある。    – マーティン・ジャック

こうした例はもっと挙げられる。しかし私たちはモディ政府から直接インド・ロシア関係の「公式」な側面を得ている。インド・ロシア防衛協力(1)、ロシアとインドの製薬会社の会合、または過去12カ月でロシアからインドへの輸入が400%増加したことなどを、欧米資本の偉大な思想家に思い出させる人は誰もいないのだ。そろそろ西側諸国の編集者、教授、外交官、将軍が我々に与え続けるナンセンスな情報に惑わされることなく、自由な思想家はインドやロシアのメディアを読み始めるべき時だ。北インド最大の新聞「トリビューン」のこの記事{2}は良いきっかけになるだろう。ロシアと中国が先月BRICSサミットと上海協力機構(SCO)サミットで「新しい多極化秩序」を宣言したという事実が書かれている。

西側の冷戦時代の理想主義者たちは、かつてのインドと中国の敵対関係に注目しようとするが、実はインドは自らを世界政治の主要な柱として想定している{3}。そしてそれは当然なことなのだ。ワシントンとその共謀者たちは、今後数十年間、現実から目をそらすために、このアジア諸国の間に新たな楔を打ち込むこと以上に望むことはないのだろう。今日、あるいは「今回」と言うべきか、目覚めた世界はもう米国の嘘に騙されないようである。

    中国とインドは友好的な隣人である。また自然なパートナーでもある。両国とも、国と国の間の友好的で平和的な関係、そして多極化した世界を支持している。両国の平和で友好的な関係は、アジアだけでなく、全世界にとって恩恵である。    – 李克強

Links:

{1} https://indianembassy-moscow.gov.in/india-russia-defence-cooperation.php

{2} https://www.tribuneindia.com/news/editorials/india-russia-trade-478539

{3} https://www.eastasiaforum.org/2022/11/24/indias-openness-to-a-new-indo-pacific-order/

https://journal-neo.org/2023/04/05/the-wests-denial-strategy-and-the-surfacing-multipolar-world/